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2024年5月18日土曜日

Sweeperino なるものを実験してみました

  2000年の初めごろと言えばもうかなりまえになりますが、FRMS(Frequency Response Measuring System)という自作測定器がアマチュア間で話題になりました。今でいうネットアナで秋月のDDSキットをPICで操作し、その出力をコンポーネントや回路に与え、そのレスポンスをAD8307というログアンプで読み取り、パソコンのスクリーンに図示するというものでした。

 このキットはCYTECさんから発売されており、今でもFRMS2として品揃えの中にあります。左上写真はそこからの引用です。

 ありがたいことに回路図、部品表、基板データさらにはPICに焼きこむファーム・ウエアやパソコンで使用するソフトまでの一揃いを我々アマチュアがフリーで使用できるようになっており、私も何回か製作し実験に使ってきました、感謝です。

 最近になってネットサーフイン中に、少し古いですが気になるサイトを見つけました。(右画面) 著者は Ashhar Farhan さんで VU2ESE のコールサインからインドの方と思われます。


 ここでいう Sweeperino のコンセプトはケースであるキャンディー缶の右上にあるツマミを回し、目的周波数(AD570 による発振)に合わせ、回路からのレスポンス・パワーをやはり AD8307 で読み取る、、、といったもので FRMS によく似ています。
 私が着目したのはもう一つの機能で、マイコンのソフトで、回路の周波数特性を読み取り図示するという FRMS と同様の機能です。

今回作成した部分の回路図を示します。(パソコン専用のため LCD は省略)そのため回路は極めて簡単で、これをベースにいろいろなものが出来そうな予感がしますが、今回は基本的なところの動作確認としました。
 主体となるブロックは、ひとつは右下の Si5351 発振器です。オリジナル回路は Si570 が使ってあり、 Si5351 でも使えるように Arduino のスケッチが作ってありますがいまではより低周波側から使える超安価な中華 Si5351 発振器が入手できますので選択の余地はないと思います。
 もう一つのブロックは上側にある AD8307 を使ったパワー計で、この二つを Arduino_Nano でコントロールするものです。これらの情報はネットの GitHub を探せばより詳しく見つけられます。

 そしてある意味カナメのパソコンソフトは「 specan_ui.exe 」を使います。当初 GitHub に同梱されていたものは、win10 との相性のためか?動いてくれませんでしたが、より新しいものを探したところ無事動きました。

 前述の回路図中の CLK OUT と Signal Input の間に自作の 10MHz バンドパス・フィルタを入れて測定した結果です。

 Si5351 発振器のクリスタルは 25MHz のままででオリジナルの 27MHzには代えてありませんし、電力レベルも校正してありません、取り合えずのマンマです。  
 このきわめてシンプルな GUI はパッと観で操作できますが、このままでは最大中心周波数99.999MHz、最大スパン50MHz の制限がありますが FRMS に比べれば、、、、

 左写真は実験中の写真で、左から Arduino UNO 互換ボード、中華 Si5351 発振器、AD8307 パワーユニットとなっていますが各ユニット間の結線が極めて少ないのが面白いです。

2022年10月19日水曜日

ウクライナからの最近のFRMS(Si5351 Network Analyzer Lite)は優れもの

 FRMSFrequency Response Measuring System)というアマチュアが使う測定器があります。秋月電子のDDSキットを発振器に使い、ログアンプのAD8307を使ってレベルの測定を行いパソコンに表示するといったもので、アマチュア無線関係のガレ-ジキットのネットショップ「CYTEC /サイテック」から情報が公開され、必要に応じプリント基板も購入することが出来ました。(左写真、CYTECさんのサイトから引用)
2000年にはもうありましたから、大変なロングセラーです。

 今日まで私も、何台も試作し、また便利に使ってきました。秋月電子のDDSキットはもうありませんし、MAX周波数が20MHzでは今時物足りません。

 UR5FFRというウクライナのアマチュア無線家のサイトは、昨年このブログでも紹介していますが、(arduino シールド型 簡易ネットワークアナライザ (pico NWT) の製作)今回はこの高性能版ともいえましょう。

 詳細はネットで、「 
UR5FFR NWT で検索すれば、回路図、ソフトウェアなど詳細な情報が得られますので、ここでは簡単な紹介のみとします。

 このシステムを簡易回路図で説明します。
 キーパーツは、Si5351ASA612AAD8307AAruduino nano、そしてセラミックフィルターです。
 これらのパーツの羅列を観れば、もうこれといった説明はいらないほどに目的は明確です。
 Aruduino nanoによって制御されたSi5351ACLK0から試料( DUT )に供すべき周波数の高周波が、CLK2からSA612Aのローカルに供すべき周波数の高周波がそれぞれ発振、供給されます。

