2015年9月29日火曜日

ラズベリー・パイによるネットオーディオ(2)  PCM5102A DAC の自作

ケースに入れたRaspberryPiとPCM5102A DAC
 先回ズベリー・パイにVOLUMIOをインストールし、秋月のUSB DACを接続してのWeb Radioによる音出しに成功しました。

 しかしながら前述したように、AKI.DAC-U2704 は安価で定評はありますが、48kHz/16bit の性能ではハイレゾとはいえず、せっかくRaspberryPiがI2Sの出力を備えていることからこれを最大限利用すべくハイレゾDACを製作することにしました。

 インターフェース誌2014.9月号をはじめいろいろ調べてみましたが、意外と簡単にできそうです。それというのも回路のIC化技術がずいぶん進歩しており簡単な配線のみで比較的高級なスペックを出すことができるようです。

 その前に日常の使い易さと見栄えを考えてケースに入れることを考えました。
 ケーシングは自作品の最も苦手とするところで、使うのは自分だからと手を抜くと折角の作品がゴミ扱いにされ、なおかつ馬鹿にされかねません。 
 今回は右写真のように秋月のABS樹脂ケース(117x85x41mm)をつかいました。硬さもほどほどで、クラックも入りにくいようで割合容易に加工出来ました。


 上写真は正面です。USBポートが2つしかありませんので、上が無線LANドングル、下がUSBメモリとしています。左側の少し大きめのコネクタは有線LAN用です。

 左写真は背面です。音声出力用のRCAジャック(赤が右)とその左の穴は電源供給用のUABマイクロプラグが通ります。

 ほとんど使うことのない通常のオーディオジャックと映像信号用のHDMIポートを使うための穴は開けてありませんし、黄色の映像コンポジット信号出力用のRCAジャックは取り外してしまいました。結果、我ながら綺麗に仕上がったと思います。


 さて、いよいよI2S接続DACの製作です。
 使用するICは入手性の容易さと回路の簡単さからPC5102AまたはES9023に絞られるようです。今回は前者を秋葉原の千石にて@¥400で購いましたが機会あれば後者も試してみたいところです。

 右写真の中ほど左にある小さな20ピンのチップがPC5102Aです。右側にあるサイズ比較用のTTL ICやスケールと比較して大変に小さなことがわかります。このままでは配線が大変なので上にある変換基板(手元に20ピンのものがなかったので28ピンで代用)に一旦ハンダ付けしてから使うことになりますがこの工程が一番の難関なのです。



 回路図を示しますが、これは製造元Texas Instruments(オリジナルのBurr-Brownは買収された)のデータシートのアプリケーションそのままです。驚いたことにオーディオ信号の通り道を緑で示しましたが出力部分のフィルターRC以外は何もなく、あとは電源供給ライン(赤)とフィルタコンデンサそしてグランドラインのみです。

 PCM5102Aへの電源(共に3.3V)はアナログとディジタルを別々に供給できますので私はディジタルをRaspberryPiから直接、アナログをRaspberryPiの5Vから3端子レギュレータを通し3.3Vとして供給しています。この辺りはそれぞれの好み、いやこだわりでいいと思います。

 上写真は完成したDACボードで多少雑ではありますがうまく出来たと思います、これをRaspberryPiの8ピンのP5コネクターに挿して親ガメに乗っかった子ガメ、いわゆるピギーバックスタイルにして実装します。(右上)

 右写真にケースに入れたRaspberryPiとDACボードを示します。

 この装置をバックグラウンドミュージック用にと考えている私にとってここまでで十分に実用になりますが、電源の非スイッチング化を考えました。(多少蛇に足のきらいあり) 

 このシステムの消費電流は、実測の結果5Vでせいぜい800mA程度でしたがこのことは「たかが」かつ「されど」の世界です。

 常識的にはシリーズ定電圧電源を使いますがそのためにはAC 8V 1.5Aくらいが供給できるトランスが必要となりますし中途でドロップさせる電力もかなりなものになりますので、いまさらながらスイッチング電源のありがたさと世の中への省エネ貢献が理解できました。(パルスノイズに目をつむれば)


 左図は今回製作した5Vシリーズレギュレータです。
 電源トランスに古いヒータートランス(もちろん真空管用)6.3V 2A出力を利用しましたが、残念ながら90V入力タップがなく整流にSchottky Diodeと大容量電解コンデンサを使うことで整流電圧をあげています。

 もちろん入出力電圧差が小さいので、低損失可変レギュレータ PQ20RX11 をつかいました。内部基準電圧が2.64Vとありましたので出力電圧設定には2kΩを2個使ってあります。(2.64V x 2 = 5.18V)
 右図は以前このブログで紹介した自作の定電流負荷装置を使ってこの電源の出力特性を見たものです。測定が拙速・乱雑でプロットがバラついていますが、5V 800mAはなんとかクリアしています。


 ということで一応完成です。

 左写真手前左がケースに入ったDACボードを背負ったRaspberryPi、中央がマスターボリューム(ロータリースイッチと固定抵抗で作った若き日の作品)、右側が今回制作した電源(アルミケース入り)でACタップがつけてありますので、ここでスイッチを入れればパワーアンプもスタートします。

 後ろに見えているのは6V6PPの自作真空管ステレオパワーアンプで桜材標準箱入の三菱ダイヤトーンP-610Bを鳴らしています。

 しばらくこのサブ・システムで色々なソースを楽しみましょう、、、、そろそろ夜も長くなることですし、、、、

2015年9月22日火曜日

一夜花

 過日友人からいただいたサボテンの花が咲きました。

 背丈約50cmくらいの、あまり目立たない存在は庭の入口に置かれてはいましたが、まわりの景色に溶け込んで、ただ太陽の光だけは十分に満喫していたようでした。

 この9月はじめの朝、サボテンに花の蕾がついているのを見かけました。想ってもみなかった事なのでどんな花が咲くだろう、、、、と楽しみにしていましたが二三日経ってもいっこうに咲かずそのうち付け根からポトリと落ちてしまいました。

 そうなんです、蕾とばかり思っていたのはすでに咲いた花の萎んだものだったのです。

 そこで調べてみました。
 このサボテンは南米原産系の棘なし園芸種で総称される「柱サボテン」のようです。そしてこのような小さな丈で開花したのは十分に成長した株から切り分けたもので、友人宅の親は背丈が数mもあったのを思い出しました。

 よく観察してみると、幸いなことにありましたありました次なる花芽があるではありませんか。 (右)








 さっそく鉢をよく目に付く場所に移動し見守ることにしました。この時点で花芽は三つありました。

  さらに四日後ではこんなに大きく成長し、そろそろ開花が始まる予感があります。






 後ろに見えているのは「スパティフィラム」の鉢でかれこれ40年も経つ古株ですが、家人の丹精もあって毎年たくさんの花を楽しむことができています。

 サボテンをさらに観察すると稜線の上に小さな花芽がさらに二つありました、うまく育ってくれるといいですが、、、、

 さらにその二日後の夜、待ちに待った開花です。
 夕方蕾がほころび始める兆しがあって、夜の8時過ぎには開花していました。

 さすがに「ナイト・クイーン」と称されるだけあって美しい花です。
 残念ながら「月下美人」とは異なり、期待した香りはほとんどありません。

 一見したところでは「雄蕊」がずいぶん多い感じがしますが、闇の中で香りも無く花粉を運ぶ昆虫も呼べないとなれば察するところ風媒花なのでしょうか。


 予想どうり、この花は一晩限りの「一夜花」でした。
 しかも自家受粉では結実しないため、前述したようにほどなくして落花してしまう運命にあります。

 でも花は懸命に開花しようとしていますが、その様子を多くの「スパティフィラム」たちが応援しているように見えました。


 右写真は翌朝の様子です。いかにも再度咲きそうに見えますが、この花は二度と開くことはありません。冒頭の話はこの終わった花を見たのです。










 左写真はさらに次の夜あいにくの雨のなかで開花した様子です。左奥に先に咲いた花の名残が見えます。




 その後、後から見つけたちいさな蕾たちは咲くことはありませんでした。 頑張って咲いてくれました。
このことはブログさらに頑張って咲いた一夜花」として再度アップしました。

 でもおかげさまですばらしい花を十分に堪能することができました、花をいただいた友人に感謝です。

2015年9月5日土曜日

ラズベリー・パイによるネットオーディオ(1)  先ずは動かしてみる

 まだ秋の夜長までには程遠いのですが、今まで頭の片隅におとなしくしていた「オーディオの趣味」がこのところ大きく成長してきました。もともとオーディオは私の趣味の中でも5指の内に入るほどの分野なのです。

