2016年10月28日金曜日

ヨハネ受難曲の鑑賞

 昨日ヨハネ受難曲を鑑賞してきました。例によって親しい友人の奥様が出演されるということでお声をかけていただいたことによるものです。

 左のポスターにあるように、J・S・バッハの「ヨハネ受難曲」BWV245で日本語字幕付とのことでしたが、字幕付はオペラではいまや通例になっていますが、今回のような演目では初めての経験でした。

 ヨハネ受難曲とは、新約聖書におけるキリストの受難について書かれた四つの福音書の最後、「ヨハネによる福音書」の18-19章を基にして書かれた曲で、中でも1724年に初演されたJ・S・バッハのこの作品最も有名です。


 第1部は第1曲の合唱に始まり有名なペトロの否認を経て、第14曲のコラールに至る約40分。
 休息後の第2部は第15曲のコラールに始まるピラトの尋問から埋葬の第40曲終局コラールまでの26曲、約80分の圧倒的な演奏でした。

 今回の指揮は日本の合唱指揮者としての第一人者で宗教音楽を中心に演奏活動を続けておられる本山秀毅さんでした。

 また5名のソリストは指揮者と同様に近畿地区の出身で、共に宗教曲の分野で活躍されているようで息もピッタリ合っているようでした。



 特筆すべきは福音史家役でテノールの清水徹太郎さんで、最初から最後までの120分間を通してそのすばらしい声を聞かせてくれましたがそのスタミナにも驚かされました。

 右は今回の催しを紹介するのパンフレットにあった名古屋市民コーラスの昨年の第44回定期演奏会時の(イギリス宗教音楽の饗宴)演奏写真です。

 さすがにこれだけの規模(ほぼ200人)になるとオーケストラにも引けをとらない音圧があり、なおかつ合唱を知り尽くした指揮者の本山秀毅さんの手によって最終的にはより洗練されたヨハネ受難曲となりました。

 が、その過程では、奥様が演奏時間を通して持っていると手がしびれるほど分厚いドイツ語の楽譜(上写真)を暗譜する間、友人が放って置かれた、、、、とボヤくほど精魂こめられた、すばらしい演奏を堪能させていただきました、感謝感謝です。

2016年10月19日水曜日

ラジオの製作(5_3) LA1600 による7MHzSSBラジオ (いよいよ完成)

 いよいよ今回で完成ですが、私はどちらかというと筐体を設計して完成品として使い勝手を良くする、いわゆるケーシングが苦手です。

 いろいろ考えた結果、左写真のような形にしました。
  ・ できるだけコンパクトに
  ・ VFOは外付けとするが、良い物ができれば後から内蔵とする(スペース確保)
  ・ SP(スピーカー)と電源は外付け
 ということで、1mm厚の手持ちアルミ板を加工し、製作するすることにしました。
 大きさは縦110mm、横120mm、高さ20mmにし、すべての部品を写真のように上側パネルに取り付け、下部は別のアルミ板で覆うこととしました。

 その後多少変更した部分もありますので、おさらいの意味で前回までの回路の再掲もあわせ以下順に説明していきます。

 


 BFO回

 特に変更はありませんがBFO出力調整用のVRはAカーブが使いやすいかと思います。 



 RFフロントエンド回路

 これも変更はありません。
 フェライト・ビーズ( FT801-43 )を利用したトランスは0.26mmの線材をトリ・ファイラー巻きにしてあります。


 IFフィルター回路

 やはり入力側のトランスはLA1600の近くに置くべきだと考え、このブロックからはずしました。


 AFアンプ回路

 この部分はICの選択肢が多いですが3.3V電圧で使うことを念頭に TA7368 を採用しました。基本的には LM368 と同様外付けパーツが少ないですが、動作電源電圧範囲が2~10Vと広いのに惹かれました。

 ところが3.3V電圧では少し入力レベルを上げると発振状態になり、この原因追及に思わぬ時間がかかってしまいました。

 結局、動作電源電圧を5Vにしたところ当たり前のように何事も無く動作しました。もともと電源に5.0Vくらいを供給して3端子レギュレーターで3.3Vを得ようと思っていましたので何ということはなかったのですが、 TA7368 の低電圧作動には要注意です。


