2016年5月23日月曜日

人感センサーライトの製作

 先日、東京に出かけた折、面白いものを見つけました。
 
  スウェーデン発祥で低価格、デザインのよさで知られている世界最大の家具販売店IKEAが販売している「 OLEBY センサー付きワードローブ照明」です。












 これは人が近づくと焦電型赤外線センサー自動的にLEDを点灯するものです。
 その名のようにワードローブの中に設置し、扉を開けると点灯し、閉めると自動的に消灯します。

 手のひらに収まるほどコンパクト(75x65x17)で、どこにでも置け、デザインもシャレておりその上2個入りで¥699(税込み)というのですからたまりません。
 でもIKEAの店まで出向かねばならず、結局通販で入手しましたが送料がかかって千円ちょっとになりました。

 この人感センサー(焦電型赤外線センサー)については以前から興味があり、いろいろ調べていくと「焦電型人感センサーモジュール」という形で使いやすくしたものが ebay で送料無料@¥112とあり、いくつか入手してみました。
 左写真がそれで、国内ではどうみても送料別途@¥300はするものです。

 右写真はドーム状のレンズをはずして中央にある焦電型赤外線センサーを観たものです。
 この素子が波長 7-14μm の遠赤外線(人体が発する)とその動きを検知するのです。
 このセンサーモジュールはかなりの実績があるようで、ネットで調べるといろいろな情報が出ています。
 キモはセンサーからの信号を使い易い形で出力しなおしてくれる BISS0001 という18ピンのICです。

 左写真はモジュールを裏から見たものですが、下部にあるVCCに+5~20Vの電源を接続してやるだけで、人の動きを感じたときOUTに+3.3Vが出力されます。(各電圧は対GND)

 右上のジャンパー端子は、
 H-comショート(デフォルト);人を感じ始めてOUTへ+3.3Vを出力、感じ終わってさらにタイマー設定時間経過後にOUTが0Vにもどる。
 -comショートH-comショートのプリントパターンをカットしたのち);人を感じるとタイマーがスタート、タイマー設定時間経過し終わるまでOUTへ+3.3Vを出力。
 の2つのモードが選択できます。

 上部の左赤丸がタイマー時間設定用ボリューム、右赤丸がセンサー感度(3~7m)設定用ボリュームです。

 これらのことをブレッドボード上(右)で実際にモジュールを働かせながら確認・理解していきました。

 モジュール本体には3.3Vへのシリーズレギュレーターが搭載されていますので、電源には単3アルカリ電池4本(+6V)を使用することにしました。

 照明用LEDには 35000mcd@20mA の昼光色超高輝度品3個を直列抵抗220Ω(約15mA)で軽く使います。

 このLEDのドライブには TND012NM という左上図の例にあるようなドライブ専用のFETをつかいました。規格表によればINに与える点灯用シグナルは+5V以上となっていましたが、+3.3Vでもこの程度の負荷なら大丈夫のようです。

 今回、IKEAの「 OLEBY センサー付きワードローブ照明」にはない機能を付加しました、といっても BISS0001 にはもともと備わっていたものです。
 具体的には、このセンサーは人体の動きを昼夜の別なく検知しますので、照明の要らない昼間の点灯はわずらわしく、電池の消耗を促すだけです。

 モジュールのプリントパターンを調べてみるとRLという部品のついていない端子が用意してありました。右上図にあるICの9番ピンがそれで、ここを+0.2V以下にすればモジュールは何もしないことになります。
 そのためにはRL端子にCDS素子(光を感じると抵抗値が下がる)を接続してやればOKです。ただしここでつかうCDS素子は暗抵抗値0.5MΩのものが良いようでした。

 最終的に決定した回路図を示しておきます。

 きわめて単純なもので、右写真のように穴あきベーク基板の切れ端を使って作り上げました。LEDが点灯していないときの消費電流は1mA以下でしたので、メインスイッチはありません。

 こういった実用に供すべき電子工作で一番の悩みはケーシング・デザインです。今回は多少大きくなっても良いと割り切って無印良品の「ブラシ・ペンシルスタンド¥150」なるものを見出してきました、乳白色のポリプロピレン100%品です。

 右は外観、右下は底から内部を見たもので、ホルダーにはいった単3アルカリ電池4本とセンサー・モジュールが見えていますが、ガラガラに空いています。



 左写真は階段の中ほどに置いて作動状態をチェックしているところです。

 昼間は勿論のこと夜でも電灯がついていれば直前で人が動いてもそ知らぬ顔ですが、ひとたび暗闇になればわずかな動きも見逃さず点灯してくれます。

 今回は自作でも安価で実用になるものができたとおもいます。この焦電型人感センサーモジュール」は防犯灯や足下灯など応用範囲も広く十分に実用的で世の中で多く使われているのもうなずけました。

