コロナだ、猛暑だ、、、というストレスなのかボンヤリと日々を送っているうちに、気が付けばもう9月です。
ブログをアップする元気もなく、かなりのご無沙汰です。
気を取り直して、今回は「Heathkit GD-1B グリッドディップメータのリペア」を取り上げました。
Heathkit(ヒースキット)については、以前このブログでも取り上げました。
Heathkit社についてはその中で述べていますので省略しますが、個々の製品は私のお気に入りで、今回のグリッドディップメータもその一つです。
共振回路(LC回路)は"L" で表されるコイルと "C" で表されるコンデンサで構成される電気回路で、左下の式で表される共振周波数"f"で電流が変化します。
ここで、L はインダクタンス(単位はヘンリー)、C は静電容量(単位はファラド)である。周波数 f の単位はヘルツです。
右図において、測定すべき共振回路に右側の発振回路のコイルを近づけます。
次いで周波数を変えていくと、特定の周波数(共振周波数)で測定すべき共振回路と電磁結合が起こり発振回路のエネルギーが被測定共振回路に吸収され、発振強度(グリッド電流)が低下(ディップ)します。
このことから被測定共振回路の共振周波数を知ることが出来るわけです。
詳しくはネットや左に示した参考書に譲ります、この本は1962年に発刊されたものですが、今でも私の座右にあり役立っています。
さて肝心のリペアですが、ヒースキットの各モデルには詳細なマニュアルがあり、そのほとんどをネットからダウンロードすることが出来ます。
この詳細なマニュアルさえあれば、対象物が物理的に破壊さえされてさえいなければあとは何とかなるのがうれしい限りです、なにせこれらの製品はすべてユーザーがマニュアルに従って自ら組み立てるキットなのですから!!
上はマニュアルに掲載されている回路図です。
真空管 6AF4 を使ったごく標準的な回路のように見えます。
計測器に物理的破損はなく、通電での発振を確認しましたので一安心です。(コイルが欠損していましたのでありあわせで)
今回手を入れたところを以下に示します、
1. 電源の整流素子がなんと懐かしいセレン整流器だったので、シリコンダイオード・タイプに交換。
2. 電源トランスが1次115Vの米国用だったため真空管 6AF4 のヒータ電圧が低く、小型のヒータ・トランスを追加・搭載。
3. 電解コンデンサ交換
4. その他の抵抗、コンデンサをチェック、必要に応じ交換。
今回の問題点は、本品を入手した際には本体だけで3~5本の発振コイルが欠品していたことです。
マニュアルに掲載されていた右写真から付属コイルの様子が推測できます。またネットの情報では3本のコイルデータとして
2 - 5 MHz 180uH 、5 - 14 MHz 21uH 、14-37 MHz 2.7uH の数値がありました。これらから推定してバリコンの容量は 5 - 45 pF 程度と思われ、コイルは自作可能だと思われます。
また最近では周波数測定技術が大幅に進歩しており、100MHz以上の測定も容易であることもあわせ、グリッドディップメータの周波数目盛りにコイルを無理やり合わせる必要もないので、この点では気楽です。
左写真は作成した発振コイルです。
A はRCAプラグをつけたもの、D は今回のグリッドディップメータに装着するためのアダプタ、B はヘアピン・コイルと呼ばれる 100 MHz オーダーを発振させるもの、C はあり合わせのコイルを使うときの方法を示しています。
右写真の左下はアダプタを使用しているところ、右下はヘアピン・コイルを使っているところで黄色い線のループは周波数カウンタの発振周波数ピックアップ・ループです。この場合、上のカウンタ写真から約 140 MHzで発振しているのがわかります。
ということで、60年前の測定器が稼働し始めました。古いですが、真空管を使った発振回路は強力で、場合によっては最近の半導体ディップ・メータより使いやすいかもしれません。
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