2013年10月23日水曜日

この秋二度のお勤め(金木犀)

 この秋二度のお勤め、といっても人のことではありません。
 狭い我が家の庭ですが、なぜかキンモクセイが2本あります。樹齢はもうかれこれ40年はあると思いますが、その間、毎年秋になるとあのふくよかな香りを楽しませてくれています。
 もう一ヶ月近く前になるでしょうか、夕刻外出先から帰ったときに真っ先に秋の訪れを知らせてくれました。そしてアスファルトの道を黄色く彩って一週間弱で花は終わった、、、、はずですが10月もほぼ終わりの今になって再度開花が始まったのです。それも2本とも、、、、

 いろいろ調べてみましたが、キンモクセイの二度咲きはそれほど珍しくは無く、過去にもいろいろあったようです。さすがに今年の気候はずいぶんとイレギュラーで私たちもずいぶん疲れましたが、彼らとて同様であったもののようです。
 


 ことのついでにもう少し調べてみました。
 キンモクセイ(金木犀)はモクセイ科モクセイ属の常小高木で、モクセイ(ギンモクセイ)の変種だそうで、もともとは中国南部原産で、日本には江戸時代に渡来したそうです
 樹皮の様子がサイ(犀)の皮膚に似ており金色の花を咲かせるので「金木犀(キンモクセイ)」の名前があります。中国では丹桂、金桂、桂花と呼ばれます花言葉は「謙遜真実変わらぬ魅力」とか、、、、

 秋に小さオレンジ色の花を無数に咲かせます(右写真)。キンモクセイは雌雄異株でが、なぜか日本には雄株しか入っていないので結実しないそうです

 日本で庭木としてこれほどポピュラーな木は無いといっていいのですが、雌株が無いというのも何かおかしな、、、、
 そういえば櫻のソメイヨシノも結実しないのですが日本中にあります。人為的な力はかなりのものだと感心しました。


 庭をふと見渡すともう秋が来ています。左上の写真は、友人からいただいたオキナワノアサガオ(沖縄野朝顔)です。なぜか暑い夏にはほとんど咲かなかったのですがこのところ数多く開花しています。

 右写真はブルーセイジで、もうそろそろおしまいでしょうか、、、、

 マユミもかわいい小さな赤い実をつけ、紅葉も始まっていますが、この夏の暑さに耐えかねて一時は枯死するのでは、、、、と心配しました。

 我が家のウェルカムフラワーとなっているセンニチコウです。(右写真)
 少し涼しくなってきたら俄然元気になってきました、赤色が美しいです。

 左写真はホトトギスです。涼しくなってきたせいかずいぶん色が赤く見えます。でも、鳴いて血を吐く、、、、といいますから、、、、



 見上げるとキーウイが文字どうり鈴なりです。ことしもまた数え切れないほどたくさんの実をつけてくれました。




 10月になってから30度を超える日が何回かあったり、台風もまだ二つも上陸を覗っています。

 でもサザンカも順次開花してきました。季節は確実に進んでいるのです。


 秋の花もいろいろありますが、このシュウメイギクも中国から渡来したもので、キクではなくアネモネの仲間だそうですが。でもこの風情は好きです。

 植物にとって、花や実をつけることは大変なことだと察せられますが、今秋二度のお勤めをしてくれたキンモクセイに感謝です。

2013年10月13日日曜日

矢並湿原(ラムサール条約湿地)散策

 たまたまテレビニュースで豊田市にある矢並湿原(ラムサール条約湿地)が公開(5日間のみ)されているのを知り、急ぎ家人と出かけてきました。
 当日はまだ少し暑さは残るものの、空は高くきれいな秋空でした。場所は東海環状自動車道の鞍ヶ池PAスマートICで降りたところにある「鞍ヶ池公園」からのシャトルバスで、ものの5分のところです。(駐車場が無いとのことで、、、、)

 公開時間が午前10時からとなっていましたが、休日のこととて混雑を見越し、シャトルバス乗り場へ9時10分ごろ到着しましたが、それでも乗り場での順番はほぼ20番くらいでした。
 40分近くの時間待ちを覚悟したのですが、なんと小型バスの乗車定員に達した段階で速やかに発車です。この臨機応変の処置にはみな感激でした、、、、

