2015年4月5日日曜日

九州小旅行(3/3)(湯布院ー高千穂)

 由布院に到着したのは16時過ぎでしたが、さすが九州です。3月半ばとはいうもののまだ陽は高く、ごったがえす人並みの頭上に由布岳が回復した天候の青空を背にひときわ高くそびえたっています。由布岳は豊後富士とも呼ばれる、2つのピークをもった標高1583mの独立峰なので、ここ湯布院盆地からは際立って見えるのです。

 ホテルのフロントで、このあたりは17時になるとほとんどの店がシャッターを下ろしてしまうので、散策は今のうちですよ、、、、と勧められて急ぎメインストリートに出てきました。
 
 この通りはみやげもの店を主とする多くの店舗が立ち並び、比較的若い人も多くみられます。

 と、その中に手湯なるものをみつけました。足湯はよく耳にしますが、、、、

 左写真は金鱗湖で、この湖の魚が夕日に照らされて金色に輝いたということによる命名だそうです。


 池底から温泉と清水が湧き出ており、かつ流入する小川には温泉もあるという由布院ならではの湖です。
 あたりは少しずつ暗くなりかけていますが、夕日を浴びた遠くの由布岳が湖面に映っています。

 近くではコサギが夕食のエサをさがしていましたが、人に慣れているのか逃げようともしません。冠毛をうしろに垂らしているのはすでに夏毛に衣替え、、、、


 私たちも夕食を摂るべくホテルに引き返しましたが、すでに17時を過ぎており、人通りも疎となって、店々のシャッターもほとんどが下りているのも過言ではありませんでした。

 いそぎひと風呂浴びて夕食です。食事の場所は床の間つきの和室(個室)なのにテーブルを使うなどはなんとなく場違いの感もありましたが、たしかに楽ではありました。
 事前に細かい調べをしない私たちなので、支配人?から、このホテルが女性客をターゲットとしていることを聞いてようやくその佇まいに納得しました。

 料理は和風創作料理で今の流行なのでしょう。
 ここは女将さんが注力しているらしく、隅々にまで目が届いていました。また、スズメの絵がお好きなようで、あちこちに作品が見られましたが、大変お上手です。
 メニューのひとつに「女将が毎日巻いています」と紹介された「豚角煮クリームパイ包み」もおいしくいただきました、ソースでゆふと書いてあります。

 デザートの「豆腐花黒蜜添え」(右)もなかなかのものでしたが、マットに書いてある明日の朝食の「だんご汁」が楽しみです。

 このホテルでは先に紹介した理由から年中雛人形が飾ってあるとか、、、、これはウサギさん一族です。


 朝食は例によってメニューが次々と運ばれ、昨日に続きおなかの皮のストレッチです。
 そしてとどめが「だんご汁」(下)!!

 さっそく調べてみました、だんご汁とは大分の郷土料理で小麦粉をこねた団子をきしめんのようにのばし味噌(または醤油)仕立ての汁に入れたものであり、汁にはごぼう、にんじん、しめじ、豚肉などが入り豚汁に似ておりダシにはイリコ煮干用いられる」とありました。
 山梨の「ほうとう」に少し似ています。

 さて出発です。朝方の霧もすっかり晴れて、今日は朝から3日目にして晴天です。
 当初は大分自動車道を戻り、久留米、柳川に立ち寄ろうかと考えていましたが、天気も良いことですし、なによりも事前に親しい友人の勧めがあったので少し時間がかかりますが、高千穂を経由して帰途につくことにしました。
 
 この点レンタカーの旅は予定が自由に変えられて重宝です。右に行程図を示します。

 由布院から、やまなみハイウエイを南下し、九重連山の脇を通って阿蘇市(阿蘇山の北側)に入り高千穂峡を目指します。
 そこで高千穂峡、高千穂神社、天岩戸神社などを巡ってから熊本空港に向かいます。
 さいわい季節はずれの平日とあって道路は空いており快適な高原ドライブとなりました。
 反面、残念ながら緑の景色には縁がなかったとはいうものの初めての地の景色はどれも興味を引くものばかりでした。

 しばらく走行して九重連山を遠望できる道路わきの駐車場で小休止しました。

 地名を見ると朝日台とあり、標高920mで傍らに、昭和41年10月に天皇・皇后両陛下がここから御展望になった旨の石柱が立っていました。
 なるほど、前方の景色を見ておもわず駐車場に滑り込んだのは納得ができました。
 写真はここ朝日台から眺めた九重連山です。1500mを越える山々にはまだ雪が残っています。ここから(はんだ)高原を経て阿蘇に向かいます。


