2013年4月29日月曜日

真空管試験機 Tube tester の製作(その1) 真空管とは、、、、



 年初のブログで 「構想十年、、、、ようやく完成の運びとなりました。経過を追々アップしていきます。」とアドバルーンを揚げてもう4ヶ月が経ちました。知人、友人からも「どうなった?」の声があり、勇を振るって書き始めました。どうなることか、、、、

 私の趣味のひとつに「真空管アンプつくり」があります。
 このために絶滅種(当初はそう思っていました)保護のために真空管を意識して集め始めましたが、それが新旧取り混ぜてずいぶんの量になっています。上写真はそのほんの一部です。大きさを知るために単2電池を混ぜてあります。右の写真は現在愛用の「6V6-PPの真空管アンプ」です。

 真空管は本来品質のバラつきが大きく(特に古い時代のものは)また、消耗品であるために中古で入手したものはその特性を知ることが必須となります。ということで「真空管試験機Tube testerが欲しいなー」とおもっていましたが、、、、ということで「構想十年、、、、」ということになったわけです。

 「いまどき真空管?」 などという人が多いので今回はざっと真空管について述べて見たいと思います。
 真空管は、1884年にエジソンが最初に2極真空管の特許を取得し、さらに1906年、デ・フォレスト3極真空管の特許を取得して以降、飛躍的に進化が遂げられていきます。
 戦後の五球スーパーラジオテレビジョンと真空管全盛時代を迎えるわけですが、トランジスタに代表される半導体素子の出現によって、あたかもかつての恐竜のごとく衰退していきました。
  ・原理的に熱電子源(フィラメントやヒーター)が必要なので消費電力が大きく、発熱する。
  ・フィラメントやヒータを有するため寿命が短い(数千時間程度)。
  ・真空管そのものや、これを用いる機器の小型化や耐震性に問題がある。
といった欠点があったからでしょう。
 でも、特殊な真空管の一種であるマグネトロンは、強力なマイクロ波の発生源として、電子レンジに使われ今も現役でがんばっていますし、旧東ヨーロッパ諸国やロシア、中国では独自の進化を続け、現在でも生産が続けられており入手可能です

 左図は真空管の動作を解かりやすく図示したものです。
 真空管というのは、真空に近い状態ガラスや金属等の容器の内部にいくつかの電極を封入したものです。電子を放出する電極(陰極・カソード)をヒーターやフィラメント高温にして、陰極表面から放出される電子を対極である陽極・プレートが引き寄せます。そして陰極と陽極の間に置いた制御格子グリッドでこの電子の流れを電圧制御し、発振、変調、検波増幅などの作用をさせるものです。

 真空管はその時代と用途によってそれこそ多くの種類があります。したがって資料によってその概要を確認する事から始まります。私は古いですが、ラジオ技術社の「全日本真空管マニュアル」を使っています。ちなみにこれは昭和48年(1973)4月20日 15版1刷です。
 今回例にとりあげる 6AV6 という真空管は52ページの右に掲載されています。またRCAの RECEIVING TUBE MANUAL も併用しています。




 ネットでも多くのサイトがありますが、わたしは「Frank's Electron tube Pages
http://www.tubedata.org/を使わせていただいています。

 6AV6は7ピンのMT(ミニチュア管)でピン配置は左図のようになります。

ピン番号は時計回りに割り振られていますが、下から見た配置です。(最近のICは上から見た配置)
 この球(真空管のことを我々はこう呼びます)は5級スーパー時代に良く用いられた3極・2極・2極複合管です。このなかの3極管部のプレート電圧・電流特性を測定ってみましょう。

 既述の「真空管の動作」図のようにプレート電圧とグリッド電圧をかけ、ヒータに電流を流せばプレート電源電流を読みとる準備が出来ます。あとはグリッド電圧ごとにプレート電圧を変化させ、応答する電流をプロットすれば「プレート電圧・電流特性」を得る事が出来ます。

 右写真はこのブログで以前紹介した「真空管時代の可変定電圧電源の上に測定すべき6AV6を仮にセットしたところです。左写真はその拡大写真です。また右下写真はグリッド用電源と測定用DMM(ディジボル)です。



