2014年7月20日日曜日

北欧へ (4) オスロ観光

 船が大きいことによるのか、ゆれはほとんど感じられません。わずかにディーゼルエンジンの音が一定のリズムを刻んでいて、それが眠りを助けてくれたような気がします。

 今、船は17kmあるというオスロフィヨルドに入ってきました。(左図) 細くて長い水路ですが、地質学的にはフィヨルドではないそうです。

 これから朝食をとり、しばらくデッキ上の散策をしてもオスロ着は9時過ぎでしょうから十分に時間があります。

 レストランに行く途中、この船の案内図に出会いました。下部に車の収納場所があります、、、、いわば巨大フェリーです。

 朝食場所は思ったより空いていました。

 昨日の夕食時にはアジア系の乗客が大勢で大変だったのですが、けさはなぜか姿を見ません。

 食事はいわゆるインターナショナルで、変わったものはあまりありませんが、チーズ類が豊富なのと魚類の酢漬けが種々あり、北欧らしさを味わわせてくれます。


 デッキに上がるとさすがに寒いくらいです。漁船でしょうか、近くで小さくずんぐりした船が網らしきものを引いています。

 船尾から来し方をみると図の「最も狭い水路」を今通り過ぎたところです。

 安心感をそそる何隻もの橙色の救命ボートのむこうに緩やかなカーブを画く航跡が見え、さらなる後方にその水路が見えます。

 通り過ぎてきたこの水路の入口(ドローバックDrøbak )には、1940年のドイツによるノルウェー侵攻の際、ドイツ重巡洋艦ブリュッヒャーを沈め王室、要人さらには資産を脱出させるのに十分な時間を得たという場所があります。
 ちなみにこの沈艦は今もそのままだそうです。

 この観光シーズンに、この狭い水路へ世界各国から多くの船がどっと押し寄せるということか、はるか後方にも本船と同規模の大きな船が続いています。

 (左写真は、右上写真の水路の部分を同時刻に望遠レンズで切り取ったものです。)



 しばらくすると左岸にたくさんの小さな家が見えてきました。ウサギ小屋?いえいえサマーコテージでしょう。

 北欧の人達にとってセカンド・ハウスを持つことは基本的な夢で、その保有率も日本に比べてずいぶん高いと聞いたことがあります。

 時間的には少し遅れて左図下の船着場へ到着です。


 本日の予定は、右下のオペラハウスに立ち寄り、ついでオスロ国立美術館でムンクさんの「叫び」他、とご対面、そしてフログネル公園散策後昼食となっています。

 昼食後、ホテルにチェックインしあとは夕食の時間までフリータイムとなっています。さてどこへ行きましょうか、、、、



 右はバスの車窓から見たオペラハウスです。

 この建物は、今トレンドのスノヘッタ設計事務所の手になるもので、大理石、木材、ガラスなど素材が見事に組み合わさっています。


 海に浮かぶ氷山がイメージされているそうですが、外観の真っ白なイタリア製大理石とソーダガラスのブルーがさらに海の色と調和して、一見したら忘れられないインパクトです。








 さていよいよ1836年創設のノルウェー最大の美術館、オスロ国立美術館です。

 右写真は正面入口のドア(左写真)にいたる階段を登った地点から西南の海側を見たところです。




 右写真は、ドアを入ってすぐに2階に上がりますが、その階段の上部から見下ろしたところです。早い話が最初に階段を登るとき、正面に見えるのが、オーギュスト・ルノアール作の彫像「勝利のヴィーナス」です。
 そしてその上はノルウェーが誇るヴァイキングの航海を表した絵なのでしょう。


 また、この美術館はゴッホ、クロード・モネ、モディリアーニ、ドガ、ルノワール、パブロ・ピカソ、オーギュスト・ロダンなどの近世ヨ-ロッパの作品も所蔵しており、何気なく展示してあるので、「この絵はピカソみたいだ、、、、」「おや、ご本人!」といったことが度々でした。

 展示室の採光は左写真のように自然光が基本のようです。部屋の中央で考え込んでいる人がいますョ。


  ノルウェー画家世界的名声を最初得たとされる「ヨハン・クリスチャン・ダール」の作品も数多くありました。(右)

 お目当てのムンクの作品は「ムンクの部屋」に14点一括して展示してありました。残念ながらこの部屋のみ撮影禁止となっていましたので、代わりといっては何ですが、別室にあった初期の作品を撮影してきましたがムンクらしい線と色彩だと思います

