2013年12月8日日曜日

飛騨高山の美術館訪問

 晩秋というより、初冬というのがふさわしいこの時期に、地元美術館の催しに参加しました。 題して「美術鑑賞の旅」ということで日帰り、昼食つきのバス旅行です。
 行き先は飛騨高山の美術館二ヶ所で、「飛騨高山美術館」とその近くにある「光ミュージアム」です。出発は8時ですが、寒さもそれほどではありません。

 東名高速を西に、一宮ジャンクションから東海北陸自動車道を北上します。右写真はちょうど郡上八幡まで来たところです。


 このあたりから路は徐々に登りとなり、約1000mの峠を越えて日本海側に出ます。バスの車窓を見ると、先日降ったらしい雪が残っていました。

 天候も様変わりで、小雨もよう、道端の温度計は2度を表示していました。
 やがて路は下りとなり、飛騨清見ICから中部自動車縦貫道に乗り換え高山を目指します。(右写真)


 高山市街につき、わき道に入ってしばらく行ったところに、美術館のカンバンがありました。

 「飛騨高山美術館」に到着です。右写真の中央が正面玄関、左側の赤いバスは、送迎バスとして使用されている1967年製の階建てクラシックロンドンバスです。本国イギリスでも現在は走っておらず、世界で2台しかないとか、、、

 館内の撮影OKにはラッキー!!!
 左写真は、この美術館最大の呼び物、ルネ・ラリック1926年製のシャンゼリゼ・ショッピング・アーケードの噴水です。
 こんなに大きなルネ・ラリックは、初めて見ました。
 でも中央部より少し上に、ラリックらしいガラスの彫刻があしらってあります。(写真右下に拡大したものを掲げておきました。



 そうは言ってもラリックはやはり香水瓶でしょう。右写真はこれぞラリック、、、、
 典型的な、1920年製の「3羽の燕」です。


 また、左写真は1928年製の「牧神の接吻」です。
 じつは私は以前からアール・ヌーヴォー、アール・デコが好きでしたので、今回のように多くの作品にお目にかかれたのはほんとうに幸運でした、感謝。



 ほの暗い展示場の中央で私を呼んでいたのは、1905年製ティファニーの「孔雀文テーブルランプ」でした。もちろんティファニーも大好きです!

 この「飛騨高山美術館」ガラス工芸の作品と家具を中心に展示する私立の美術館で、16世紀から20世紀の世界中から収集したガラス工芸品(特にアール・ヌーヴォー、アール・デコのガラス工芸品や19世紀末の家具や照明器具など1000点以上収蔵しているそうです


 左写真は館内展示の様子で、照明を上手に使って作品を生き生きと見せています。


 右写真は1900年頃の晩年のエミール・ガレによる花器「フランスの薔薇」です。赤い色がきれいです。



 左写真も同じくガレによる「女兵士文付花器」(1880年)です。







 左写真はアール・ヌーボーの家具の巨匠といわれた、ルイ・マジョレルの1900年頃の作品を集めた展示です。
 時代を超えて、美しいものはやはり美しいです。






 ミュージアム・ショップにはもうクリスマス・ツリーが、、、、

 昼食のために立ち寄ったホテルで、当地名物の「さるぼぼ」がお出迎えです。

 右写真は当日の「お昼」です。和食が世界遺産になったそうで、景気をつけたわけではないでしょうが、このあと二品+デザートでおなかいっぱいでした。

 ホテルのお土産売り場には写真のような色とりどりの郷土玩具や、お菓子などがたくさん売られていました。



 ホテルの庭木も雪釣りなどの冬支度がしてありましたが、途中の道路から見た家々も同様でした。なかなか風情があります。


 お昼ごはんと休息の時間をはさんで、午後は「光ミュージアム」です。


 左写真は、マヤ文明をモチーフにした建物の入り口正面です。この奥に、ピラミッド状の美術館(半地下)があります。




 入り口から美術館へ降りていくところです。この後は撮影禁止、、、、


 今回の目玉は「光ミュージアム」の開館15年を記念し、特別展「上村松園と清方・深水展」す。 
 明治時代以降、日本画のジャンルの一つとして確立された「美人画」に関し、近代日本を代表する美人画家 上村松園、鏑木清方、伊東深水の魅力を一堂に会した展示がたのしみでした。

  特に研究者にも存在が知られていなかった幻の作品『紫式部図』(左)を始めとした、松園10点、清方15点、深水6点は全て「光ミュージアムのコレクションで、清らかで気品に満ちた美人画の秀作を十分に堪能できました

 また右も同じく松園作、「三美人之図」です。
 二人しかいないって?、いや右の女性の後ろに隠れるようにして立っています。傘の数からもわかります。
 手前から未婚の女性、ついで若妻、そしてもう一人の女性は眉を落としています、、、、

 同時代を生きた、よきライバルであった鏑木清方と彼の弟子、伊東深水の作品をもあわせ、学芸員の解説を聴きながらじっくりと鑑賞することが出来ました。

 さらに明治8年生まれの上村松園が、2歳にして父をなくし、15歳のとき来日中のヴィクトリア女王の三男アーサー王子に絵を買い上げられ、昭和24年74歳で没する前年に女性としてはじめて文化勲章を受章したなどなどの波乱に富んだ一生もしっかり理解できました。


 飛騨の地の天候はあまりよくはなく、バスの長旅もそこそこ疲れましたが、それにも増して多くの良い作品たちに出会えたこの旅は十分満足できました。

0 件のコメント: