2022年10月19日水曜日

ウクライナからの最近のFRMS(Si5351 Network Analyzer Lite)は優れもの

 FRMSFrequency Response Measuring System)というアマチュアが使う測定器があります。秋月電子のDDSキットを発振器に使い、ログアンプのAD8307を使ってレベルの測定を行いパソコンに表示するといったもので、アマチュア無線関係のガレ-ジキットのネットショップ「CYTEC /サイテック」から情報が公開され、必要に応じプリント基板も購入することが出来ました。(左写真、CYTECさんのサイトから引用)
2000年にはもうありましたから、大変なロングセラーです。

 今日まで私も、何台も試作し、また便利に使ってきました。秋月電子のDDSキットはもうありませんし、MAX周波数が20MHzでは今時物足りません。

 UR5FFRというウクライナのアマチュア無線家のサイトは、昨年このブログでも紹介していますが、(arduino シールド型 簡易ネットワークアナライザ (pico NWT) の製作)今回はこの高性能版ともいえましょう。

 詳細はネットで、「 
UR5FFR NWT で検索すれば、回路図、ソフトウェアなど詳細な情報が得られますので、ここでは簡単な紹介のみとします。

 このシステムを簡易回路図で説明します。
 キーパーツは、Si5351ASA612AAD8307AAruduino nano、そしてセラミックフィルターです。
 これらのパーツの羅列を観れば、もうこれといった説明はいらないほどに目的は明確です。
 Aruduino nanoによって制御されたSi5351ACLK0から試料( DUT )に供すべき周波数の高周波が、CLK2からSA612Aのローカルに供すべき周波数の高周波がそれぞれ発振、供給されます。

 一方、試料( DUT )を経た信号はSA612Aに入り、Si5351ACLK2からのローカル信号との差である455kHzの信号に変換されます。この信号は2個のセラミックフィルター(秋月 455kHz±2kHz  LTM455IW)を経てAD8307Aで対数変換されます。そしてこのADC信号をAruduino nanoがパソコンに転送し、描画ソフトによりモニター上に表示されるわけです。


 上写真左は完成した本機、右は内部の写真ですが、フロアノイズを下げるための悪戦苦闘ぶりの痕跡が残っています。また入力部(左側)は本来50Ω受けですが、使い勝手を考えてBF998によるソース・フォロアに改造してあります。50Ωが必要な時には無理やりアッテネータを介します。

 右は、DUTとして50ΩのATTをいれたものです。

 最上部のラインは0dBを正規化したもので、以下-10dBごとの結果を示しています。

 周波数は100kHzから100MHzまでスイープしていますが、50MHzまででしたら、下から3本目の-80dB以下まで行けそうで、AD8307Aのスペックであるダイナミック・レンジ92dBを考えればむしろ上出来だと考えます。

 この制御ソフトには、クリスタルフィルターを作成するためのユーティリティーがついていますので早速試してみました。
 クリスタルは9MHzのものを使用しましたが左図は共振点の測定です。


 右図は即席で組み立てたクリスタルフィルターの特性です。このNWTに描画するのが目標ですので、細かいマッチングなどはとってありませんので、、、、

 図のように曲線を描かせて、ツール・ボタンの中のフィルター・パラメータをチェックすると、いくつかのマーカーと右上の特性表が現れてビックリです、うまく使えば有益かも、、、

 というわけで今回は、時流に乗ったわけではありませんが、ウクライナ関連ネタでした。
 UR5FFRさんのサイトを閲覧することはできますが、彼にメールしても返事はできないョ!!とありましたし、記事の一部には生々しい戦争被害のシーンもアップしてありました。

 はやく平和な世界が訪れんことを祈ります。