2016年7月6日水曜日

今年もまたニッコウキスゲ (2/2)

 通称「八島湿原」は八島ヶ原高層湿原のことで、標高1632mは尾瀬ヶ原の1400mより高いところにあります。またここの泥炭層は約8mあり、1万2千年前に誕生したとされています。

 今回は左図のように駐車場から八島湿原を一周して帰るコースを辿りました、ゆっくりコースと呼ばれ所要時間約90分です。また図中の番号は本文の記述と対応しています。

昭和24年にNHKのラジオ歌謡として放送された横山弘作詞・八洲秀章作曲による「あざみの歌」歌碑が①にあります。

 これは昭和20年復員してきた当時18歳の横井弘が、疎開先の下諏訪の八島高原で、野に咲くアザミの花に自らが思い抱く理想の女性の姿を重ねて綴った歌詞に、八洲秀章が作曲したものなのです。

♪~ 山には山の 愁いあり
   海には海の 悲しみや

  ましてこころの 花園に
  咲きしあざみの花ならば 

 ②では「オオカサモチ」がたくさん咲いていました。
 草丈はそこそこ大柄ですが、花は白くて繊細です。

 ③は「イブキトラノオ」です。その名のとうり伊吹山にもたくさんありましたが、ここ八島湿原と伊吹山は植生が似ていると聞いたことがあります。


 ④には「ダケカンバ(岳樺)」の木がありました。白樺によく似ていますが、樹皮の色が多少ピンク色をしており、白樺より標高の高いところに分布しています。
 遠くに湿原が見えています。



 ⑤地点から遠く八島が池を望んだところです。
 今年は雨が比較的多かったせいか池の水が豊富です。

 下の写真は今回見かけた、、、いやポーズをとってくれたチョウたちです。



 写真の左はヒョウモンチョウの雄、中は雌そして右はヤマトシジミだとおもわれます。



 ⑥の場所にかかわらず、今はこの「キバナノヤマオダマキ」が全盛です。
 オダマキは青や紫の色が多いようですが、この花は名前のとうり黄色です。5本の角のような形が上にあるのはオダマキの花の特徴です。







 ⑦「ハクサンフウロ」もあちこちに散在していました。
 花は小さいですが、緑の中でピンク色が実に鮮やかに自己を主張しています。

 ⑧こちらは「グンナイフウロ」ですが同じフウロソウの仲間でもかなりイメージが異なります。

 ⑨地点でいったん湿原の外に出ますが、ここにはシカの侵入を防ぐためのゲートが設置してありました。








 ⑩地点から南方の御射山にある旧御射山遺跡(もとみさやま)を見たところです。
 鎌倉時代、ここに諏訪、甲斐を中心に武士たちが集って軍神、諏訪大明神を祭って御射山の祭りが開かれましたが、このときの見物席(スタジアム?)が階段状にみえています。

 ⑪小さな流れに架かった橋の上から上流を見てみました。綺麗な水が豊富に流れています。

 ⑫は「ウツボグサ」です。ウツボの名前は魚ではなく、昔武士が矢を入れて背中に背負う太い筒の形をした武具「靫(うつぼ)」に似ていることに由来するそうです。



 ⑬ハート型をした八島湿原の先端部にやってきました。道標の八島ヶ原湿原・旧御射山方向からやってきて、これから鎌ヶ池・八島ヶ原湿原方向を目指します。
 天候は曇りで比較的涼しく雨の心配はあるのですが快適です。


 ⑭「シシウド」の花が咲き始めています。
 これから夏にかけて全盛となります。









 ⑮地点から八島湿原を経て対岸にそびえる鷲ヶ峰1798mを見たところです。

 ⑯足下に白く特徴的な花を見つけました、「カラマツソウ」で、花の形がカラマツの葉に似ていることから名づけられたそうです。

 ⑰「オオヤマフスマ」でしょう、ごく小さな花が足下にひっそりと咲いていました。おそらくハイカーのほとんどが気づくことなく通り過ぎていったことでしょう、でも見れば見るほどにその端正さに心惹かれます。

 ⑱ 少し離れた湿原の中に大き目の黄色い花を見つけました、立ち入り禁止なので近寄れませんでしたが、どうも「キンバイソウ」のようでした。

 ⑲「鎌ヶ池」を左に見ての八島湿原の180度パノラマ写真です。
 中央前方が御射山方向になります。









湿原の中での「コバイケイソウ」と「レンゲツツジ」のツーショットです。
 レンゲツツジは6月上旬の花なので、ちょうどコバイケイソウに季節のバトンをタッチしたところでしょうか。






 またこのふたつの植物は何れも毒性が強く、シカなどの食害をまぬかれて生き延びているという共通点があります。

 (21)「ニガナ」です、黄色い小さな花を上部に数個つける、比較的よく見かける花です。
 (22)もちろん八島湿原の陸側にもニッコウキスゲは咲いています。昨日の場所で見たものにくらべて、一つひとつの花がすっきりと気品さえ感じるのは何故でしょうか?(周りの緑が色濃い、、、)






 (23)これは「ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)」という何となくおかしさのある名称の草花です。
 ちなみに「ツルカコソウ(蔓夏枯草)」とはアジュガのことでした。

 (24)八島ヶ池のパノラマ写真です。大小たくさんの島が浮いているように見え「七島八島(ななしまやしま)」と呼ばれることもあり、また八島湿原そのものを七島八島湿原ということもあるようです。

 (25)「アカギキンポウゲ」です、前出の「ニガナ」と同様の黄色い小さな花ですが花弁が厚めでしっかり感があります。










 (26)ユリの仲間の「アマドコロ」です。たくさんの花が(この写真では10個)釣り下がっていますが、下から順に開花してきた様子がよくわかります。


 (27)「オオバギボウシ」です、これから花枝が花を咲かせながらどんどん伸びていくのでしょう。

 (28)「タカトウダイ」です、紅葉するのは秋のはずですが、、、、これも異常気象?



 、、、、ということで無事にスタート地点に戻ってきました。
 急な坂道がほとんどなく、歩道も木道部分が多く(かなり痛んでいる箇所がありましたが)疲れることなく約2時間ほどかけてのウォーキングでした。

 まだ時間に余裕があるのでどこかへ足を伸ばそうとした矢先雨となってきました、まさに危機一髪です。

 どこかで昼食を、、、、と考えた末に伊那の「かんてんパパ・ガーデン」にある蕎麦どころ「栃の木」へ帰り道でもあることを幸いと足を伸ばしました。
 ところが意外と時間がかかりお店到着が14:30でオーダーストップの札が店先に出された直後でしたが家人の働きで遅い昼食にありつけました(感謝!)。写真は「石臼引き十割天ぷらせいろ」です、おいしかった。

 今回は急に思い立っての旅でしたが、天候にも恵まれてガムラスタン、ニッコウキスゲ、温泉、蛍、富士山そして八島湿原ハイキングと充実した時間を持つことができました、健康に感謝です。

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