 一方、試料( DUT )を経た信号はSA612Aに入り、Si5351ACLK2からのローカル信号との差である455kHzの信号に変換されます。この信号は2個のセラミックフィルター(秋月 455kHz±2kHz  LTM455IW)を経てAD8307Aで対数変換されます。そしてこのADC信号をAruduino nanoがパソコンに転送し、描画ソフトによりモニター上に表示されるわけです。


 上写真左は完成した本機、右は内部の写真ですが、フロアノイズを下げるための悪戦苦闘ぶりの痕跡が残っています。また入力部(左側)は本来50Ω受けですが、使い勝手を考えてBF998によるソース・フォロアに改造してあります。50Ωが必要な時には無理やりアッテネータを介します。

 右は、DUTとして50ΩのATTをいれたものです。

 最上部のラインは0dBを正規化したもので、以下-10dBごとの結果を示しています。

 周波数は100kHzから100MHzまでスイープしていますが、50MHzまででしたら、下から3本目の-80dB以下まで行けそうで、AD8307Aのスペックであるダイナミック・レンジ92dBを考えればむしろ上出来だと考えます。

 この制御ソフトには、クリスタルフィルターを作成するためのユーティリティーがついていますので早速試してみました。
 クリスタルは9MHzのものを使用しましたが左図は共振点の測定です。


 右図は即席で組み立てたクリスタルフィルターの特性です。このNWTに描画するのが目標ですので、細かいマッチングなどはとってありませんので、、、、

 図のように曲線を描かせて、ツール・ボタンの中のフィルター・パラメータをチェックすると、いくつかのマーカーと右上の特性表が現れてビックリです、うまく使えば有益かも、、、

 というわけで今回は、時流に乗ったわけではありませんが、ウクライナ関連ネタでした。
 UR5FFRさんのサイトを閲覧することはできますが、彼にメールしても返事はできないョ!!とありましたし、記事の一部には生々しい戦争被害のシーンもアップしてありました。

 はやく平和な世界が訪れんことを祈ります。

2015年5月23日土曜日

中華 AD8307

 過日ネットでAD8307というICが極めて安価で入手できるという噂に接しました。

 AD8307はアナログデバイセス社( ANALOGDEVICES )で開発された対数(ログ)アンプで、規格表によればなんと直流から500MHzの広域にわたって92dBのダイナミックレンジを測定できる能力を誇っています。
 
 従来はこのプロの世界で使うようなICが例の秋月で1個¥1000強で入手できること自体がわれわれ電子工作を趣味とするものにとってありがたかったのです。

 噂を頼りにebayを調べてみると、、、、思わず目を疑いました、それもたくさんの店が競うようにしてAD8307を売っていたのです

 最安値はワンコイン強、それも10ピースで!?上海からの送料込み、、、、という経緯でオーダーしておいたものが到着しました。冒頭の写真の10個がそうです。比較でおいたチップは従来の国内入手品でチップサイズがDIPです。これに対し中華AD8307は少し小型のSOICで表面実装用ですがどちらも規格表には載っていました。(右写真参照)

 このチップが本当に使えるのか半信半疑ですが、思案投げ首だけでは始まりませんのでデータをとってみることにして、早速評価ボードを久しぶりのアイロンがけで作成です。

 左写真がそれですが、基板の設計も何もあったものではありません、単にチップが表面実装用のSOICなのでこうするのが一番手間が省けるとの判断からです。

 参考にもなりませんが、回路図を挙げておきます。ネットで探せば数多く見つかりますが、今回の回路はできる限りシンプルなものを選びました。
 入力抵抗の51オームはAD8307の入力抵抗を加味すれば52.3Ωが正しいのですが手持ちにあるもので間に合わせました。

 この評価基板にパナソニックのシンセサイズド・シグナル・ジェネレータから既知の信号を入力し、結果として得られる直流出力をケースレーのDMMで読み取りExelでグラフ化し、評価しました。

 先ずは入出力特性です。(左)10MHzと100MHzで試しましたが、規格表どうりの結果で(あたりまえ)正直ホッとしました。直線性とハイレベル側は文句なしですが、ローレベル側がこれまでの経験から、いろいろ手を尽くしてフロアノイズを下げればもう少し伸びる気がします。
 むしろ何もせず一発でこの結果ならば上々とすべきでしょう。 

 次に周波数特性を下に示します。
 -40dBmの100kHzから500MHzの広域のレスポンスをプロットしました。
 さすがに100MHzからは徐々に低下していろのがわかりますが、おそらくこれは回路と基板の技術上の問題だと考えても良いかと思います。