 LA1600メイン回路

左に示すようにごく普通のLA1600メイン回路です。
 6番ピン(AGC)のコンデンサーは10Fと少し小さめに変更しました。またAF出力には1kHzのLPF(ロー・パス・フィルター)が入れてあります。


 右写真はすべての部品を取り付け終わった状態を示します。

 少し窮屈な状態でしたので干渉が心配されましたが、今のところ特に問題を感じていません。

 中央のLA1600メイン・基板に見られる空きゾーンは将来内臓VFOを搭載するための予備地です。
 左写真は上部を正面から見たものです。

 本体をロー・プロファイルにしたのでうまくマッチしたツマミが欲しいのですが最近ではなかなか良いものが見つかりませんので、しばらくは冒頭写真のように手持ちのもので我慢です。

 これに以前このブログで紹介した下写真のDDS発振器(DDSコントローラーの製作)をLOCAL端子に接続して~0dBmの出力信号を与えればOKです。表示は7100kHzですが、出力周波数は7100+444の7544kHzで、これが容易にできるのはディジタル発振器の良さでしょうか。


 感度は手持ちのSSGから7100kHz、1Vの出力をANT入力につないだ状態で充分な感度がありました。

 アンテナは数メートルのワイヤーを繋いだだけのものですが、7MHz帯の時々刻々と変化する様子を充分に楽しめました。

 LA1600を使用するときにはBFOの注入に苦労する、、、、との話を聞いていましたが、今回のようにすることで、BFOゲインはAGCのコントローラーでもあり、RFゲインとAFゲインの3者をそれぞれ関連させて調整しながら聞くのもまた面白いものです。

2016年10月12日水曜日

たった一粒の収穫の秋

 左写真は、かつてスペインに旅行したときに観たトレド近くのオリーブ畑です。

 乾燥した、少し埃っぽい広大な土地に見渡す限り植えられたオリーブの木にしばし見とれた記憶があります。

 このことに刺激を受けたわけではありませんが、我家のエントランスにオリーブの木がやってきて、かれこれ20年経過してその高さも約1.5mになろうかというこの春になぜか一粒だけつけた実がこの秋ようやく色づいてきました。

 本来オリーブはDNAが同一の花粉には反応せず(自家受粉できない)実をつけないことが多いので、2本以上隣接して植えた方がよいとされていますが我家のオリーブはなぜか奇跡的に実をつけたのです、それも一粒だけ、、、、

 たしかにオリーブは植栽としては人気があり、町内でも散歩の際にはしばしば目に付きますので、開花時に蜂さんが遠路はるばる労をとってくれたのかもしれません。


 もともとオリーブは地中海地方が原産とされ、葉が小さくて硬く、比較的乾燥に強いことからスペインやイタリアなどの地中海地域で広く栽培されており、主な生産国はスペイン (40.1%)、イタリア (19.5%)、ギリシャ (12.9%) だそうで、この3国で70%以上を占めています。
 また歴史的には紀元前700年頃から古代ギリシアはオリーブの栽培によって国力を蓄え、今日の産油国のように繁栄を迎え、地中海各地に植民市を建設するとともに、オリーブの木も移植され広まっていったとされています。

 オリーブ・オイルは常温で生の果肉を絞って放置しておくだけで容易に分離することができます。

 左写真はポンペイ遺跡から発見されたオリーブ絞り用の石臼で、私たちがよく見る、溝を切った二枚の石の円板が水平に重なり合って回転し磨り合う形態ではなく、石の皿の上で垂直に立てられた石の円板が、車輪のように転がりながら円運動をするようになっていることがわかりますが、現在でも伝統と品質を重んじる採油所では、このような石臼が用いられているそうです


 得られたオリーブ・オイルは、そのままでも酸化されにくいオレイン酸を比較的多く含むので他の食用油に比べて酸化されにくく固まりにくい性質を持ちますが、紫外線により劣化するため、冷暗所で保存したり黒い瓶やアルミホイルで覆った瓶により遮光するのがよいとされています。

