久しぶりにカメラの修理をしました。過日、高校時代の親しい友人が私の趣味に思い当たり、「診てくれないか?」と頼まれたものです。
託されたカメラは「コーワ フレックス E(Kowaflex E)です。
コーワとは「興和」のことで、あの「ケロちゃん」で知られるコルゲンコーワのコーワです。かつてはこの会社は多くの部門を持っていましたが、いまは撤退したカメラ部門もそのひとつです。
でも発売当時、(このモデルはロゴがKowaflexでなく、Kowaとなっているので1962年以降)¥25800もした高級品でした。(大卒初任給でも¥20000くらい?)彼が大切に使ったのは十分に理解できます。
カメラを観察すると、さすがによく使い込んであり、トップカバーの凹み(上写真)、レンズのフィルターネジ部の凹み(右上写真)など落下の形跡があります。シャッターは動きが渋いですが、長期作動させないときの現象です。何せ当時一世を風靡した「SEIKOSHA-SLV」シャッターが装着されていますから大丈夫でしょう。ただこのカメラのウリである、外光式露出計は動いていません、残念!!!
さていよいよ分解です。お決まりの手順で、1.巻き上げレバーをはずす。(左写真)時としてこのネジは逆ネジのときがあり、要注意ですが、今回は順ネジ(右締め)でした。
2.フィルム巻き戻しノブをはずし(奥の皿の上に転がっている)、次いでトップカバーをとめているネジをはずす。(右上写真)3.ついでトップカバー横のネジも、、、(左写真)
4.これでトップカバーが外れました。(右写真)中央のピラミッド状のものは ペンタプリズムです。
5.(左写真)手にしているのは一眼レフの象徴、ペンタプリズムです。いまどきの安い「デジ一」はこれがなく、鏡(ダハミラー)のものが多いとか、、、、 6.(右写真)右側はフォーカシングスクリーン、ずいぶん汚れています。円筒形のものは露出計用のメータ。断線していませんでした、ヤレヤレ何とか使えるようにしよう。
中央下の四角いものはフォーカシングスクリーン部に使われているものたちです。
右写真はファインダーを覗いたときに見られる像です。見にくいですが、右側に指針と指針を合わせる指標があります。シャッター速度と、絞りを互いに変えて、針が指標に合ったときが適正露出というわけです。
とりあえず完成です。本当はまだレンズを分解して汚れなども取りたいのですが、なにせモノクロ全盛時代のファミリーカメラで、カメラそのものよりもオーナーの思い出のほうがはるかに価値があると考えました。
したがって、このカメラはオーナーの座右にでも置いてもらって、時々空シャッターを切って音を楽しみ、カメラの質感・重量感を肌で感じてもらい、興がつのればモノクロフィルムを詰めて散策にでも出かけるような存在であって欲しいと思います。
彼がこのカメラでファインダーを覗いたとき、きっとあの高校時代のシーンが見えるに違いありませんから、、、、、
4 件のコメント:
このような場所に申し訳ありません。
雑誌制作会社(株)QFと申します。
ただいま花の雑誌を新規企画しており、そのなかでシンビジウム・エバニウムを紹介したいと思っております。
管理人様の撮影された2012年3月11日アップの2番目のお写真がとても美しく、是非とも小誌に掲載させていただきたく、ご相談申し上げます。
お忙しいところ誠に恐縮ですが、
questfor@ba2.so-net.ne.jpにご連絡いただけますようお願い申し上げます。
貴兄の趣味の高度さに毎回驚かされています。電子手帳もカメラも、簡単(?)に修理してしまうなんて凄いです。電子工作の世界になると小生には何が凄いのかも分かりません。
今回の貴兄の名文を読ませて頂いて、長くカメラを愛用した人の道具を大事にする気持ちが少し理解できました。
かりやさん、お褒めいただいて恐縮です。カメラ修理はかなり年期が入っていまして、ずいぶんやりました。でもできるのは金属ボディのクラシックカメラです。ライカなどは意外とやさしいです。プラスティック・IC化された最近のものは手が出ません。でもその間に、おっしゃっているように、道具と使う人の気持ちが私も少しはわかったような、、、、、
素晴らしい記事をありがとうございます
私もカメラ修理に挑戦しようと思います。
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