2020年9月12日土曜日

豊穣の秋

 連日の猛暑にひき続き、強大な台風もこの地域では無事に過ぎ、一日一日と空気もさわやかめいて、それこそ、さやかには見えない秋が静かに近づいています。

 我が家の狭い庭で、キウイフルーツが沢山の実をつけています。
 このキウイフルーツは、かれこれ40年前に今は亡き父が植えてくれたものです。

 当然のことながらキウイフルーツは雌雄別株なので、実のなる雌株は高く・広い棚を得て、夏場の日よけにも大きく貢献していますが、雄株は開花時の受粉目的のためだけの存在なので、片隅に小さく剪定されています。

ということで、雌株は右写真にみられるように、幹も太く堂々として貫禄十分です。

 ところが、昨年は春の異常気象の故か、花が少なく、結果としてさみしい収穫なりました。しかしながら今年は無事にたくさんの花が咲き、とくに摘花もしなかったので、小さめの実がびっしりとつき、まさに豊穣の秋となりました。

 キウイフルーツ(kiwifruit)は、マタタビ科マタタビ属の雌雄異株の落葉蔓性植物の果で、原産地は中国、それをニュージーランドで改良されたものがアメリカに輸出された際にキウイフルーツと命名されたようです。

 この名前については、ニュージーランドの有名な鳥である「キーウイ」の形にちなんだという説もありますが、さだかでは、、、、

 キウイフルーツは最近、理想的な食べ物として注目されているようです。
 キウイフルーツに多く含まれる栄養素は、ビタミンC、食物繊維、カリウム、葉酸、ビタミンE、アクチニジン、ポリフェノール、有機酸などですが、ビタミンC美肌効果と疲労回復、食物繊維便秘改善、カリウム塩分の調節、葉酸・有機貧血予防、ビタミンE美肌効果そしてアクチニジンタンパク質の吸収を早めてくれるなど、まさに優等生です。

というわけで、今年の秋のキウイフルーツの収穫が楽しみです。

もっとも、棚の地上高がかなり高いので、手間がかかります、このコロナ禍では孫の手も当てにならず、家人と安全に収穫を楽しみたいと思っています。

2020年8月31日月曜日

簡易トランジスタ hFEテスターの製作

 は、前回のブログでご紹介した HP E2373A ディジタル・マルチメータをチェックしている際に、実験用の定電圧電源を壊してしまいました。定電圧電源の出力に、誤って交流30Vをかけてしまったのです。

 古いですが、この定電圧電源はトランス式のシリーズ・レギュレータで、多少重いですがスイッチング式と異なり、ノイズも少なく便利に使っていましたので、急ぎ修理に取り掛かりました。

 







 中身は完全なディスクリートで、トランジスタを初めとして、抵抗、コンデンサなど我々世代には懐かしく、なじみのものばかりです。(右写真)

特に目に見えるダメージはありませんし、メータも生きていますので、トランジスタかダイオードがおかしくなったものと目途を付けました。


 と、ここでトランジスタの良否をチェックする必要が出てきました。hFE (直流電流増幅率)を測定したいのです。

 これまでにも、hFE (直流電流増幅率)測定器は作ってみたいとは思っていましたが、簡単なのでいつでもできる、、、、と先送りしてきましたが今回は必然です。

 hFEは左図に示すように、トランジスタのベースに一定の電流を流した時にコレクタに何倍の電流が流れるかを示したもので、一般的にはベース電流に10uAが用いられるようです。


 今回製作した簡易トランジスタ hFEテスターの回路を右に示します。

 電源には百均でも入手可能(2個で¥100)な9Vの乾電池を使い、小型5Vシリーズ安定化電源用ICである78L05を使っていますが、6Vの出力が欲しいので、GNDピンにSiダイオードを2本入れています。


 次いで、トランジスタ・タイプの切り替えスイッチで、npnタイプ(2SCxxx、2SDxxx)のときにはコレクタとベースにプラス電圧を、pnpタイプ(2SAxxx、2SBxxx)のときにはマイナス電圧がかかるようにしました。
 ベース電流の10uAは540kΩを入れてあるだけですが、場合によってはFETを使って、定電流回路を入れてもよいかと思います。