 右写真は親しい友人からいただいた高級オリーブ・オイルですが、ちなみに果汁から直接得られた油をヴァージン・オイルと呼び、その中でも果汁としての香りが良好で油としての品質がとても高いものを特にエクストラ・ヴァージン・オイルと呼びますが、これはまさにその逸品です、、、、感謝、感謝。

 我家ではこの一粒のオリーブの実について思案中です、絞ってオリーブ油を取り出すか、はたまた漬け込んでピクルスにしようか、、、、「どうしたもんじゃろうのう、、、、」

2016年10月11日火曜日

ラジオの製作(5_2) LA1600 による7MHzSSBラジオ (BFOユニット(再)、RFフロント、IFフィルター)


 前回は「構想とBFOユニット製作」について述べました。
 そのBFOユニットについて少し回路を変更してみました、というのは周波数のあわせ込みが多少不安定だったからです。
 いろいろ調べ実験した結果、最終的に下図のようにしました。
 キモはインダクタに抱かせたダンプ抵抗です、いろいろ調整の結果22kΩに落ち着きました。

 これで安定的に270pのポリバリコンでピッチが快適に変えられます。

 VXOは奥が深いといわれていますが、なるほどと納得です。

 受信機の形に組み上げることを想定して、左写真のように小さくまとめてみました。(ポリバリコンは別付け)

 
 次いでRFフロント部分です。
 7M帯は強力な放送局が多くありますので目的とするハムバンドのために7.0~7.2MHzのBPF(バンド・パス・フィルター)を製作しました。

 手持ちの10Kタイプのコイル(約10uH)2段構成です。
 2つのコイルを結合している2pFのコンデンサーがキーポイントです。

 このままでは損失が大きいのでこれを補うために2SK241で信号増幅しています。
 出力はフェライト・ビーズ(FT801-43)にトリファイラー巻き6Tのトランスを使いました。

 調整は手持ちの「おじさん工房のAPB-1」という測定器のネットアナ機能を用いて、前述の結合コンデンサーと2つのコイルのコアを交互に変化させて最適化しました。
 結果のグラフを示します。

 サイドの切れはあまりよくありませんが、こんなものでしょうか、でも無いよりましだと思います。また最初に入っているATT(1kボリューム)は必須だと思います。

 テストに供したRFフロント・ユニットの写真を示します、左下がフェライト・ビーズ(FT801-43)にトリファイラー巻き6Tのトランスです。

 今回の最後はIFフィルターです。
 455kHzあたりのIFフィルターの自作には、TTTさんが提唱されている「世羅多フィルター」なるものがネットで多く見られます。

 これは「セラミック・ラダー・フィルター」が語源のようで「せらた・フィルター」と呼ばれるようです。

 この世羅多フィルターに使うセラミック発振子は右写真のようなもので、ebayで中華製を探せば100個で送料込み¥0.5k以下で入手できます(到着まで少なくとも半月はかかりますが)。

 これらセラミック発振子の共振周波数を測定し(写真中マジックで書いてあるのがそれ)、数字の近いものを5個選択します。
 今回使ったものは 455.558、455.558、455.559、455.563、455.568 kHz の5素子です。

 あとは左回路図に従って、その下に示した写真のように組み上げればOKです。

 回路図中インプット側とアウトプット側にあるトランスはトランジスタラジオなどで使われる455kHz中間周波トランス(IFT)です。

 コンデンサーは良く揃ったものがよいのですが、ここでは秋月で購った 0.0047uF(472)と0.0022uF(222) のポリエステル・フィルム・コンデンサーを使用しました、手持ちのLCRメーターで確認した結果、±5%品にしては良く揃っていました。

 厳密には0.0022uFの代わりに0.0047uFを2個直列にしたものを使うのが良いかもしれません。

 このユニットもRFフロント・ユニットと同様に「おじさん工房のAPB-1」のネットアナ機能を用いて測定・調整しましたが、2個のIFTのコア調整は特性に効いていました。

 測定結果のデータをExelに移し、グラフ化下のが右図です、頂上部にうねりがありますが、初めての作品にしてはまあまあでしょう。

中心周波数は444kHzでしたので素子の共振周波数より約11kHz低下したことになります。

 次回はいよいよラジオとしての組み上げです。