2014年11月23日日曜日

灰色の脳細胞

 先日、友人たちと親しく歓談していたときに「灰色の脳細胞」ってなんだろう?ということに話題が進みました。

 そうです、あのアガサクリスティーの小説に登場する名探偵エルキュール・ポアロがよく使う台詞に出てきます。
 私は彼女の小説こそ読んでいませんが、大のポアロフアンで、ことにドラマ、映画はほとんど見ていますし、中には何回目かのものもあります。

 最初は字幕版でしたが、最近は吹き替えかつディジタルリマスター版できれいな画面をストレスなく観ることができるようになりました。

 「灰色の脳細胞」の話に戻りますが、右図は脳を上から見た断面の一部の略図です。脳の表面に近いところにあるのが灰白質( Grey matter )で神経細胞の集まっている部分です。

 そのさらに中央に近いところにある白質( White matter )は神経細胞から伸びている神経線維の集まりです。
 したがってポアロが「灰色の脳細胞」(原文では little grey cells )といっているのは医学的にも正しいといえますし、日本語訳も妥当でしょう。

 エルキュール・ポアロ( Hercule Poirot )はイギリスのミステリー作家であるアガサクリスティー( Agatha Christie )の小説に登場する架空のベルギー人の名探偵です。
 劇中、ベルギーといってもフランス語圏の出身なので、名前のポアロ( Poirot )をイギリス人が発音できないのもお定まりのシーンですし、あのギリシャ神話にちなんだヘラクレスという名前のフランス語綴りのエルキュール( Hercule )を身長163cmの彼につけたのもやはりジョークなのでしょう。
 
 


 前述したように、私が好んで接するドラマシリーズは「名探偵ポワロ」(原題 Agatha Christie's Poirot )で、1989~2013年にわたって制作された全70巻です。(つい最近、最終回の「カーテン」が放映され、ポアロは永の眠りにつきました。)

 ポアロの年齢は最初に登場したスタイルズ荘の怪事件(1920年)の時点で60歳半ばなので、最後のカーテン(1975年)では120歳???

 ポアロが登場する映像の中でポアロを演じた俳優には、アルバート・フィニーピーター・ユスチノフそしてデビッド・スーシェ3名が挙げられると思います。

 アルバート・フィニーは「オリエント急行殺人事件」(1978 英)のみでしたが、あっと驚くような主役級の著名な出演者をずらりと並べて見せてくれたのには驚いたものです。この映画は私がポアロに初めて出会った映画です。またピーター・ユスチノフは「ナイル殺人事件」「地中海殺人事件」で出色でした。

 そしてドラマシリーズ「名探偵ポワロ」はもちろんあのデビッド・スーシェ( David Suchet )が4267歳の長きにわたって演じています。もちろん日本語吹き替え版の声優である熊倉一雄氏(62~87歳)も決して忘れられない存在です。

 ドラマにおいては原作の小説では出番の少ないジャップ警部やヘイスティングス大尉をほぼレギュラー並みに配し変化をつけていますし、もう一方のドラマ「シャーロックホームズ・シリーズ」とも張り合うような部分もあり楽しめます。

 そしてなりよりも楽しみなのは、映像で表現されるイギリスの時代考証です。私の見る限りではずいぶん細部にまでこだわっており、小は部屋の装飾品に始まり、自動車や列車は云うに及ばず町並み、宮殿にいたるまで何度見ても新しい発見があります、、、、ということでそろそろ灰色の脳細胞も徐々に休み始めています。

オヤスミナサイ、モナミ~

2014年11月10日月曜日

荘厳ミサ曲とスペイン料理

 親しい友人の奥様がステージに登られるということでお招きをいただきました。(左)

 今回は「名古屋市民コーラス」の創立55周年記念演奏会ということでベートーヴェンの「荘厳ミサ曲 ニ長調 Op.123 」が演奏されました。
 ミサ・ソレムニス(Missa solemnis)ともいいます。

 流石にこの合唱団は伝統と実力を誇るだけあって、今回の出演者は約220名と大人数でかつ、女声男声の人員比が2:1とほぼ理想的でありました。
 このような混声合唱団はめったにおめにかかれるものではありません、本番が楽しみです。 

 くわえて

  指揮:山下 一史
  管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団
    ヴァイオリン・ソロ:田野倉 雅秋
  ソリスト:ソプラノ 金原 聡子
       アルト  相可 佐代子
       テナー  中井 亮一
       バス   伊藤 貴之
 といった構成はなかなかのものでした。

 会場は金山総合駅から徒歩5分の「日本特殊陶業市民会館」(正式名は名古屋市民会館だが日本特殊陶業が命名権を得ている)の大ホール(フォレストホール)でした。(右上写真)









 演奏に先立って指揮者の山下一史氏がプレトークをしてくれました。

 この荘厳ミサ曲は、もともとベートーヴェンにとって唯一の作曲の弟子で、かつ友人・パトロンであったルードルフ大公の大司教昇任式典における戴冠式に演奏する予定で着手されました。しかしながら式典の行われた1820年には完成せず、ルードルフ大公にこの曲が献呈されたのは1823年とされています。

 あの「第9」が彼自らの手で初演されたのが1824年ですので、この時期当然聴力はなく、3年後には歿することになるのでまさに最晩年の時期に作曲されたものといえましょう。
 ミサ曲は本来、教会の式典と調和すべきものでしたが、徐々に楽曲の一分野として発展していき、この「荘厳ミサ曲」にいたっては彼なりの思想と宗教観に満ちたものと思われます。