 IKEAの「 OLEBY センサー付きワードローブ照明」にも昼夜選択のオプションをつけてみましょうか、、、、

2016年5月15日日曜日

私のジャンク箱から(1) HP 410のACプローブ

 電子工作の趣味などで使い残したり、とりあえず保管などと言う理由でジャンク箱(ジャンク・ボックス)に放り込んでおき、いつの間にか忘れ去られた部品たちが長年の間にずいぶんたまっているようです。

 ということで一度くらい光を当ててやりたいとおもってこのシリーズ「私のジャンク箱から」を立ち上げることとしましたが、何が出てくるのか、いつまで続くのか、、、、

ネットからの引用です
 記念すべき?トップバッターはHP(ヒューレット・パッカード)の HP 410真空管電圧計 VTVM)の付属品であるACプローブです。右写真は HP 410C ですが、これ以前の古いモデルでも使用されています。

 残念ながら私は本体は所持していませんが、なぜかこのACプローブだけがジャンク箱の中で長年眠っていたのです。かすかな記憶をたどると、ん十年昔に秋葉原で見つけて連れ帰ったようです。

 ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)は1939年に創立された米国の計測器メーカーでした。
 その後、計測器部門は1999年にアジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)、2013年にキーサイト・テクノロジー(Keysight Technologies)と名前を変え現在に至っているようです。

この会社の、特にHP時代の計測器はそのつくりがすばらしく、古いものでも比較的回路図やマニュアルが入手しやすいので、今でもアマチュアにとって人気が高いです。


 写真はプローブを分解したところです。

 ACプローブの話に戻りますが、正式名はHPの 11036A AC Probe Operating Note によれば「 MODEL 11036A AC Probe 」とありました。
 半導体全盛の現在ではありますが、300Vで700MHzまで使える(単なるインジケーターとしてだけなら4GHzまで)プローブは他にないようで、その意味でも人気が高いのです。


 このプローブのキモは上写真の中央にある「 EA53 」という真空管で、1GHz以上で使える計測用2極管です。


 この球はフィリップスのもので、赤いインクで、AMPEREX EA53 GERMANY と印刷されていますが、AMPEREX は米国におけるフィリップスの商標です。


 そしてこの特殊な形状をした真空管にあわせてプローブの中にソケットがうまく組み込まれています。



         11036A AC Probe Operating Note にあった組立図を挙げておきます。

 この高周波プローブがまだ生きているか調べてみたくなりました。
 上図規格表によればヒーターに6.3Vをかければ作動するはずですのでフォーンジャックを用意し、とりあえずチェックしました。結果、電流は300mA流れ規格どうりです、生きていました

 それではということで HP 410C のマニュアルにある回路図を調べました。
 プローブの内部は右図、真空管電圧計の入力部は左図と、それぞれなっており、簡単に使えそうですので、実験用の回路図を起こしてみました。

 実験ではヒーターにDC6Vを供給しました、というのはこの回路では測定に際して逆バイアスをかける必要があり、電源を一種類だけにしたかったからです。

 回路図上の2kΩヘリポットがそれで、入力ゼロのときの出力がゼロになるように調節します。
 出力はDVM( KEITHLEY 2010 multimeter )を使って読み取りました。高周波ソースとしてはSSGを使い、10MHzで50Ωの負荷に加えた電圧をプローブで読み取る形となります。 

写真はブレッドボード上での実験の様子です。

 右は結果をExcelでグラフにプロットしたものです。
 入力は10MHzで、最大2V(私のSSGの最大値)までで、検波された直流出力は回路図どうりマイナス出力です。

 綺麗な直線関係にありますが、グラフの原点付近の低電圧入力領域で非直線部分があります。(グラフ中に拡大図あり)

 なおVHF帯と高電圧領域のレスポンスについては今回実験はしていません。
 AC高電圧は家庭用100V・60Hzからトランスなどで容易に得られ校正できるものとおもいます。

 左はネットから引用した HP 410C のパネル拡大写真でブルーの円で示した、0.5Vレンジの0.1Vメモリはゼロ点に大きく近づいているのがわかります。

 従って、電圧表示部を自作する際には、入力値を直接パネルに書き込んでメモリを作成する必要があるようです。

 ここまで来てこのプローブさえあれば簡単に300V・700MHzのAC/RF電圧計が自作できるような気がしました。

 ネットで探してみると、世の中には同じことを考えた先人がおられたようで、「 The Poor Man's HP 410C VTVM 」というタイトルに回路図つきで掲載されていました。
 これは右写真のように Heathkit の IM-18 というこれも有名な真空管電圧計のキットを改造したもので、うまく決めています。

