2018年3月13日火曜日

DENON プレーヤ DP-60M の修理

 親しくしている友人から、レコード・プレーヤの修理依頼が舞い込んできました。
 長期間しまっておいたものを動かそうとして、電源を入れても何の反応も無い言うのです。

 仔細に観察してみると、これはDENON(かつての日本電氣音響株式會社(通称「電音」)で日本のオーディの草分け)製のDP-60Mという高級プレーヤであることがわかりました。

 フォノモータにはDENON QUARTZ DIRECT DRIVE RECORD PLAYER DP-60M と記されています。

 このモデルは1980年に売り出されていますので、かれこれ35年近く経っています。

 しかしながら、これらのモデルはレコード盤を乗せる、ターンテーブルを中心軸のモーターで直接回転させるもの(ダイレクト・ドライブ)で、なおかつその回転をターンテーブルの内側に記録させた磁気データを磁気ヘッドで読み取り(右写真)、水晶発振子で得た正確な周波数を基準としてレコード再生に必要な毎分33・1/3回転(LP)と45回転(EP)を得るという優れものなので、現在でも愛好者が多いようです。

 当然のことながらDENONブランドのDP-60Mは普及モデルとは言いながら、当時8万円もしたため、私にとって(オーディオも私の趣味のひとつ)は高嶺の花、垂涎の的でありました。

 故障の状況としては
 1. 電源を入れても動かない。
 2. プッシュボタンスイッチが作動不良。
 の2点でした。


 さっそくひっくり返し(ターンテーブルをはずし、ピックアップアームを固定しておく)、底パネルをはずすと左上写真の景色が見えてきます。

 この時代のプリント基板は片面で、ディスクリート部品が使用されており、何とか情報を読み取ることができそうです。

 そこで基板をはずし、作業台の上へ、、、、(右写真)


 じっくり腰をすえて観察すると、基板上の白丸で示した場所のトランジスタの様子が変です。

 さらによく見るとトランジスタの足が腐食して、折れているではありませんか。ネットで調べてみると、この部分はDP-60などの弱点のようです。

 2SA879というのがそのトランジスタなのですが、今では入手が極めて難しく、勿論手元にもありません。

 差し替えができるトランジスタを探したところ2SA1320が該当しましたので秋葉原から取り寄せましたが、約1.5日で届きました、便利な時代になったものです。

 右上写真中、左側の小さいのが2SA1320、右側の足がボロボロになっているのが2SA879です。

 これらのトランジスタにはそこそこ高電圧がかかるので、同規格とはいいながら2SA1320は何か頼りなく感じます。

 上写真は2SA1320をECBの位置に注意して、装着したところです。

 さらにもう一箇所、同写真の奥に見られる青色の金属皮膜抵抗のハンダ付け部分が腐食していましたので整備しておきました。(右写真左)

 他の怪しげなプリント銅箔も確認してみましたが、こちらは異常なく、高周波ワニスを塗布しておきました。

 最後はプッシュボタンスイッチの作動不良修理です、さっそく分解してみました。
 左写真に示すように、赤丸の中に見られる円柱状のゴム棒が白丸のタクトスイッチを押すという仕組みですが、経年変化のためゴム棒が硬化・収縮したため、白い四角のボタンを押してもゴム棒がタクトスイッチに届いていなかったのです。




 対策としては、タクトスイッチの表面にプリント基板(1mm厚保)を丸く小さく切ったものを両面テープで貼り付けました、タッチ感もよくこれでOKです。

 その他あちこちを点検しましたが、おかしな点はありませんでしたので、通電してみることにしました。

 この一瞬が最も緊張します、、、、全神経を集中してSW-ON、異常現象はなにもおきません、、、、では、ということで
 33・1/3回転のスタートボタンを押すとターンテーブルは滑らかに回転を始め、スペックどうり1秒チョットで定速に落ち着くのが右上写真のストロボで視認できました。45回転はもう少し(2秒弱)時間がかかりますが同様に安定しています。

 ここのところ、LPレコードのブームが再来しています。
 実は私も古いプレーヤを持っているので、折を見て修理してみますか、、、、

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