 コレクタにある100Ωは、この両端に発生する電圧をディジタルマルチメータで読めばそのままhFE値が読み取れるようにするもので、もし120mVであればhFE=120となります。

 回路図で赤く囲ってあるのは、供試トランジスタの脱着を容易にするためのゼロ・プレッシャー・ソケット(右上写真)で、手持ちのものを流用し、トランジスタのECBをそれぞれ写真のように配置してあります。


 それらを小さなプラ・ケースに実装したのが、上写真です。
 ケースの下に2本突き出しているのは、HP E2373A ディジタル・マルチメータの端子に直接差し込んで使うための、バナナ・プラグです。

 右写真がhFEの実測状況です。ディジタル・マルチメータは直流電圧のオートモードにしておけばOKです。
 この例では、2SC373を測定中ですが、規格表によれば、hFEは200~400とありますので、278という数字は妥当なものだと思います。

 ということで、冒頭の定電圧電源の修理に取り掛かりました。
 使用してあったトランジスタは、パワー・トランジスタの2SD414Qを別にすると、2SC372Y2SC2120Y、2SA495の3種類でした。

 測定してみてわかったのは、これらトランジスタのhFEはほぼ200でそろっており、これがメーカー製なのだ、、、、と変なところで感心してしまいました。

 そんな中で、冒頭のプリント基板写真のなかで赤丸で示した、2SC372Y、2SA495の各1本が、158、168のhFE値を示しましたので、hFE200以上のものと交換したところ見事に回復しました。

 これでこの定電圧電源も、もうしばらく愛用できそうです。

2020年8月23日日曜日

HP E2373A マルチメータのリペア

 HP(ヒューレット・パッカード)のデジタル・マルチ・メータ(DMM)を入手しました。

 今時HPの製品といえばパソコンのことを指すようですが、ここでいうHPとは電子計測器のことです。

 ヒューレット・パッカード社は1939年に、スタンフォード大学の同級生だったビル・ヒューレットとデイブ・パッカードによって電子計測機器製造会社として設立されました。
 日本でも合弁会社である横河ヒューレットパッカード社がありましたし、今でも、このHPの電子計測器部門は、アジレント・テクノロジー、キーサイト・テクノロジーと名前こそ変遷していますが、この分野で世界のトップを走り続けています。

 わたしはこのHPの計測器が好きで、何台か所有しています(もちろん新品は超高価なので、中古ばかり)。

 HPの計測器は、その品質はもちろん、詳細な回路図付きのサービスマニュアルが入手しやすいこともありますが、何よりも私自身と同じような時代を歩んできた、という親しみもあります。

 今回入手した、HP E2373A マルチメータは1990年のHPカタログに載っていましたから、30年くらい前の製品でしょう。
 裏側のIDを見ると、10桁の中央あたりにの文字が見られます。そしてその下のラベルに米国特許のライセンスのもとにつくられたとありますので、前述の横河ヒューレットパッカード社での製造ではないかと思われます。

 きわめて安価でありましたので、いささかの不安はありましたが、このデザインが気に入っていましたので、ダメなら文鎮代わりにでも、、、、と入手しました。

 さっそく裏カバーを開けてみると、その造りの見事さに見惚れる間もなく、右下のスパーク跡が目に飛び込んできました。(左上写真は修理後)

 この部分は、10A測定レンジなので、過大電流を流した時に、プリント基板の銅箔が鎔断してしまったのでしょう。

 結果的には、10A測定レンジのみ独立回路になっており、銅箔がフューズのように瞬時に?鎔断したのは、本体部分にはダメージを与えない、絶妙な設計であった、、、、と勝手に感心してしまいました。