「ムンクの部屋」の「叫び」は4枚あるうちの1枚ですが、感無量で対峙しました。事前に彼の生涯に関する解説をざっと読んでおきましたが、多くの出来事と、一堂に会した14枚の絵のそれぞれを重ねてみることで多少理解も深まったと思います。




 もう一度じっくり観たい、、、、後ほど実現しました!!
 フログネル公園に向かう途中でたまたま見かけた列車の絵のことを言っているのではありません、午後の自由時間に再訪問することにしたのです。



 フログネル公園はオスロの都心部から約3km北西にある都市公園で、そのなかに有名なノルウェーの彫刻家グスタフ・ヴィーゲラン(Gustav Vigeland 1869年-1943年)の作品のみが展示されている、お目当てのヴィーゲラン彫刻庭園があるのです。

 私たちは公園の北西から入り、ヴィーゲラン彫刻庭園を入口とは逆に、奥から順に見学しました?、要はこの庭園は南への下り斜面にあったのです。
 先方に「モノリッテン」が見えてきました。例によって下図を用意しました、その①から見たものです。

  この彫刻庭園テーマ「人生の諸相」です。
 ブロンズまたは花崗岩でできた大小の彫刻の総数は212点あり、これらの彫刻を構成する老若男女の人物の合計は600以上だそうです。
 ヴィーゲランはその一つ一つの作品の原型を粘土で原寸大で制作し、それらを職人たちがブロンズ像や石像に仕上げて庭園内に配置するという、いわゆる工房方式で造園が進められたようです。家人いわく、「浮世絵方式、、、、」。

 ②地点からモノリスの台地を撮影しました。
 中央にそびえる石柱はモノリッテンで一枚の石を意味するモノリス(2001年宇宙の旅にでてきました)とおなじです。
 したがってこのモノリッテンも一枚の岩から削りだしてあるそうですが、14.12mもあり彫刻されている人の数は121人あるそうです。

 モノリッテンの根元から、北西の方向にあるブロンズ製の「生命の輪」③を見ています。

 上図にあるように、この庭園は正門から北西の方向へ一直線に約850m先の「生命の輪」まで緩やかに上っていく設計になっています。

 左下に見えているアイアンの扉?もすばらしいです。

 彫刻はそれぞれ右写真のようになっており、何人もの人が重なり合っている像が多いです。
 写真の中央に小さく見えているのが正門です。④

 ⑤地点からモノリッテンを振り返って見たところですが、少し下ってきたのがわかります。
 手前では比較的若い人が花壇の手入れをしています。

 右は⑥地点から見た噴水です。

 中央の水盆を大勢の男性がかかげ持ち、周囲に立木と老若男女のそれぞれを組み合わせて配し「人生」を表現した噴水は、本来ノルウェー国会議事堂前の広場に設置するために提案されたとされていますが、たしかにこの庭園の中では他の彫刻との違和感が少し感じられるような気がします。

 左写真は⑦からモノリッテンを振り返っています。

 ⑧で今回初めてバラ園に出会いました。
 手入れが行き届いているせいか、いずれも色鮮やかな大輪です。

 左写真前方は正面入口です。


 しばらく歩くと、長さ100・幅15の石でできた橋に着きます。

 この橋の欄干に58点の彫刻が展示されていますが、これらはブロンズによる人物の群像で、「人生の様々な状態」という庭園全体のテーマに沿った老若男女の裸身像で

 この中でも来訪者に人気のあるのが、「怒った幼児」という像で、顔をしかめて泣き、地団駄を踏む姿が表現されています聞くところによるとこの「怒った幼児はここオスロのマスコットだそうです。⑨
 みると左手首がきれいに磨かれています。訪問者がこの像のかわいらしさにそれぞれが握手をしていくからです。私たちも早速、、、、おや、もう一箇所も光っています。

 橋の入口側からモノリッテンを振り返りました。⑩

 橋の欄干に多くのブロンズ像がみられます。

 空は少し曇っていますが、快適な気温です。 

 正面入口を入ってすぐ右手にグスタフ・ヴィーゲランの銅像がきれいな花々に囲まれて建っています。⑪

 頭は鳥たちがとまったあとが歴然ですが、それ以上に彼の顔は柔和で、ふと幸福の王子(The Happy Prince)を思い出しました。

 左写真は正面入口の正門の一部です ⑫(裏から見ています)。

 これもヴィーゲランの作だそうですが、鉄の素材感が作品によく生かされていると思いました。



 今日の午前中はたくさん歩きましたので、昼食の中華料理はしっかりとお腹におさまりました。

 食後ホテルへチェックイン、さあ自由時間だ!!!

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