 オリジナルの HP 410 は外見デザインがほとんど変わらないままに、初期にはメーター・アンプに直結プッシュプル2段の真空管アンプを使用していたようですが、そのうち比較的簡単なトランジスタ式チョッパー・アンプが採用され、最終的にはデュアル・チャンネルFETとオペアンプ( LM308AH )で構成されており、技術の進歩を垣間見るようでこれも面白い発見でした。

 何はともあれ、ジャンク箱にあったHPの「 MODEL 11036A AC Probe 」は稼動品でしたし、その周辺もしっかり調査できました。

2016年5月11日水曜日

ラジオの製作(4) LA1600 によるAMラジオ

 孫たちの成長に伴って帰省もなかなか都合がつかず、寂しい連休になったせいでしょうか、ラジオを無性に作ってみたくなりました。

 先回は LMF501T という3端子ICを使ったストレートラジオでしたが(ラジオの製作(3) LMF501T による現代の鉱石ラジオ)、今回は LA1600 というICをつかったスーパーヘテロダイン方式のAMラジオで、このブログでは第4作目ということになります。

 このICは三洋電機製で、世に出てから30年以上経ちますが我々アマチュアにとっては使い易いIC(SIP シングル・インライン・パッケージ)で、きわめて安価、かつ取り付けるべき部品も少なくて高性能が期待できる優れものです。

 私もずいぶん前からストックを持っていましたが、近年になってディスコン( discontinued の略で製造中止)の報がもれ聞こえてきて、LA1600 おまえもか、、、、と感慨にふけったものでしたが、市場にはまだたくさんあるようですし(現時点でイーエレ¥90)セカンドソースも名乗りをあげたようですので、今になっては杞憂でした。

 写真は LA1600 ですがいろいろ実験するにはピンが弱いので左側にあるように穴あき基板を使って0.6mmの錫メッキ線で補強しました。こうしておけばブレッドボード上での取り扱いが楽になります。

 今回は LA1600 のデーター・シート(三洋半導体ニューズ No.N2056C)にある「測定回路 (1) : AM-MW 」をそのまま使いました。

 まず挨拶代わりに左図のようにブレッドボード上で手持ちのポリ・バリコンとジャンクボックスからひろいあげた局部発振コイル( OSC coil )を使って配線し、発振の様子をオシロスコープで観察しました。
 比較的容易に発振してくれますのでこの回路はネットでも見られるように応用が利くかも、、、、

 ポリ・バリコンはトラッキング・レス仕様で、測定の結果アンテナ側で146pF、局部発振側で60pFでした。これに10pFのトリマーが各々についていました。また局部発振コイルの同調側インダクタンスは329uHでした。

 結果、発振周波数範囲は1000~2000kHzの範囲以上でとりあえずこの組み合わせで行くことにしました。

 右写真はポリ・バリコン、中間周波トランス( IFT )そして局部発振コイル( OSC coil )です。

 今回製作したラジオの回路図を低周波出力回路もあわせ示します。



 低周波出力回路には以前使用した HT82V739 をつかいましたが、低電源電圧で使用するには部品点数も少なく、使い良いICです。
 右写真は上の回路図をブレッドボード上に再現し、調整しているところです。(ただし低周波出力部は別ボード上)

 この時点で中間周波トランス( IFT )と局部発振コイル( OSC coil )には接続すべき端子が決まっていることに気づきました。


 左図はそれぞれ裏側(端子のある側)から見た端子番号ですが、実際に組み立てる際にはこの番号と上の回路図の番号と合致させる必要がありました。

 ということで、いつものように秋月の両面スルー・ホール基板の切れ端に低周波出力部(写真右側)も含めてコンパクトに組み上げました。

 スルー・ホールのピッチが2.54mmなので2つのICなどはいいのですが、中間周波トランス( IFT )、局部発振コイル( OSC coil )および写真右上のスピーカー用ジャックはドリルで基板を加工して取り付ける必要がありました。
  
 ラジオは日常的に使うものなのでケーシングが大切です。
 今回はアクリル板を加工して上下から挟み込むデザインを採用しました。(手抜き?)
 上写真はアクリル板を加工する際に使用した図面?で方眼紙に現物合わせで印がつけてあります。白く囲ったところが右上の基板が入るところで赤色の丸は中間周波トランス( IFT )と局部発振コイル( OSC coil )のコア調整穴です。ポリ・バリコンは緑の部分につきます。