  右上写真の左は修理前、右は溶断した部分を銅箔テープで補修した修理後です。

 左写真は10A測定レンジに定電流電源から2.83Aを流してみた結果です、うまく働いています。

 他のレンジも特に問題なく、作動しているようなので一安心です。

 以前このブログでも紹介した、My基準電源(簡易電圧標準の製作)を利用して応答を見てみました。回路図を示しておきます。

 4,095Vに対して、4.08Vの表示は誤差-0.37%ととなり、規格の0.7%を As Is で満足していました。

 今回のHP E2373A マルチメータは今時のそれに比して、機能も精度も劣っています。

【表示桁】3 1/2
DCV300mV1000V
ACV3V750V
DCA30mA10A
ACA30mA10A
OHM300Ω~30MΩ
確度: 0.7%(DC測定)1.2%(AC測定)0.7%(抵抗測定)

 しかしながら、その使いやすさと、使っているときの気持ちのよさは何物にも代えがたいものがありますので、今後座右においておくつもりです。

精度などのチェックは、写真の兄貴を基準にして校正してやればいいと思いますし、また校正が容易にできるようにこのマルチメータは設計してありました。

2020年7月15日水曜日

霧の中のニッコウキスゲ

 コロナそして長雨、、、と、このところ気の滅入る毎日ですが、ようやく越境禁止も解除の声が聞こえてきましたので、昨年、一昨年と都合で果たせなかった、ニッコウキスゲに逢うべく霧ヶ峰に出かけてきました。

 ところが出発の間際になって、連日の豪雨となり、一時は中止もやむなし、、、の想いもよぎりましたが、熟慮の結果断行を決意しました。

 幸いなことに当初の雨も徐々に回復し、諏訪ICを降りる頃には雨は止んでいました。例によって昼食は毎回途中にあるガムラスタンというスゥエーデン・レストランで摂ることにしています。
 この時期、休業ではないかとの杞憂もよそに、少し色褪せてはいましたが、スゥエーデン国旗が出迎えてくれましたし、傍らのスグリも透き通った赤い実をたわわにつけていました。



 もうかれこれ20年になるこのレストランも、しっかりとした造りに日々の手入れの良さも手伝ってか、当時のままに雰囲気を保っていました。

 シェフご夫妻も元気そうで、久しぶりの会話を楽しみました。
 ニシンのマリネから始まるメニューも当時から変わらず、その中で、前菜のアボカドサラダと魚介の盛り合わせは毎回楽しみにしている一品です。(右写真)
 自家製のライ麦パンの香りも楽しみながら、ゆっくりとした時間を楽しんだのちにはウエストも多少大きくなったような、、、、
 
 雨こそ止んではいますが、雲は低く山々の上部は雲に覆われていました。せっかく来たのだから、行けるところまで行ってみようということになり、出発です。
 大門峠を越えて、白樺湖を見下ろす展望台にやってきました。
 ここからは白樺湖とその奥に蓼科山が見える絶景の地なのですが、この日は雲が低く、湖だけが見えています。

 さらに車山の麓まで登った時に、八ヶ岳のきれいな稜線が遠望できましたが、山頂はやはり雲で覆われていました。




 しばらく進んでいくうちに、周りの景色が白内障?のように霞んできました。そして、お目当ての霧ヶ峰富士見台駐車場に到着したときには多少の視界はあるとは言うもののほぼ霧の中でした。
 見回すと、広い駐車場内には私たちの車を含めて2台のみでした。

 でもうれしいことに、山側の斜面に目を凝らすと、点々と黄色いニッコウキスゲの花の色が、目が慣れるに従って見えてきました。


喜び勇んで、坂道を上り、急いで撮ったのが左の一枚でした。
 まさに霧の中のニッコウキスゲ!!!
 雨、風も徐々に強くなってきましたのでここで下山することにしましたが、この時期に、このような景色が見られ本当にラッキーでした。

 時期的には少し盛りを過ぎてはいますが、防鹿柵の効果は絶大で、見渡す限りのお花畑です。


 ホテルに到着後はゆっくりと温泉に浸りリフレッシュです。

 ホテルは予想どうり、宿泊客は少なく広い浴場もほとんど独り占めでした。


 食事も、弁当+料理といつもと勝手が違い、格別おいしいとは言えませんでしたが、ついつい完食してしまいました。

 食事後はもう一つの楽しみである、蛍狩りです。 毎年近くのせせらぎでホタルを見ることが出来ます。ホテルの人の話では、3日ほど前に大雨があったとのことなので、ホタルが流されてしまったのではないか心配でした。


