連休のさなか、ふと思い立って定電流負荷装置を製作しました。定電流負荷装置とはその名が示すように供給する電圧にかかわらず、一定の電流を消費させるもので、電源関係の回路を実験する際に便利なものです。もちろん電流値は自由に設定する事ができます。
先ずはスペックの決定です。
・供給電圧は真空管回路も念頭に入れ、500V以上。
・消費電流は0-1A、0-100mAの2レンジとする。
・電流値はダイアル直読とする。(10回転ヘリカルポテンショメータ(抵抗)を使用する)
・出来るだけ小型にする。一番の懸案は熱設計です。たとえば100Vの電圧を100mAの電流で消費させた場合10Wの熱を発生します。この熱を逃がさないと負荷素子(今回の場合はFET)は破壊されてしまいます。といって教科書どおりにすれば放熱器のお化けになってしまいかねません。今回は小型のファンとアルミのフィンつき放熱板を使用しました。
回路はきわめて簡単なもので、TL431によって作られた基準電圧と電流測定用の1.2Ω抵抗に生ずる電圧をLM358オペアンプで比較し、その出力でパワーFET(2SK2726)をオン・オフさせるものです。電流値の設定は、2kΩのヘリカルポテンショメータで基準電圧から比較電圧を決めてやれば、そのままダイアル値が電流値直読になります。レンジ切り替えはヘリカルポテンショメータに与える電圧を抵抗で切り替える事で対応できました。
左写真に使用した主なコンポーネンツを示します。
・左がパワーFETの2SK2726です。Hitachi製で耐圧500V、最大電流7Aです。
・中央はオペアンプのLM358です。オリジナルはNS(ナショナルセミコンダクタ)で単電源でも使える汎用オペアンプとして一世を風靡し、セカンドソースも多くあります。少し古くなりましたが、私が使う用途には十分で、@¥20はすてがたいです。
・そして右がオリジナルはフェアチャイルドのシリーズレギュレータTL431です。回路図のようにカソードとリファレンスをつなげば、即2.495Vの基準電圧が得られますし、抵抗を付加すれば、36Vまでの任意の値が得られます。これがなんと@¥10で、この汎用性とコストで私の電子工作の電源回路には多用されています。
そんなわけで、これらのコンポーネンツは手元に多数あって、すぐに製作にかかれるのが自慢なのですが、秋葉原や大須アメ横に出かけるたびにガラクタがふえるのが難点です。
右写真がケースに入れて調整中の定電流負荷装置です。左上に装置作動用のDC12V電源がプラグから供給されているのが見えます。中央上のレンガ色の円筒状のものが2kΩのヘリカルポテンショメータで、右側にある10回転ダイアルにつながっています。左下には被負荷用の入力端子(赤・黒)が見えます。放熱器は本体と離してあるので見えません、下の写真を見てください。
下の写真は完成した定電流負荷装置を作動させているところです、見にくいですが、ダイアルは600にセットしてあり、マルチメータの電流測定値は0.60151Aを示しています。このように細密な電流測定の時には電流計を挿入すればいいのです。(ダイアル指示値のみでも1%には収まっています。)
写真ではダイアルの左にあるスナップスイッチは上に倒してあり、赤いLEDが点灯していますが、これを下に倒すと黄色のLEDが点灯しマルチメータの電流測定値は0.060,,Aを示します、そうですこれはレンジ切り替えスイッチです。1A以上および、10mA以下のときはブレッドボード上に仮で組めばいいでしょう。
今回は急ぎの製作にしてはなかなかコンパクトに出来、満足しています。
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