過日ネットでAD8307というICが極めて安価で入手できるという噂に接しました。
AD8307はアナログデバイセス社( ANALOGDEVICES )で開発された対数(ログ)アンプで、規格表によればなんと直流から500MHzの広域にわたって92dBのダイナミックレンジを測定できる能力を誇っています。
従来はこのプロの世界で使うようなICが例の秋月で1個¥1000強で入手できること自体がわれわれ電子工作を趣味とするものにとってありがたかったのです。
噂を頼りにebayを調べてみると、、、、思わず目を疑いました、それもたくさんの店が競うようにしてAD8307を売っていたのです。
最安値はワンコイン強、それも10ピースで!?上海からの送料込み、、、、という経緯でオーダーしておいたものが到着しました。冒頭の写真の10個がそうです。比較でおいたチップは従来の国内入手品でチップサイズがDIPです。これに対し中華AD8307は少し小型のSOICで表面実装用ですがどちらも規格表には載っていました。(右写真参照)
このチップが本当に使えるのか半信半疑ですが、思案投げ首だけでは始まりませんのでデータをとってみることにして、早速評価ボードを久しぶりのアイロンがけで作成です。
左写真がそれですが、基板の設計も何もあったものではありません、単にチップが表面実装用のSOICなのでこうするのが一番手間が省けるとの判断からです。
参考にもなりませんが、回路図を挙げておきます。ネットで探せば数多く見つかりますが、今回の回路はできる限りシンプルなものを選びました。
入力抵抗の51オームはAD8307の入力抵抗を加味すれば52.3Ωが正しいのですが手持ちにあるもので間に合わせました。
この評価基板にパナソニックのシンセサイズド・シグナル・ジェネレータから既知の信号を入力し、結果として得られる直流出力をケースレーのDMMで読み取りExelでグラフ化し、評価しました。
先ずは入出力特性です。(左)10MHzと100MHzで試しましたが、規格表どうりの結果で(あたりまえ)正直ホッとしました。直線性とハイレベル側は文句なしですが、ローレベル側がこれまでの経験から、いろいろ手を尽くしてフロアノイズを下げればもう少し伸びる気がします。
むしろ何もせず一発でこの結果ならば上々とすべきでしょう。
次に周波数特性を下に示します。
-40dBmの100kHzから500MHzの広域のレスポンスをプロットしました。
さすがに100MHzからは徐々に低下していろのがわかりますが、おそらくこれは回路と基板の技術上の問題だと考えても良いかと思います。
いろいろな製作例を見てみると次の図に見られるような補正回路を入力部に取り入れたものも見られましたが、広域特性の補正や、フロアノイズの低減などは製作する機器の目的に合わせてそのつど工夫していけばいいと思っています。
ちなみに左回路のL1は1/8インチ径を1tとなっていました。
結論として今回の中華AD8307はわれわれアマチュアが使用する限りにおいてはなんら問題なくアタリだと判断しました。
秋葉原価格の1/20、それも送料込みのような例はこれまでもいくつありましたが、まさにおそるべし、、、です。
これで安心していろいろなAD8307の回路に鋭意挑戦できそうです。
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