 しばらく待ってもホタルは現れません。
 ようやくにして遠くで一つ二つ光が見えました。ここでおまじないです、懐中電灯をホタルの点滅時間に合わせて、オン-オフしてやると、うまく同期した時には懐中電灯の点滅に集まってくるのです。

 いくばくか後には10匹程度が反応し、そのうちの1匹を捕まえることが出来ました、本当の蛍狩り!(左写真は暗闇の中懐中電灯の光で撮影


 右の絵を参照すると、ゲンジボタルであることがわかります。
 ということで幸いにも2つの目的を無事果たすことが出来ました。
 一夜明けて、朝食ですが、これも弁当+アルファで少々がっかりです。
 
 今日は心配した雨も大丈夫なようなので、久しぶりにバラクラ(蓼科高原 バラクライングリッシュガーデン)へ行ってみることにしました。

 開園して約30年というこのガーデンは、四季折々の植物の組み合わせを楽しめる英国式のガーデンで、たまたまバラクラといえばバラ園を想像しがちですが、バラクラは「バラ色の暮らし」の略なのです。

 右写真は、エントランスにあるシンボルツリーであるゴールデンアカシアとモニュメント(実は木製)です。

 それでもバラに期待していましたが、やはりバラの季節は終わり、今はアジサイなのだそうです。

 左写真は緑濃い庭園に映える白いブランコと白いアジサイ(アナベル 西洋アジサイ)です。











 そうは言っても最後のバラのアーチがありました。写真ではそれなりに見えますが、実物は、、、、です。




 アジサイは紫陽花という字があてられているように、やはりブルーが落ち着きます。










 右は、左側のアジサイとは対照的な、赤です、どちらがお好みでしょうか?





 もちろん白もあります。よく似ていますが、柏葉アジサイとも違うようです。













 まだ梅雨なのです、あちらこちらにアマガエル(ニホンアマガエル)も見かけました。かわいいですが、分泌物には毒性があるそうなので、要注意です。


 たまたまの思い付きではありましたが、梅雨の休みに、ニッコウキスゲ、ホタルに出逢うことができ、心休まる一泊旅行でした。

2020年6月26日金曜日

10年目のVAIOに最新win10を無料インストール

 親しくしている友人から「パソコンが壊れたんだけれど要らないか?」との話があり、1も2もなく連れて帰りました。

 パソコンは左写真に示した、SONY(当時)のVAIO (VPCJ218FJ) です。
 このモデルは、2011年に発売され、もう10年目になります。しかしながら、そのデザインは流石で、今でも古臭さは感じさせません。

 故障については、電源を入れてもVAIOの表示は出るが、Windowsは立ち上がらない、、、、というものです。(OSは Windows 7 home とのこと)

 故障原因はHDD(ハードディスク)でしょうが、リカバリーDVDがないので、修復にはいろいろな選択肢がありましょう。

 ハード的にはディスプレイが1920x1080をサポートしていますし、CPUも古いながら、インテル® Core i5-2410M プロセッサーを搭載しており、メモリも8GBにしてありましたのでまだまだ使えそうです。

 真っ先にやるべきことは、HDDのチェックです。本体の裏側・下部にある、スタンドを支える正方形のパネルの中にHDDがありますので、4本のねじを取り去ったのちに、多少力任せにこのパネルを外すと、右写真のように、3.5インチのSeagate製の1TB HDD が搭載されていました。

 別途、他のパソコンでチェックを試みましたが、パソコンはHDDの存在さえ検知できませんでした。いろいろ調べてみましたが、この時期の、バラクーダという愛称?を持つ、このHDDは結構問題を抱えていたようです。

 さて、、、、と思案投げ首のなか、ヒラメクものがありました。
 この5月にWindows 10 のメジャー・アップデートがあったことに思い至りました。
 Microsoft はほぼ半年ごとに Windows 10 のメジャー・アップデートを実施してきていますが、これにより当初欠点満載であった Windows 10 もようやく洗練されてきたといわれています。