 過日親しい友人宅を訪れてオーディオ談義に花を咲かせましたがその折、ハイレゾ・オーディオなる単語が頻繁に出てきたのが事の起こりです。

 私のオーディオはCDプレーヤーに真空管のメインアンプを直結したものなので、ネットオーディオを念頭に機材を海外から入手した友人とのギャップを少しでも埋めねば、、、、と思い立ったのです。

 早速勉強にとりかかりました。インターフェースという、コンピュータ・サイエンス&テクノロジ専門誌がありますが、かねて目をつけていたバックナンバーを思い出し早速購入しました。







 ハイレゾとは、ハイ・レゾリューション・オーディオ(High Resolution Audio)の略で、CD音源よりも多くの情報量を持った高解像度音源のことです。図にイメージを示したように従来のCD音源の解像度が 44.1kHz/16bit であるのに対し、ハイレゾ音源(例)の解像度は 192kHz/24bit と大幅に向上しています。このことが音の臨場感や密度、輪郭などをいっそう際立たせると吹聴されているのです。

 もちろんCDよりはるかに多い情報量の取り扱いは高速AD/DAコンバータなどの電子技術の進歩なくしてはありえませんし、もはやCD1枚に入る情報量(700Mbyte 以下)では世の流れについていけず、インターネットからの音源ファイルのダウンロードが主体の時流もあいまってCDが急激に凋落していくのもむべなるかな、、、、ではあります。

 前述の雑誌にはラズベリー・パイ( raspberry Pi )をうまく使うのがベストだと書いてありますので、左図のようなシステムを考えました。

 ラズベリー・パイはすでに手持ちがあり、私のBタイプは旧型ながら残留雑音が低いと評価されており、今後このシステムで使っていくには恰好の場所を得たと言えましょう。


 ラズベリー・パイからの出力をオーディオ信号にデコードするDACにはこれもたまたま入手してあった秋月の AKI.DAC-U2704 というUSB DACのキットをとりあえず使うこととしました。
 この AKI.DAC-U2704 は安価で定評はありますが、48kHz/16bit の性能ではハイレゾとはいえず、キットのままでは出力部のフィルターが今ひとつなのでシステムの動作チェック用です。ハイレゾ用のI2S DACは別途考えていきましょう。

 右写真の上がラズベリー・パイBモデル、下が秋月のUSB DACのキット AKI.DAC-U2704 です。
 というということで残りのハード機材はすべて手持ちのものでOKでした。

 ここまでで一番苦労したのは無線LAN(子機 ドングル) Elecom WDC-150SU2M の接続です。事前にネットで「苦労するよ!」とありましたが、他のものより安価で、勉強にもなるだろう、、、、ということで購入しましたが少しハマリました。
 幸いにもラズベリー・パイがUSBデバイスとして認識しましたので(Realteckの8188euというチップ
を使用)ネットから関連ファイルをダウンロードして何とか事なきを得ました。

 参考のためにその時のコマンド操作を挙げておきます。

 さてようやくにして今回の主役の登場で、その名は「 Volumio 」といいます。

 Volumio とは Linux ベースの無料音楽プレーヤーで、ラズベリーパイに組込むことで動作します。(詳細はネットでしらべてみてください)
 私は Volumio のWebサイトにアクセスし、そこから ラズベリーパイ用のディスク・イメージファイル( Volumio1.55PI.img )をダウンロードしてSDカードにコピーし、ラズベリーパイを起動させました。

 左写真はアンドロイド端末( NEXUS7 )からのリモート操作で WEB RADIO を聴いているところです。音源ソースの選択はもちろん音量など各種の設定ができます。

 今回大変に重宝したのは Volumio に登録されている WEB RADIO です。まだよく調べていませんが、音源をハイレゾで送り出している曲も多いようで(左写真の局は STEREO 24bit 44.1kHz と表示されています)、クラッシックからヘビ・メタまで数多くあり、それらを一日中放送してくれています。

 私は主にクラッシックを聴きますが最初に出てきた音にびっくりし、秋月のUSB DACのキットでも十分だと感じました。(帯域の狭まった私の耳にとって)
 おもしろくなってきましたので、このシリーズをもう少し続けることにしましょう。