久方ぶりに今回はラジオのおはなしです。
9R-59Dというのは今から60年前に当時のトリオ社(今はKENWOOD?)から発売され、大人気であった通信型受信機です。(左写真)
この、ホコリ、錆び、傷があちこちにあり、見るからにくたびれ果てた受信機が、出てきました。いずれ手を入れて生き返らせようと今まで保管されていたものです。
簡単にリペアするか?元の姿にこだわってレストアするか?迷うところですが、ネットで海外のブログを読んでいたら「9R-59Dに貴重なお金や時間を費やすべきではない、、、」という主張に出会いました。
確かに外見はそれらしく見えますが、本機はいわゆるプロ用機材(軍用も含め)ではなく、家庭用の5球スーパーに近い存在なのだと私自身再認識した次第です。、、、ならばということでこの際機材をもう一度見直して私自身の好みに換えてしまおうと思い立ちました、いわゆる MOD(またはMODS、modification の略)です。
上図は 9R-59D のブロックダイアグラムです、今更ながらですが簡単に説明しておきます。図の左側から
V1. 高周波増幅で一般的なもの 6BA6は他のものに差し替え可能
V2. スーパーヘテロダイン受信機の混合、6BE6も一般的なもの
V3. 受信信号と混合させるための局部発振、6AQ8(双3極管)の半分のみ使用
V4,V5. 中間周波数増幅段、6BA6で2段増幅、455kHzの東光のメカニカル フィルタ
を使用、また Sメータもここで駆動
D4. AM検波し V7. 6AQ8(双3極管)の半分で増幅し V8. 6AQ5で
スピーカを駆動する
V6. 6BE6は V7. 6AQ8(双3極管)の半分のBFOからの信号を得て、この機材
の売りでもあるプロダクツ検波によってSSB、CW信号を復調 V7.へ、、、、
となります。
ここで今回の MOD の目玉である部品のご紹介です。右写真にある3本の IFT(中間周波数トランス)松下電産製の 2IF-N1 がそれです。
これは1961年に発売された、やはり松下電産製の通信型受信機 CRV-1 に搭載されていたものですから相当に古いものです。
ちなみに CRV-1は 9R-59D より5年も前にデビューし基本的なデザインは 9R-59D とよく似ています(ブログで検索時は Matsushita CRV-1 にて)。
この通信用高選択度2段増幅IFTは、
中心周波数455kHzで、総合選択度 63dB(±10kHz)
総合選択度 2.8 kHz (-3dB) と極めて優秀なもので、
今ではめったに入手できません。通常このような目的(高選択度)にはメカニカル フィルタ、クリスタルフィルタやセラミックフィルタをつかいます。
で、結論として目的とするところは、いわゆるアマチュア無線用ではなく、ジェネラルカバレッジとして MOD することにします。その際いくつかの変更をしたいと思っている点を以下に示します。
1. 問題が多いDバンドは無視する。
2. 混合(Mixer)にはノイズ低減を期待し、5極管の 6EA8 を採用、3極管部は局発のバッファーとし外部VFOも考慮。
3. 局部発振には6BE6の3極管結合とする。
4. IFTは経年劣化も言われているセラミックフィルタから前述の 2IF-N1 に変更し、高選択度ながら素直な当時のフィーリングを目指したい。
5. SSB、CWは副次的なものとし、6BE6の自励発振による検波回路としたい。
6. 本機の弱みでもあった周波数変動を少しでも抑えるために、発振回路には半導体使用の定電圧電源を用意する。
7. 低周波増幅部はLM386Gを採用し半導体化する。
8. Sメータ回路を別途考える。
9. ディジタル化した周波数表示も考慮したい。
を考慮して新しいブロックダイアグラムを書き直しました。
以上いろいろ述べてきましたが、9R-59Dを悪く言っているつもりはありません。かつての我々ラジオ少年にとってまさに光り輝く希望の星だったのですから。
ではこの構想に沿って、プロジェクト開始です。ブログは進捗に応じアップしていきますが、うまくいくかはこれからのお楽しみ、、、ということで。