 休息なしで約1時間30分にもわたる250人の演奏は圧倒的なパワーですばらしいものでした。そのようななか、Sanctusでのヴァイオリン・ソロも印象的でした。
 写真は演奏を終えてオーケストラについで退場する合唱団のみなさんです。(演奏中の撮影はできませんので、ステージの規模をイメージするために挙げました)


 せっかくの機会、、、、ということで友人ご夫妻と夕食を摂りました。場所はあらかじめ友人が予約しておいてくれた近くのスペイン料理店です。
 ミシュランで2つ星を獲得したスペインの名店「Zuberoa(スベロア)」で副料理長として腕を振るったシェフを招請し、バスク・スペイン料理を売りにしているとか、、、、

 バスクスタイルの味付けや素材の組合せによるピンチョスです。
(右)

 そしてこちら(左)はいろいろなハムの盛り合わせ、もちろんイベリコも、、、、
 でも運転手はアルコールなし!残念!!


 幾種類かの後、最後はやはりパエリアです。
 もうこのころにはおなかは「too enough !!」


 久しぶりに聴いた大音楽とおいしく・十分なスペイン料理で大満足な一日でした。

2014年11月4日火曜日

NiH電池(HHR-P104)用 充・放電器の製作


 この記事には改訂版があります。2015年3月NiH電池(HHR-P104)用 充・放電器の製作(改訂版)
 いまさらNiH(ニッケル水素)電池でもないですが、先日秋葉原の秋○から左写真のようなパッケージ電池( Panasonic 3.6V830mAh )を入手しました。
 自宅のPanasonic製電話の子機を調べてみたら同じ形状でもう少し小さいもの(3.6V650mAh)が装着されていたので、これもおそらく電話の子機用なのでしょう。

 一流メーカー?品で素性もしっかりしていそうなので実験などに使ってみようと思いました。
 ということは充放電器が必要で、それも3.6V用は手持ちにありませんので、必然製作となるのは当然の成り行きです。

 蛇足ながら、この手の2次電池(充電して何度も使う電池)の分野では日本は世界を牽引しています。これらのNiH電池はもとより最近のリチウム電池も然りで、これらの技術がなかったら世界に誇りうるハイブリッド車は存在しなかったことでしょう。

 さっそく充放電器の設計に入ります。
 順序として、まずは充電ですが、右上に示すように電池の端子電圧は使用につれてなだらかに低下し、さらに使い続けると、あるところから急激に低下します。
 また使用途中で充電するとNiH電池といえども性能を低下させるメモリー効果が出てしまいます。

 そこで今回の充放電器は最初にどのような端子電圧であろうと右上に示した2.7Vまで一様かつ強制的に放電させてから充電に移るシークェンスとしました。

 充電は一般的には1/10C(この電池の場合83mA)ですることが多く、左図のように端子電圧が4.2Vになった時点で終了とします。

 このような制御とくれば当然マイクロチップの登場で、例のごとくわたしはAVR(今回は ATmega 8 )をつかいました。

 右に主要部の回路を示します。
 今回は充電、放電、それぞれのスイッチにFETを使ってみました。
 上半分が充電部、下半分が放電部です。
 
 最初に Battery voltage とある端子から電池の有無、電圧をAVRのアナログポートを使って読み込みます。
 電池電圧があれば(電池が装着されていれば)スタートボタンを押します。
 すると Discharge 端子にAVRから5Vの電圧が送られ、下側の n-FET がONになり、電池電流は50Ωの抵抗を経由してグランドに放電されます。
 50Ωのとき放電電流は初期:80mA、放電停止時:54mAとなります。

 Battery voltage 端子が2.7VになるとAVRはDischarge 端子を0Vとし、次いで Charge 端子を0Vから5Vにします。
 これによって上側の p-FET がトランジスタ経由でONとなり、充電電流はAZ1117H-adj による定電流回路ををとおり充電が始まります。なおここで使用している20オームは定電流値を約63mAとします。

 あとは Battery voltage 端子が4.2Vになったとき電源をOFFにして完了となります。

 今回の製作のこだわりは最近多くなってきた小型素子を使ってみることで、FET、トランジスタにチップサイズを使ってみました。チップFETは1A程度は問題なく、ON抵抗も小さいので発熱も問題ないと判断しました。

 左は部品を基板にハンダ付けしているところですが、ピンセットの先にあるチップFETがわかるでしょうか。
 半導体は産業の米といわれたものですがまさに米粒並です。(基板の穴と穴の間は2.54mm)

 今回はケースについても薄型にこだわってみました。無印で見つけた半透明の樹脂製です。


 まだケースの表面パネルと裏蓋がつけてありませんが、とりあえず試験中の写真を挙げておきます。
 バックライトつきの液晶がいい感じです。電池は2個搭載でき、液晶は1:、2:の2個充電中で、電池の端子電圧はともに3.74Vであることを示しています。緑色のLEDも充電中であることを示していますが、完了時には点滅に変わります。
 右側の緑ボタンはスタート、左側の赤ボタンはリセットです。

ここまでのまとめとしては、
 動作、取り扱いなどは問題なく快適です。
 ただし、2個同時に処理すると150mA以上の電流が流れるので発熱が少し多いようで今後熱対策に手を入れる必要があるようです。