これらの測定器はこのブログのこの章を書くために急遽セットアップしたもので、私が製作した「真空管試験機 Tube tester」ではありません。要は適当な電源と測定器さえあれば比較的簡単に真空管の特性が測定できるといいたかったのです。

 以下に結果を示します。
 左側の図がマニュアルに掲載されていた6AV6のプレート電圧・電流特性」で、右側の白っぽい図が今回測定した結果です。
 即興でとった結果ですがなかなかうまくいきました。



 もともと真空管はかなり「アバウト」なものでまたそのことが長く愛されてきたのだと私は思っています。



 では次回以降をなるべくはやくアップするように、、、、

 これら真空管の実験には~400Vの高電圧を使いますのでもしおやりになるときはくれぐれも感電にご注意ください!!!

2013年4月16日火曜日

春の苗木城址


 暖かい春の日差しに誘われて、ひさびさに中津川にある苗木城址へ地元の友人と会って昼食を摂るべく出かけました。高速道路ではなく、足助、稲武、を経由して、途中春の景色を楽しみながら旧中仙道を北上しました。花には少し遅いですが、山櫻はまだまだいたる所にあり、それ以上に、木々が芽吹いて一斉に明るくなる「山笑う」を実感できました。
 苗木城は鎌倉時代女城主で有名な岩村城の遠山氏が苗木に北方進出のため砦を築いたことに始まります。
 戦国時代に城となりましたが豊臣方の森長可に城を落とされ時の城主遠山友忠は徳川家康を頼りました
 しかし関が原の戦いの折、その子友政が奪還、戦役後あらためて1万石余りをもって苗木に封じられ苗木遠山氏の初代となり、以後12代、明治になるまで存続しました。現在は国の史跡に指定されています

 苗木城は「赤壁城」の別名があって、城の壁は白漆喰ではなく赤土がむき出しになっていたと伝えられています

 その理由については、木曽川に住む竜が白い色を嫌い、何度漆喰を塗り直しても嵐を起こしてはぎ取ってしまったという話が残されていますが、実際には、苗木藩が経済的に弱体で漆喰を塗る経費が捻出できなかったというのが本当のところとされています。


 地図の左下から登り始めますが、途中山櫻やツツジがきれいに咲いていました。





 登り口から風吹門を見たところです。門の向こうに櫻が見えています。








 櫻と石垣の組み合わせもまた絵になります。

 土井晩翠の「荒城の月」の歌詞の4番に 「天上影は変はらねど 栄枯(えいこ)は移る世の姿~ 」 とありますが、まさにそのままです。


 風吹門を入ったところが三之郭あとの広場になっています。ちいさな女の子がお母さんと来ていました。



 右上写真は風吹門の左手にある大矢倉を見上げたところです。チラホラと人影が見えます。日曜日なのに何故かあまり人は多くありませんでした。

 右写真は三之郭あとの広場にある「花桃」です、気のせいか楚々と咲いているような、、、、










 白い花が見えているのは「馬酔木」です。この城内には多くあり気のせいか香りもよりふくよかでした。






 いよいよ本郭に上がっていきます。この城はいわゆる山城で、とりわけ巨大な自然石が多くの場所で使用されているのが特徴だそうです。






 頂上から見た景色です。遠くに見えるのは恵那山でこの地方ではもっとも南にある2000m級の山です。つい先日の寒波のせいで降った雪がまだ所々残っています。

 眼下の瑠璃色に見える流れは木曽川です。この少し下流が恵那峡下りの始点になります。

 今は春、山は薄く霞み、山々の木々は一斉に色とりどりの若芽を吹き出しています。本当にこうして眺めていると時を忘れてしまいます。
 ちなみにここの高低差は150mもあるとか、、、、




 こちらは先ほどの大矢倉の跡です。こうして見下ろしてみると南米の遺跡のように複雑な石組みがみて取れます。



 ちょうどお昼時になりました。地元の友人が丹精してお弁当を作ってきてくれました。まるい重箱の三段重ねです。


 おにぎりは3種類、海苔巻き、高菜巻きそして「オコギ(木の若芽)」のまぜごはん、一方、お惣菜は、タケノコ、ワラビ、黒豆、オコギ、エシャロットなどなどみな手作りの心こもったものばかりです。