 この図面の上に寸法どうり切り取ったアクリル板を載せプラス印にあわせドリルで穴を開ければOKです。

 この二枚の写真は完成したラジオを前後から見たものです。大きなダイヤルツマミは間に合わせですが妙に馴染んでいるようにも見えます。

 バーアンテナはこれもジャンクボックスから発見してきたものの巻き線を約600uHになるように巻き戻し使用しました。また取り付けは金属類からなるべく離す必要がありますので上部アクリル板の端にタイバンドで固定したらうまくいきました。

 このラジオはスーパーヘテロダイン方式なので単一調整が不可欠です。調整法はネットの記事を参照してください、こうしたラジオは規格に合ったバリコン、コイル、トランスなどを使えば容易なのでしょうが寄せ集めの部品では結構大変で私は苦手です。
 でも結果は満足できるもので、 LA1600 の優秀さを確認できましたので、今後さらに短波帯やエア・バンドの受信機にも挑戦してみたいとおもいます。

 最後になりましたが、今回のプロジェクトに際し、「トランジスタ技術2014 8月号」の記事が大変参考になったことを申し添えます。

2016年5月8日日曜日

新緑の高月院

 今回の5月連休は我家にとって静かになってしまいました、孫たちも大きくなって学校最優先の年代になったのです。

 春先の不順な天候もどこへやら、五月晴れの陽気に誘われて松平高月院へ出かけました。
 ここは徳川家康の祖、松平氏の菩提寺で、近接して松平東照宮もありますが、俗化しておらず、こんな時期の散策には絶好の場所です。 

 冒頭写真は散策路の入口にある松平太郎左衛門親氏の像ですが、新緑に囲まれて綺麗です。

 右は松平東照宮の前池で、ここも緑に溢れています。 



 散策路をしばらく行くと突然にシャクナゲ(石楠花)の花が目に飛び込んできました。すべての花が開くにはまだ間があるようですが、しっかり開いたものもあり、ある意味この新鮮さは今が見ごろです、感動的な美しさでした。

 右手の緩やかな斜面を見上げると、そこにはなんとエビネラン(海老根蘭)の一群が一斉に花開いていました、見事です。




 やはりこの地は少し高いので、その分春の訪れが遅いのでしょう。



 その先で珍しいものを目にしました、黄色いツツジです。
 家に帰って調べたら、レンゲツツジでした。レンゲツツジは朱色が通常ですが、稀に黄色があるようです。


 新緑や花を観ながら登っていくと天下茶屋に着きました。ここは茶屋とは言うものの蕎麦などもあります。少し早いですが、昼食代わりに「天下餅」を食べました。(少し足りないようなので五平餅を追加しました)

 ~織田がつき、羽柴がこねし天下もち、座りしままに食うは家康~ と三英傑の歴史的役割については昔からよく言われています。
 この茶屋にフタバアオイが売られていました、さすが家康ゆかりの地です。この葵の葉で家康の紋所ができています。(先のブログ「春の庭花_2016」参照)



 又この茶屋の一角では地元作家の手作り陶器即売会が行われていました。




 さらにここからは谷川のほとりを細流(せせらぎ)の音を聞きながら緑のトンネルを登っていきます。




 傍らではヒヨドリがご挨拶です。







 かつて中国から帰化したシャガ(胡蝶花)は群生を見ることが多いのですが、花のひとつひとつを仔細に見るとその繊細さがよくわかります。



 これはタツナミソウで、我家のタツナミソウは白です。(先のブログ「春の庭花_2016」参照)


 そして前方に真っ白な花の色が見えてきました、 枝いっぱいに小さな花がびっしりと咲いています。
 そうですこれはウノハナでしょう。

  卯の花の匂う垣根にホトトギス早も来啼きて忍び音もらす夏は来ぬ いまでは卯の花の垣根はめったに見られません。

 ようやくせせらぎを登りきり、平地に出ました。
 ここにある池にはミズバショウがあるのですが、花はすでに終わっており、元気な葉のみです。
 いくらか期待をしていたのですがいくらなんでも遅すぎました。



 水辺にはアヤメが陽の光をいっぱい浴びつつ、薫風に心地よさそうです。

 転じて水面を観るとメダカとドジョウがこれも心地よさそうです、まさに5月、、、、




 いよいよ高月院の参道です、両側にツツジが綺麗です。





 高月院に到着です、皆の幸せをお祈りしました。






 坂の下にある駐車場への道端に真っ赤なケシの花が鮮やかに咲いていました。

 自然に包まれてゆったりとした時間を過ごすことができました。