 公式には、Windows 7 から Windows 10 への無料アップデートはとうの昔に終了していますし、Windows 7 も今年初にサポート打ち切りとなっています。

 それでは、ということで「10年目のVAIOに最新win10の無料インストール」を試みることにしました。

 最初にやるべきは、定番ながら処理速度で圧倒的に効果のある、従来のHDDのかわりにSSDを採用することです。軽く、小さなSSDは右上写真のようにスペースも取らず収まっています。

 この状態で、あらためてOS ( Windows 7 home )をインストールしました。手持ちのものはVAIO用ではないので、思いつくままにいろいろなVAIO用デバイスドライバーを、ネットのVAIOサイトからダウンロードしておきました。
 この結果、基本的な動作ができることを確認して、次のステップへ進みます。

 前述の、Microsoft のサイトから指示に従って、SDカード(8GB以上)にWindows 10 May 2020 Update(x64)をダウンロードします。

 次に VAIO の BIOS のブート・メニューで、最初に読み取るデバイスに外部装置を指定しておき、SDカードを差してからコンピュータの電源を入れます。
 しばらくして上写真のような画面が出ればひと安心で、あとは画面の指示どうりに進んでいけば、お定まりの画面に到達します。 

 実を言えば、ここまですんなりできたわけではありません。
 アップデートするべき Windows 10 はベースのWindows 7 と同じタイプのものである必要があります。
 この場合 Windows 7 home がベースだったので、Windows 10 も Windows 10 home を選択する必要がありました。x32 から x64 への変更はOKでした 

 これまで私は home edition を pro edition の下位レベルだと思い込んでいましたが、そうではなく、pro edition は中小企業向け、、、、とあり、目的で分けられているのだと納得しました。
 ということは個人で使う限り、home edition がベターかもしれません。

 最終的に、上左写真のようなシステム・プロパティーが得られています。もちろん認証もすんなりと通っていました。
 このモデルは、デスクトップとは言えラップトップから進化したものなので、その軽快さを生かしたサブ・パソコンとしてしばらく使ってみましょう。

2020年5月31日日曜日

ACプローブにHP-410C が付きました

 左の写真は、今から4年前の5月に、私のブログに投稿した、「私のジャンク箱から(1) HP 410ACプローブ」で紹介されている、HP410用のACプローブ(MODEL 11036A AC Probe)です。

 本来はHP410 Voltmeter (下写真はHP社のカタログより)で使用すべきものなのですが、手元になく、不遇をかこっていました。

 ところが最近になってふとしたことからこの本体が入手できました。保証なし、ジャンク状態ということで、全体はホコリまみれでメータ・パネル面はコーティングが剥がれかかっており、測定ケーブルもドロドロで、右写真とは雲泥の差でありました。

 今回やってきた HC410C は HC410 シリーズの最後のモデルで、最も洗練されたものです。少し調べてみるとシリアル・ナンバーにYの文字が入っていることと、電源トランスの入力がAC100Vのみであることから、1963年に創立された河ヒューレット・パッカード株式会社の製品で、1965年ころのものであることが推測されます。

 早速ネットから左のマニュアルを入手して勉強開始です。
 メーター面のコーティング剥がれが起こるのは初期のものらしいので、マニュアルもそのように選択しました。








 右図は心臓部にあたるチョッパー増幅器です。
 この部分は直流増幅器なので、当時の技術ではドリフトがなかなか抑えられず、我々の若き時代によく使ったレコーダーや、センサーの増幅器にもいろいろなタイプのチョッパーが使われていたのを思い出します。

 抜き出した回路図には真空管(12AT7)1本とPNP型ゲルマニウム・トランジスタ 2本を用いているだけで、今なら低ドリフト・FETオペアンプ1個で簡単に形成できるものと思います。

 キモは橙色で示した四角部分のチョッパー素子の生死です。ネオンランプの断続光をCDSセンサーで感知するタイプなので、暗くして観察してみました。

 ケースの上板を外し、部屋を暗くして短時間だけ通電してみたのが左写真です。中央に2個並んだ光チョッパーの色を見て、思わず安堵しました。他の回路なら何とかなりましょうが、チョッパーの故障はいささか難物なので、、、、