 いろいろな製作例を見てみると次の図に見られるような補正回路を入力部に取り入れたものも見られましたが、広域特性の補正や、フロアノイズの低減などは製作する機器の目的に合わせてそのつど工夫していけばいいと思っています。

 ちなみに左回路のL1は1/8インチ径を1tとなっていました。

 結論として今回の中華AD8307はわれわれアマチュアが使用する限りにおいてはなんら問題なくアタリだと判断しました。

 秋葉原価格の1/20、それも送料込みのような例はこれまでもいくつありましたが、まさにおそるべし、、、です。

 これで安心していろいろなAD8307の回路に鋭意挑戦できそうです。

2012年12月19日水曜日

ひさしぶりのプリント基板作製


 ひさしぶりにというか、それこそ数年ぶりにプリント基板を作製してみました。

 ことの起こりは、ログアンプであるAD8307を使った高周波ディテクターを作ろうと思い立ち、ざっと完成させて特性を計ってみましたが、さすが周波数特性は申し分ないのですが、ご多分に漏れずフロアノイズが下がらずここ一番気合を入れて作り直そうと思ったわけです。

 ちなみにこのAD8307 (analog devives 社) はこれまでも何回か使ってみましたが、コストパフォーマンスは抜群で、以前私がとった特性図でわかるように、ひかえめにみても+10~-70dBmの入力に対し、リニアリティーのよい綺麗な直流出力が得られています。

 ただし、入力はSSG(Synthesized Signal Generator  昔は Synthesized のかわりに Standard でした)から直接入れてあるので当然と言えば当然ですが、、、、
 このICを実際の回路に入れて使うとフロアノイズが上昇して、-60dBm程度までしか測定できなかったのです。

 いまどきのプリント基板作製は、EAGLE や PCBE などのCADソフトを使い、データをネットでおくり、郵送されてくるプリント基板を待つ、、、、と言う事でしょう。わたしもこれらのCADを使ってみましたが、今回の回路は簡単なものですし、昔ながらのエッチングによる自作と言う事にしました。またパターン・マスクの作製はレーザープリンターの原稿をアイロンで熱接着すると言うもので、広くおこなわれている手法ですが私は初挑戦です。

 パターンは AR_CADというフリーソフトを使いました。私が使用するには、軽くて使いやすく気に入っています。
 
 印刷する用紙は、右上の「画彩 がっさい」を使うのが常道のようで、この日のために数年前に購入してありました。ワンパッケージ100枚ですので、あの世にいっても使える、、、、 
 そしてレーザープリンター(私のは安物で キヤノンのLBP3000です)での出力結果を左上に示します。ここで注意を二つ。
・パターンは上下左右反転しておく事。
・プリント濃度を一番濃く設定する事。

 右写真の中央にあるのが、いわゆる生基板です。これはサイズの大きなものから上に見える「アクリルカッター」で切り出します。厚さ1mm程度の基板なら両面にカッターで深めの筋を入れておけば簡単に折れます。そして右にあるマスクを印刷面が基板に接するようにしてアイロンで熱圧着させます。
 もちろん基板はあらかじめスチールたわしなどでよく磨いた上に、洗剤で油分などを落としておきます。またアイロンは140度(綿?)くらいにしておきます。
 ちなみにこのアイロンもこの日のために、数年前廃棄される運命にあったものをしまいこんでありました。
 左写真が、アイロンがけを終え、水中に入れて紙の部分をそっとはがしたものです。レーザープリンターのトナーがシッカリ基板の銅に接着しており、まだその上に紙がすこし残っています。ここからは念入りに残った紙を除去(最後は消しゴムなどで)しますが、狙いは白く見えている線でトナーを除去してはなりません。またトナーが薄くなっていたり、はがれた部分などは油性のサインペンなどで補修します。写真の左側のマスクのかかっていない部分もセロハンテープを張ったり、サインペンで黒く塗りつぶしたりして、エッチングされないように養生しておきます。当然のことながら、両面基板の場合は裏面の養生が必要となります。

 エッチング液は「塩化第二鉄」の水溶液を使いますが、これは大変強力な酸化剤ですので取り扱い、使用後処理の注意が必要です。

 私は思い立って、画材屋さんからエッチング画用の「腐食液」を芸術家のような顔をして購入しました。電子材料屋さんよりはるかに安いです。実はこれも数年前、、、、

 右上写真が完成したプリント基板です。右にあるのがマスクパターンです。ちょうど鏡対象になっていますね。パターンは特に修正が必要な部分もなく、初めてにしては一発で成功しました。
 エッチングの具合も申し分なく、0.3mmくらいの精度は十分に出ているようですので、次回は専用CADを使ってQFPパッケージ用の基板を作ってみようかと思いました。

 ログアンプ AD8307 を使った高周波ディテクターについてはうまく行ったらアップしましょう。