 ラムサール条約と条約湿地について環境省のホームページで調べてみました。
 1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」において「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が採択され、この条約は開催地にちなみ、一般に「ラムサール条約」と呼ばれているとのこと、、、、発効1975年

 そして本来は水鳥の保護から始まっているようですが、最近はさらに絶滅が危惧される生物の保護にまで解釈が広がってきているようです。
 この「矢並湿原」は他の「上高湿地」「恩真寺湿地」とあわせて、「東海丘陵湧水湿地群」として平成24年、国際的に重要な湿地として「ラムサール条約」に登録されました。右は現地にあった登録証のコピーです。

 矢並湿地は左図に示すようにそれほど広くは無く、右上の入り口から時計回りに観察しても15分もあれば事足ります。中へは当然のことながら立ち入ることは出来ませんが、湿地中央には物見台があり、間近に植物などを観察することが出来ます。

 入り口近くには右写真のような横断幕が張られていました。その前、手前に広がっているのが下段側の湿地で、季節の終わった「サワヒヨドリ」でほとんど満たされていました。

 左写真のように、希望者が、ほぼ10人ずつ一団となって、ガイドさんの詳しい説明つきで案内をしていただきました。さいわい時間が早かったおかげで、ようやく谷あいに朝日がさしはじめる様子とともに楽しむことができました。、

 右写真は案内図の左端(上段側の湿地)から入り口方向を見たものです。湿地の左半分に朝日が当たっており手前側はまだ日陰です。この写真では良く見えませんが、湿地の中は「シラタマホシクサ」で覆いつくされており、また赤く見えているのはここでしか見られないという「ミカワシオガマ」です。右上に見える人たちは私たちの先行組で、湿地中央の物見台から花々を観察しています。

 そしてさらに右上に見えているのは、東海環状自動車道の橋脚で、建設の際にはこの湿地を回避したそうです。

 私たちも湿地中央の物見台にやってきました。朝日にうかびあがったお目当ての「シラタマホシクサ」「ミカワシオガマ」がきれいです。(左写真)

 「ミカワシオガマ」は 愛知県東部の湿地と中国山地の1のみ生育する、ゴマノハグサ科に属する多年草シオガマギクの変種。環境省レッドリスト絶滅危惧IB類(EN)に指定されているとか、、、、


 




 「シラタマホシクサ」は鉄分の多い酸性土壌の湿地に生える東海丘陵要素植物の一種、湿地が乾燥地に遷移する環境の変化によっても消滅すると考えられています。そして現在、環境省のレッドリストの絶滅危惧II類(VU)に指定されています「シラタマホシクサ」はかつていたるところで見られたのですが、、、、



そうこうするうちに後続のグループがやってきました。ガイドさんたちはずいぶん詳しく、この湿地周辺の植物についても丁寧に説明していただき、時間の経つのをを忘れました。

 「シラタマホシクサ」の白と、この季節、花の色に乏しい中で、「ミカワシオガマ」の赤色との組み合わせは絶妙で、秋とは思えないほどの新鮮な気持ちを私たちに与えてくれました。

 この湿地には、薊も二種類あって目を楽しませてくれました。
ひとつは左写真の「スズカアザミ」、もうひとつは右写真の「キセルアザミ」です。

 「スズカアザミ」は葉が比較的多く、花も均等に程よく分散して咲いています。「キセルアザミ」はすらりと背が高く、うつむいた蕾が開花するにつれて首を持ち上げ、煙管に似ているところからこの名前がついたとか、、、、

 木陰には「シラヤマギク」が楚々と咲いていました。(左写真)


 下段の湿原には少し小型の「コガマ」?が生えています。(右写真)
 後ろには、もう枯れかけている「サワヒヨドリ」が湿原を覆いつくしています。(左下写真)


 それでもよく探してみたら、時期が遅く、枯れる寸前の「サワギキョウ」もありました。(右下写真)



 
 湿原をあっという間に一周してしまいましたが、今度はガイドさんなしでもう一周しました。







 ひさしぶりに気持ちのいい秋空のもと、帰路はシャトルバスをやめてハイキングとしゃれてみました。

 今となっては懐かしい「シラタマホシクサ」を堪能した一日でした。