2018年8月28日火曜日

T-fal も熱中症?

 この暑さのせいか、我家の湯沸かし器(T-fal APRECIA)が作動しなくなりました。

 この T-fal APRECIA も使い始めてほぼ10年になりましたので熱中症にでもかかったかと、さっそく調べてみました。

 症状は取っ手ハンドルの上にある「スイッチを入れても電源が入らない」と言うものです。さらにそのスイッチも節度感が無く、なんとなくグラグラしているように感じました。

 さてこそはスイッチの寿命か?と合点して先ずは分解、、、、


 さすがに10年モノ、内部はかなり汚れていますが、造りは中国産とはいえしっかりとしており、技術指導がよかったのでしょう、大変よくできています。

 写真に見えているアルミニウム鋳物の底部に一体化された馬蹄形の1.5kWヒーターは美しくさえあります。

 当然のことながら、ヒーターの断線はありません。

 ならばと、当初疑ったスイッチを点検してみました。(左写真)

 この部分も特に異常はありませんでした。
 個別に動かしてみましたが、通電、節度感共に正常で、部品の立派さのみが印象的でした。

 簡単に直る、、、、と高をくくって、先にあちこちの清掃を終えてしまっていましたので、いまさら後には引けません。ならば、と本腰を入れての取り組みです。

  この T-fal APRECIA は中に入れた水が沸騰を始めるとパチンと心地よい音がして、スイッチが戻り、電源がオフになります。ということは先ほどのアルミニウム鋳物の底部にあった黒い樹脂部品をみてみる必要がありますので、更なる深みに分け入っていきます。
 
 左写真の部品を仔細に観察し、回路を確認した結果次のことが分かりました。

 写真中央部左右に見える、りん青銅のバネについている接点が、電源投入時には閉じておりヒーターに電流を流し水を加熱しますが、水が沸騰をはじめる(100℃になる)とバイメタル・サーモスタットがりん青銅のバネを押し上げ接点を開き、電源をオフにします。
 電源がオフになると取っ手ハンドルの上にあるスイッチも、おそらく自己保持型なので、切れる、、、、と言ったメカニズムなのでしょう。

 上記のメカブロックをさらに分解します。
 見にくいですが、右写真にあるイヤリング状の丸いものがバイメタル・サーモスタットで、たしかに2つあります。





 そしてそれらの細かな部品を取り外してしまって、最後に現れたのが左写真の接点付きりん青銅のバネ2本です。

 そして左側のバネをよく見ると、小さな穴が開いた、バネ固定部分が外れています。

 これは土台になる樹脂部品を成形する際に、あらかじめバネを固定する突起をつくっておき、これにバネを通し、上から加熱して、右上に見えるもうひとつのバネのようにして固定したものです。


 ところがこのバネは毎回作動しますので、この10年で約11000回作動したことになりますが、このような場所に単なる熱変形固定を使うなどは明らかに設計ミスで、他の部品の出来とくらべてアンマッチです。

 原因が分かったところで、さっそく修理です、こちらは正攻法で、ベースの樹脂にドリルで穴を開け、タッピングビスで、接着剤を併用し固定することにしました。

 右写真は1.2mm径のドリルで穴あけをしているところですが、細かな部分で失敗は致命的なのでずいぶん緊張しました。

 ということで、左写真のように無事固定できました。
 あとは慎重に、来た道を元に戻るわけですが、往路の記録写真は記憶力が低下してきた今では必須です。

 この後無事にお湯を沸かすことができ、メデタシメデタシでした。

 当初は T-fal APRECIA も熱中症かとおもいましたが、じつは骨粗鬆症による骨折でした。   今後も我々とともにさらに元気で、、、、

2018年8月17日金曜日

Z80 SBC(シングルボード・コンピュータ)の製作 (3) 部品集め

 厳しい暑さも一段落したようで、ブログをすすめる気分になって来ました。

 先回、左図のように構想がまとまりましたので、部品集めに入ろうかと思います。
 幸い手元にはかなりの部品がありますので、調達というより、ゴソゴソとあちこちをかき回してとりあえず並べてみる、、、、と言ったところです。

