今回はその後の完成までを紹介していきたいと思います。左写真は最終段階での実験の様子です。
GPSからの電波を基準にした発振器の方式には、PLL(Phase
Locked Loop)とFLL(Frequency Locked Loop)の2種類があります。
PLLはGPSからの基準値(10kHzが良く用いられる)と発振器からの出力(基準値と同じ10kHzにして)との位相差を検出してこれが0になるように制御します。
同様に、FLLはGPSからの1秒パルスを用いて、発振器の周波数をカウントし、目的の周波数になるように制御します。
これらの制御には電圧を与えることで周波数を変化させられる発振器が用いられます。右写真は、CTIのOSC5A2B02という25mm角の発振器で、ebayから入手しました。
今回はPLL方式を選択しましたが、お手本はアマチュア無線家である James Miller (G3RUH)さんの文献、「10 MHz Simple GPSDO」に拠りました。
左に文献の冒頭部分を示します。
下に制御部分の回路図(略式)を示しますが、これは前述の文献より引用し、少し手を加えたものです。
この10kHzとGPS受信機NEO-6Mからの10kHzを位相検出器74HC86にインプットし、得られた位相差をフィルタとLM358のバッファを通して発振器を電圧制御しています。
今回の製作はGPS受信機に興味を持ったところから始まっていますが、GPSDO標準発振器としてはすでにこのブログの「我が家の周波数標準の製作」で紹介してある、Trimble社のThunderBolt を使ったものがあるので、手軽に日常的に使えたら、、、、というのが目的です。(左写真参照)
上記制御回路がGPSに同期して安定化した時の発振器制御電圧は約1.91Vでしたので、右回路図のようなウインドウ・コンパレータを考えてみました。
5kΩの半固定抵抗で調節し、1.90~1.92Vの範囲でLEDが点灯します。間接的なモニタですが有るのと無いのとでは大違いです。
制御回路についていろいろ実験した結果を以下の写真のように実装しました。
上部左はNEO-6M GPS受信機、その右のCD4011はGPS受信機をモニタ・制御するための簡易RS232Cインターフェースで、その右のLM358は上述のロック・インジケータ部です。
ケースの中はまだまだ空きが多く、また気まぐれで手を入れることもあるでしょう。
右写真は完成状態での最終チェックです。
一番上が、我が家の周波数標準で、一番下のHP53181Aカウンターの外部入力端子へ10MHzを入れています。
HP53181Aカウンターには「HP53181Aカウンター用7seg LEDモニタ」がつけてあり、表示が良く見えます。この表示は今回製作したGPSDOの出力をカウントしていますが、私の日常的使用には十分でしょう。
中央に見える黒い箱が今回の作品ですが、何とも味気ない姿です。左の赤いLEDが電源、右の白いLEDがロック・インジケータです。
完成後、ほぼ一か月以上経過していますが、特に問題なく使えており満足しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