 直線の多い道路から、曲がりくねった道にさしかかり、残雪を間近に見ながら登っていくとやがて標高1330mの牧の戸峠です。

 下写真は前方が開けたところからの遠望です。
 はじめは少し雲が出て、天候が悪化してきたのか、、、、と思いましたが違いました。

 これは阿蘇山の噴煙だったのです。
 中央に見えるのが阿蘇山で、その左側の山頂がぎざぎざに見える山が標高1433mの根子岳(ねこだけ)です。噴煙が南風に乗って遠くへ流れている様子が良くわかります。

 阿蘇市に入り阿蘇神社近くの交差点から噴煙を見たところです。思っていたよりずいぶん大規模なもので驚きました。この地域の人たちはこれを毎日体験しているのです。








 ようやくにして根子岳の東を抜け、阿蘇山の東南、熊本空港への岐路あたりにまで南下してきました。阿蘇山の噴煙も風上から見るとまたいっそう迫力がありますが、火口はここから約8kmほど向こうです。




 

 高千穂峡は、阿蘇山の火山活動によって生じた火砕流堆積物が冷却固結してできた熔結凝灰岩溶岩が五ヶ瀬川の侵食によって出来た峡谷で、五箇瀬川峡谷(高千穂峡谷)として名勝、天然記念物に指定されています。
 左写真は上にある「おのころ池」から高千穂峡に流れ落ちる「真名井の滝(まないのたき)」です。
 あらかじめ思い描いていた高千穂峡のイメージと楽しそうにハシャグ若者たちのボートがアンマッチで、、、、

 でも景観はすばらしい!

 少し時間をかけて川べりの遊歩道を散策しました。ふと見上げると頭上に近代的な橋がかかっています。峡谷にかかっている橋からは三重になっています。

 ついで天岩戸神社へ向かう途中、高千穂神社に立ち寄り参詣しました。
 
 高千穂峡の間近にありますが、思っていたよりも規模は簡素でした。

 天岩戸神社はさらに車で約20分のところにありました。関連する神話などについてはまたの機会ということにしたいとおもいますが、案内表示のように多くの神社がありました。


 私たちはこのうち西本宮、天安河原そして東本宮の3ヶ所を廻ることにしましたがそこそこ距離があってそろそろ疲れが、、、、



 右写真が西本宮です、静寂で厳かな感じがしました。看板には地域の氏子が維持をしているとありましたが大変そうです。

 西本宮から天安河原へは谷を上の道路から河原まで約500mの長い距離を降りていかねばなりません。

 途中で河原から登ってきた同年輩の男性が息を切らせながら「下り良いよい、帰りが怖い」とささやいていきました!?
 
 天安河原(あまのやすかわら)は岩戸川をかなり遡って、曲がり角を左に曲がったとたんに目に飛び込んできました。
 驚くほど大きな洞窟の中に祭ってあります。
 このような景色はこれまで経験がありません、足元には無数の積み石があり、思わず「賽の河原」がイメージされました。


 怖い帰りを何とか登り切り西本宮まで、そこから次はさらに反対方向の、川向こうにある東本宮へ、、、、こちらも500mはあります。

 境内に入っていきなり頭上からお神楽が聞こえ、見上げると右写真の大きな人形が踊りだしました。

 そうですこれは天鈿女命(あめのうずめのみこと)でしょう。なんとなればここ東本宮にお祭りしてあるのは天照大神(あまてらすおおみかみ)だからです。

  いざ参拝となって躊躇してしまいました。目の前に延々と石の階段が続いているではありませんか、でも意を決して上りきりましたが本殿はすがすがしい佇まいでその甲斐があったというものです。
 もともとはこちらが本宮であったらしいのですが、今では西本宮へと人の流れが変わってしまったようです。


 ということで天孫降臨の地、高千穂ともおわかれです。遠くの山に見える白いものは阿蘇山の噴煙でしょうか、雲でしょうか、時は何事もなく静かに流れていきます。この地は想像以上に地域信仰のテイストが残っており、訪れてよかったと思いました。
 あと熊本空港までは何事もなく、無事に到着でした。
 はじめてのレンタカー旅行でしたがそのよいところを十分に楽しむことが出来ました。わけても借りた車が日常使っている家人のと同じアクアだったので、3日間の走行が440kmあまりで、最後に補充したガソリンが約16リットル強、ということは26km/リットルの燃費でさすがでした。  (完)

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