 回路図を、、、、と思いましたが、定番中の定番の Z80 マイコンのことですから、ほとんど決まり物なので、後回しにしました。

 これらのチップは前に述べたように、いまだに使われています。ということは少なからず進歩があると言うことで、目的によりますが、当時のチップを使うより新しいチップ(もちろんオリジナルの構成)を使います。

 その最も大きな進歩?は NMOS から CMOS への移行でしょう。高速化、省電力化がされており、いくつか使用するロジックICも 74HC シリーズですのでこのことは必須だと思います。

 かつて最初に 8080 をつかって ALTAIR8800 クローンを作ったときなどは、たしか5V-10Aくらいのシリーズ定電圧電源を製作した覚えがありますし、使用したチップもかなり熱くなった記憶があります。

 これに対し、CMOS でそろえたものは、おそらく5V-100mA程度で作動し、USBから電源を供給できるものと思います。

 右写真は、今回は使いませんが、ある意味モニュメント的な 8080 チップセットです。
 上は私が当時使ったNECの 8080 です、40ピンのソケットは高価でしたのでピンは半田だらけですが、生きています。

 2つめは本家 INTEL の 8080 で INTEL '79 のプリントが見えます。

 その下に2本ずつ縦にあるのは、8228 と 8224 で詳細は省きますが、8080 を走らせるために必須の周辺チップ( Z80 では不要)です。

 左写真は、今回の主人公 Z80 です。ひとつ目はNECからのセカンドソース upD780C で、一世を風靡したNECのパソコン、PC8001やPC8801に使われました。

 2つ目は、本家ZILOG製の Z80 で Zのロゴは古く 8400 の印字も見えます。

 3つ目は、比較的新しいZILOGのものですが、840008 とありますので8MHz作動品です。

 ここまでが NMOS で、以下は CMOS 品です。4つめは、TOSHIBA製で TMPZ84C00AP-8 とありますので、 CMOS 、8MHz の Z80 ですが、私はこれを主に使います。

 最後は新しいZILOGのロゴの Z80 です。Z84C0020 の印字がありますので、20MHz作動品のはずですが??で海外のネットでも議論がありました。

 次の左写真はパソコンとシリアル通信を行うためのIC,8251 です。オリジナルは1つ目のINTEL製で INTEL '80 とあります。2つ目は、NECからのセカンドソース、upD71051C です。

 今回使用するのは、CMOS 品の沖製、M82C51A-2 で、これは 38.4kbits までの高速品です。

 そして最後にメモリです。
 右上の2つはメーカこそTOSHIBAとHITACHIの違いこそありますが、128k X8 bit のCMOS STATIC RAM です。

 Z80 のメモリ領域は、0000H から FFFFH までの 64k byte なので、いささかオーバースペックなのですがこれを使います、あまったメモリはバンキングでもして使うかもしれません。

 下の2つは ROM ですが、上側の紫外線消去タイプ( UV-EPROM )はソフトの開発過程ではメモリの書き換えが多く煩雑です。
 一方、下側の電気消去型(E-EPROM )は使い勝手もよく、今はほとんどこちらを使っています。

 私はこれらのチップを ebay で購入することが多いですが、ほとんどが CHINA からです。
 かつては疑いの目でみられることもありましたが、私自身はネガティブな経験はありません、ただ商品の到着まで2~3週間かかりますが、前もって計画しておけば問題ないことです。

 ただ前述の Z80 20MHZ (840020) のときは、「ほんとうに 20MHZ で走るのか?」「チップは CMOS ではなく NMOS ではないか?」など、安価すぎるが故の議論がネット上でありました。要は40pプラスチックパッケージは表面を削って再度印刷してしまえば中身はよくわからない、、、、と言うことなのです。

 そういった意味では、ピンが錆たり、ゆがんだりしている割にはきれいな印刷面を持ったチップに何度も出くわしたことがありましたが、作動してくれれば、中古のチップが化粧直しをした、、、、くらいで気にもかけない事にしています。
 なにせ送料無料で、国内に比し格安で入手できるのですから。

 本題に SBC (single board computer) とありますから、一枚の基板上に構築しなければなりません。
 部品棚の奥からKELの56Pinユニバーサル基板を見つけ出し、左写真のように、その上にチップを並べてみました。右上の緑色のものは、これも128k X8 bit のCMOS STATIC RAM で、パッケージが異なるだけです。