 程よい運動の後とて、あっというまもなく食べてしまいました。


 暖かい春の日差しと、心地よいそよ風、そして久方ぶりのふるさとの景色、、、、なんと言う贅沢な昼食でしょう。

 私たちの弾む会話に、ホオジロも頭上に割り込んでさえずり始めました。





2013年4月9日火曜日

昔作った測定器 交流?ブリッジ


 思いつくままにいろいろ作っていると長い間に作品?が溜まってきます。
 ゴミの山にならないように少し整理をしていたら30年くらい前に作った測定器がでてきました。

 これは抵抗値を測定するためのホイートストンブリッジ (Wheatstone bridge) です。

 ホイートストンブリッジはたしか高等学校で習ったように覚えていますが確かな事は、、、、

 要は右に示した結線図において aXbr (向かい合った抵抗の積が等しい)の場合において検流計を流れる電流はゼロになるというものです。

  実用上は直流より交流のほうが扱いやすいので、この回路をアレンジして、抵抗値を測れるようにしたものが、冒頭の写真です。

 低周波発振器(このブログでも取り上げましたウイーンブリッジ発振回路)の1kHzを1kHz入力端子に入力し、null測定端子にオシロスコープや低周波アンプ(スピーカまたはイヤホンつき)を接続します。
 ついで測定すべき抵抗を測定試料端子(冒頭の写真では赤色の陸軍ターミナルに公称2.2kΩ・5%の抵抗がセットされています。)にセットし、倍率抵抗群と可変抵抗を変化させながら出力(オシロスコープの波形またはスピーカまたはイヤホンの音)が最小になる点を探します。

 電源に交流を使うと電源に高調波やノイズが含まれていたり素子の非線形性の影響で高調波成分ができたりして、基本波でブリッジがバランスしても高調波などが残留してしまい、ヌル点が見つけにくくなる欠点がありますが、ほどほどの正確度と、試料に抵抗のみを対象にしているので、これでよしとします。

 タイトルに「交流?ブリッジ」と?がついているのはこのあたりのことで厳密にはコンデンサなどを考慮してマクスウェルブリッジ(Maxwell bridge)とするのが正道です。

 さらに、使い勝手を良くするためにアイデアが入っています。

 1.基準抵抗を1kΩとし、倍率抵抗群を10,100,1k、10k、100k、1000kΩと切り替え可能にし、可変抵抗を1kΩの10回転ボリューム(ヘリポットの商品名で有名)でダイヤル直読にすることでディジタル式に数値を読み取ることができます。

 2.上記回路図には表現してありませんが、null測定端子にトランスを入れて信号を昇圧するとともに、入力信号と出力信号のグランドを共通にしています。

 右上写真は中を見たものです。右の茶色の円筒状のものが1kΩの10回転ボリューム(ヘリポット)、左側にトランスが見えます。赤と黒のミノムシクリップは1kHzの信号入力端子です。

 左写真はnull測定端子からのシグナルをオシロスコープで観察しながら電圧が最小になるように調節しているところです。シグナルが小さくなると先に述べたように交流ブリッジの弱点であるノイズが多くなって、1kHzの正弦波が太く見えています。

 下写真はシグナルの最小点時のダイヤルの状態を拡大したものです。2176と読めます。
 最大の読みが10000でこれが1kΩですから0.2176kΩを指しています。
 また倍率抵抗群は10kΩにしてありますので、試料の抵抗値は 0.2176  10 
= 2.176kΩということになります。

 一方、現在の文明の利器、ディジタル・ボルト・メータ(DMM)の抵抗測定レンジで測定してみました。

 あっという間もなく2.187114kΩと表示されます。4線式ではなく簡易な2線式でリード線込みなので結果はそこそこですが、これが正しいとしたときも、私の古い測定器は1%以下の誤差で結果を出してくれました。




 こんなことを、古い作品ごとにやっていたらとても整理などは、、、、