 上下左右のパネルをすべて外し、内部の清掃を行った後(クモの巣もありました)、の下面の写真を右に示します。

 ここは電源部です。基板に差し込んであるコネクタのバネ力が弱っていますので、上写真の右下のように、チェックの結果によっては直にはんだ付けする必要があります。

 改めて通電し、しばらく様子を見てから、電圧チェックを行いました。

 上写真の中央部のGNDをベースに、7ヶ所の電圧を測ります、表記に近い数字が出ればいいでしょう。入手時の外見に反し、比較的正しい電圧が出ていたのにはいささか驚きました。さすがヒューレット・パッカード!! (この製品が出てからすでに60年近くたちますが、今ではヒューレット・パッカードといえばパソコン名でしか知られていない時代に変わっています。)

 右写真は、上から見た様子です。カードが2枚抜いてありますので、そのソケットが見えています。









 左がそのうちの1枚で、先にチェックした、チョッパーが搭載されている、メイン基板です。チョッパーが上部にあり、そのすぐ下にシールドケースを被った真空管 (12AT7) があります。


 下写真がもう1枚の、各種レンジのキャリブレーション基板で、半固定ボリュームがたくさんついています。


 前述したように、測定用のリード線などもかなりな劣化が見られますし、DCV 用のテスト棒はオリジナルとは異なり、中に入っているはずの1ⅯΩの抵抗もありません。







 さっそく手持ちのテスト棒を探し出し、1ⅯΩの抵抗を直列に入れました。

 この抵抗は回路図にもはっきりと示されているので、なぜ省略されていたのかは理解できません。








 このモデルでは、リード線が本体直付けになっています。これは功罪あると思いますが、左写真のように、長年の使用に耐えかねて、切れかかっています。
 少し短くなりますが、再度取り付けなおしました。


 このような電圧計の信頼性は、増幅器もさることながら、横パネルを取り去って見える、ロータリ・スイッチと各種の分圧抵抗だと思います。

 ロータリ・スイッチにはステア・タイトがつかってあるようですし、この部分の抵抗器はすべて誤差1%のもので当然ですが、60年近くたってもほとんど狂いが目立たないのはさすがです。さらに数回スイッチを回すことでいわゆる接触不良はほとんど感じません。

 また配線はいい加減のように見えますがたぶんノウハウのカタマリなのでしょう。(写真右上)

 左写真は前述のメータ・パネルで、劣化した表面こーてぃんげが剥がれて浮きあがり、メータ指針がところどころひっかっかる状態です。

 幸いにも目盛や文字はコーティングの下にあり、写真のように刷毛でなぞってやることでかなり除去できました。色のムラは私のシワと同様に長年の勲章ということで、、、

 注意:決して水をつけてこすってはいけません、印刷が消えてしまいます!!

 このメータを分解する際に、左写真のようなシールを発見しました。(破いてから気が付いた)
 これによれば、メータの一つ一つに校正しながら目盛った、、、、ということらしいです。なるほど、そういった時代だったわけです。



 あとはマニュアルに従って、簡単な校正をを行ってしばらく通電し、エージングをしてみました。

たまたまこの個体がよかったのか、かの時代のヒューレット・パッカードの実力なのか、すべてのファンクションにおいて、ゼロ点はほとんどドリフトしませんし、レンジを切り替えてもゼロ点と測定値のズレもほぼありません。

 テスト棒、クリップ(昔の面影に免じて交換なし)、ACプローブがようやくそろいました。


 右写真は、パワースイッチです、オンになれば内蔵のネオンランプが点灯して一目でわかりますが、ランプが故障した時も押しボタンに印刷された模様でわかるようになっています。
 こういったギミックが私は好きです。

、、、、ということで、幸運にもACプローブ(MODEL 11036A AC Probe)とペアになるべき HC410C が入手でき、状態も上々となりました。

 とはいっても性能ではいまどきの安価なデジボルにはかないません(RF測定を除いて)が、使っての私の満足感は十分なものがあります。当分座右において使ってみましょう。