2021年2月20日土曜日

いまさら LM386N AF パワーアンプ

 
 このところラジオ受信機に傾注しています。
 生涯ののラジオ少年である私にとって、いろいろなラジオのリペアや製作に明け暮れるこのごろは、いかにコロナ籠りの真っ最中といえども、至福のときです。

 そんななか、自作ラジオの低周波出力部でよく使われる、8ピンDIP(Dual In-line Package)のICであるLM386N(左写真)について私なりに整理してみました。

 左写真は手持ちのLM386Nを示したもので、8ピンのものがそれです。14ピンのものはより大きな出力が得られるLM380です。

 右に規格表の一部を示しますが、ここには何種類ものLM386Nが掲載されているのに気が付きました。

 私が持っていたものはLM386N-1で電源電圧の最大値は12Ⅴですが、LM386-3は18ⅤまでOKで、当然出力も大きくなるようです。
 LM386Nは多く使われるので、各社から同様なものが供給されていますが、秋〇で入手できるJRC製のLM386N(NJM386BD-3相当のようです。 今回は、手持ちのLM386N-1(以下LM386N)について話を進めていきます。

 回路図は規格表に掲載されているものとほとんど同じですが、入力は4.7uFのコンデンサで直流をカットしてあります。

 またこのICの特徴として、1ピンと8ピンの間に10uFを入れると利得を10倍増加することが出来ますので、ここにはショートプラグを挿入できるようにしてあります。

 さっそく左写真のように、ブレッドボード上に回路を組み、ざっと特性を取ってみました。測定器はHPのAFオシレータ、レベルメータなどです。

 電源電圧は、+9Vとし、負荷には手持ちの関係で6.6Ωの抵抗を使っています。
 出力波形をオシロスコープで観察しながら、入力の1kHzの供給電圧を徐々に上げていき、出力波形がクリップを始める6.6Ωにかかる電圧を読み取りました。
 結果は1.72Vでおよそ450mWになります。1ピンと8ピンの間に10uFを入れて利得を10倍増加させても入力電圧を下げられるだけで、出力に関しては全く同様でした。この時の消費電流は114mAで、連続使用ではICが少し温まりますので何らかの放熱対策が必要でしょう。

 ちなみに電源電圧+6Vでは、140mWの出力が得られ、消費電流は64mAでした。

 ことのついでにAFオシレータの周波数を変えてざっと特性を取ってみたのが右図です。
 1kHzで6.6Ω負荷で1.15Vは200mW、0.819Vは100mW出力のつもりです。

 グラフがかなりブレているのは、測定がいい加減なので本当はもう少しスムースだと思います。注目すべきは、むしろ低域が下がっていることで、実際に使う場合にはスピーカからの音を聞きながら低域・広域を補正することも考える必要がありましょう。

 最後に、実装写真を左に示します。
 中央部にメイン回路がありますが、LM386Nに銅板でシールドがしてあります。これは実装したときに、お定まりの発振が起きたので、その防止・対応策で効果がありました。

 発振は、増幅率を上げるために1ピンと8ピンの間にショートプラグを挿入した時に生じたもので、軽いモーター・ボーディングでした。

 写真右側は+15Vから+9Vを得るための3端子レギュレータです。

 ということで、今後自作ラジオの低周波出力部にはこの回路を定番にしていきましょう。

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