2012年12月19日水曜日

ひさしぶりのプリント基板作製


 ひさしぶりにというか、それこそ数年ぶりにプリント基板を作製してみました。

 ことの起こりは、ログアンプであるAD8307を使った高周波ディテクターを作ろうと思い立ち、ざっと完成させて特性を計ってみましたが、さすが周波数特性は申し分ないのですが、ご多分に漏れずフロアノイズが下がらずここ一番気合を入れて作り直そうと思ったわけです。

 ちなみにこのAD8307 (analog devives 社) はこれまでも何回か使ってみましたが、コストパフォーマンスは抜群で、以前私がとった特性図でわかるように、ひかえめにみても+10~-70dBmの入力に対し、リニアリティーのよい綺麗な直流出力が得られています。

 ただし、入力はSSG(Synthesized Signal Generator  昔は Synthesized のかわりに Standard でした)から直接入れてあるので当然と言えば当然ですが、、、、
 このICを実際の回路に入れて使うとフロアノイズが上昇して、-60dBm程度までしか測定できなかったのです。

 いまどきのプリント基板作製は、EAGLE や PCBE などのCADソフトを使い、データをネットでおくり、郵送されてくるプリント基板を待つ、、、、と言う事でしょう。わたしもこれらのCADを使ってみましたが、今回の回路は簡単なものですし、昔ながらのエッチングによる自作と言う事にしました。またパターン・マスクの作製はレーザープリンターの原稿をアイロンで熱接着すると言うもので、広くおこなわれている手法ですが私は初挑戦です。

 パターンは AR_CADというフリーソフトを使いました。私が使用するには、軽くて使いやすく気に入っています。
 
 印刷する用紙は、右上の「画彩 がっさい」を使うのが常道のようで、この日のために数年前に購入してありました。ワンパッケージ100枚ですので、あの世にいっても使える、、、、 
 そしてレーザープリンター(私のは安物で キヤノンのLBP3000です)での出力結果を左上に示します。ここで注意を二つ。
・パターンは上下左右反転しておく事。
・プリント濃度を一番濃く設定する事。

 右写真の中央にあるのが、いわゆる生基板です。これはサイズの大きなものから上に見える「アクリルカッター」で切り出します。厚さ1mm程度の基板なら両面にカッターで深めの筋を入れておけば簡単に折れます。そして右にあるマスクを印刷面が基板に接するようにしてアイロンで熱圧着させます。
 もちろん基板はあらかじめスチールたわしなどでよく磨いた上に、洗剤で油分などを落としておきます。またアイロンは140度(綿?)くらいにしておきます。
 ちなみにこのアイロンもこの日のために、数年前廃棄される運命にあったものをしまいこんでありました。
 左写真が、アイロンがけを終え、水中に入れて紙の部分をそっとはがしたものです。レーザープリンターのトナーがシッカリ基板の銅に接着しており、まだその上に紙がすこし残っています。ここからは念入りに残った紙を除去(最後は消しゴムなどで)しますが、狙いは白く見えている線でトナーを除去してはなりません。またトナーが薄くなっていたり、はがれた部分などは油性のサインペンなどで補修します。写真の左側のマスクのかかっていない部分もセロハンテープを張ったり、サインペンで黒く塗りつぶしたりして、エッチングされないように養生しておきます。当然のことながら、両面基板の場合は裏面の養生が必要となります。

 エッチング液は「塩化第二鉄」の水溶液を使いますが、これは大変強力な酸化剤ですので取り扱い、使用後処理の注意が必要です。

 私は思い立って、画材屋さんからエッチング画用の「腐食液」を芸術家のような顔をして購入しました。電子材料屋さんよりはるかに安いです。実はこれも数年前、、、、

 右上写真が完成したプリント基板です。右にあるのがマスクパターンです。ちょうど鏡対象になっていますね。パターンは特に修正が必要な部分もなく、初めてにしては一発で成功しました。
 エッチングの具合も申し分なく、0.3mmくらいの精度は十分に出ているようですので、次回は専用CADを使ってQFPパッケージ用の基板を作ってみようかと思いました。

 ログアンプ AD8307 を使った高周波ディテクターについてはうまく行ったらアップしましょう。

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