 こうしてチップを並べて、あれやこれや考えているときが至福かもしれません。

(つづく)

2018年8月6日月曜日

Z80 SBC(シングルボード・コンピュータ)の製作 (2) 構想と準備

 事を始めるにはいろいろと準備が必要です。
 前回もお話したように、関連する資料やモノはほとんど処分してしまったので、ある意味、いちからの出発です。

 そんななかAMAZONで左写真の中古本を見つけました、送料込みで¥0.5kでした。わずか2~3ページの一部分にマーカーペンが使ってありましたが、ほとんど新品同様でした。

 この本に目をつけたキモは、Z80 CPU の周辺チップの情報、特に今回使用するつもりの 8251、が比較的くわしく掲載されていたからです(いまやネットでもこの種の情報は少ないようです)

 Z80 SBC 関連の情報も探してみましたが、これは!と言ったものは多くはありませんでしたが、次のいくつかは大変参考になりました。

最初はなんと言っても GRANT SEARLE 
さんのホームページでしょう。
 最近の Z80 SBC ビルダーは例外なくこのページを参照しています。

 特にこの「わずか9個のICでつくる機能満載の Z80 CP/M マシン」はすばらしいと思います。」
 写真に見られるブレットボード上のマシンには圧倒されますが、信頼できる回路図や、開発に使ったソフト類がほとんどすべて公表されており私も参考にさせていただいた部分が多いです。

 ついでこのRC2014という、合体型の Z80 システムを開発・販売しているサイトもなかなかのものです。各ユニットの回路図は公表されていますが、ソフトの部分についてはいまひとつ分かりづらいです。

 でも左写真を見てください。

 これを見てなるほど!と感ずることができる方は相当なツワモノだと思います。

 Z80 SBC というと何が何でも一枚のボードの上に押し込んでしまいがちですが、このようにして機能別に沢山のボードに分けておけば(たとえば Z80 CPU だけで一枚)、システムの発展や一部分の改良などが自由にでき、ある意味合理的だと感じました。

 右写真は、HACKADAY という沢山のアイデアが飛び交う電子工作関連のサイトですが、昨年くらいから始まった「ブレッドボード上に、たった4ドルで4つのICしか使っていない自家製の Z80 コンピュータをつくる」と言うプロジェクトです。


 この情報の拡散は速く、日本でも、今年初には専用の基板が手に入るようになりましたので、私もさっそくに作ってみましたが、あっけないくらい簡単に再現し、AVR を使った、新コンセプトのボード上で Z80 CP/M システムなどが走っています。

 このプロジェクトも回路図、基板データ、ソフト類などすべて公表されていますので、左のボードはいろいろ手を加えてあります。(機会あればこの連載の中で再度詳細を取りあげてみたいと思います)

 参考になる、いろいろなサイトをご紹介して来ましたが、私にとって最も勉強になったのは、「 CPUville 」という Donn Stewart さんのサイトです。

 このサイトは HACKADAY のように新しくなく、むしろ古い時代を感じさせるものがありますが、このティストが今回の私のイメージに合っており気に入りました。

 教育目的、、、、とあるように、ボードなどの販売はしていますが、それらに至るまでの資料が大変貴重です。すなわち、モニター・プログラムの作成(詳細な解説つきのアセンブラリスト)や、特に CP/M システム構築のための手順や、必要なソフト類がすべて公表されています。
 、、、、ということで 今回は Donn Stewart さんを先生と勝手に仰ぐこととしました、もちろん感謝をこめて。

 いろいろと考えた結果、左のような Z80 SBC を製作することにしました。

 当然必要となるいくつかのロジックICはべつにして、左図にある4個のICで構成することにしました。

 Z80 CPU にこだわらなければ、周辺チッブも合体した AKI-80 ボードもいいのですが今回は Z80 CPU が主体です。

 このボードとは VT-100 端末に見立てたパソコンと USB または RS232C で接続して使用しますが、もちろん表示はキャラクタだけでグラフィックスはありません。

 この基本的な入出力を確認後、モニタープログラムを作り、そののちハードに手を加えて CP/M 80 システムに発展させていくつもりです。

(つづく)