2022年12月31日土曜日

今年もまたまた1年が終わりました

  年もまたまた1年が終わりました。

 今年の漢字に 」が選ばれたように二月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻がいまだに終わっていません。この寒空の中エネルギーや食糧不足で日々を送っている人たちのことを思うとやりきれません。

 我々においても他人事ではなく、コロナ禍の継続に加えてエネルギー、食料、安全などからの圧力がいっそう強くなって、日々の暮らしに暗雲が立ち込め始めたような気配を感じます。

 毎年の正月飾り作りも食傷気味ですが、気持ちを励ましてようやく出来上がりました。
 相変わらず代わり映えしませんが、多少の工夫はしたつもりです。
 今年のモットーは「シンプル」としました。

 形は少し小ぶりにして、材料も数少なくして、結果写真のようになりました、多少スッキリ感が出ていると思います。(自我爺さん、、、)
 中央のリースは我が家のシンボルである50歳を超えたキーウイの蔓、それに松、竹、梅、ナンテン、裏白そしてダイダイをあしらってみました。(めでたく7種類)

 年末には10cmの積雪があり、久しぶりの雪景色を観ました。

 また私自身、普段はほとんど縁のない病院通いを一気に年末に4ヶ所(別々の病院)という経験をしました。
 結果は、痛い思いはそれぞれしましたが、本体には問題なく、無事に現在に至っています。

 そしてこの暮れに私も傘寿の道を歩み始めることになりました。年末のあれやこれやは新たなる未来へ向けての禊と受け止めて、私を支えてくださった人たちへの感謝を念頭に、日々を謙虚に過ごしていきたいと思っています。

 新しい年がみなさんにとってより佳い年でありますように、、、

2022年12月16日金曜日

トランジスタテスターを作ってみました、、、すばらしい!!!

 ランジスタテスターを作ってみました。
 かなり以前(数年以上前)から左写真のようなモノが目に留まるようになりました。

 中華系のネットではワンコイン(いまは¥安でそうはいきません)でも入手出来ていました。詳細不明のランジスタなどをソケットに差し込んで、スイッチを押せばたちどころにその素性(ピン・アサイメントも、、、)がわかるというものです。







 実は、手元には右写真に示すような、古いプリント基板から取り外したトランジスタなどの半導体素子が再利用するために沢山保管してありますが、なにせ古いものですので、表面にプリントしてある素子記号などが、かてて加えて老いの弱った目には判別困難な場合が多いのです。

 また、素子記号がわかってもネットでデータ・シートを探して仔細を調べる、、、など結構な時間がかかります。
 そんな時このツールを使えばいいのではないかと思い立ちました。

 ネットの商品詳細を観てみると、キットとして売られているものが多く、構成はAVR(マイクロチップ社のマイコンチップ)と表示用の液晶素子が主体で、肝心なAVRに書き込むファームウエア・ソフトは・・・・かれこれから探して自分で書き込め、、、となっていました。

 で、調べてみるとオリジナルは 「Mikrocontroller.net」(https://www.mikrocontroller.net/articles/AVR-Transistortester)りました。
回路図やファームウエアはここから手に入ります。

 いくつか種類がありますが、比較的新しい、ATMega3281306LCDを使ったタイプを選び、私なりに多少アレンジした回路風(パスコンなど色々落ちているかも、、、)なものを右に示します。電源は9Vの積層乾電池(百均にあります)また電源スイッチは記入してありません。
測定すべきサンプルは右側のTest Portにセットします。

 構成はいたって簡単なので、ブレッドボードでササッと確認です。
 表示を見ると 1-3 57.45pF とあります。Test Portには何もつないでないのですが、写真内の左上にある赤と白の間の校正前の容量を示しているものと思われます。














 さっそくケースをえらび、加工・組み立てを行いました。一つだけの作品なので、図面なしの現物合わせです。
 右上が完成品です。1306LCD が小さく見にくいですが、いつも使うわけではないので我慢です。

 右写真は手持ちの NPNトランジスタである定番の  2SC1815 を測定した結果です。hFE=164となり、参考までに以前自作したhFE計164.2とよく符合しています。

 またピンアサイメントも左から順に と示されており、当然正解です。










 上写真は シリコンNチャンネルMOS電界効果トランジスタ(FET)の結果です。

 このようにしてたちどころに必要な情報を得ることが出来るこのツールは本当に優れものです。さすがドイツ発、、、です。

 まだ詳細にマニュアルを読み込んでいないのですが、効能として

・NPN および PNP トランジスタ、N および P チャネル MOSFET、ダイオード (ダブルダイオードも含む)、サイリスタ、トライアック、および抵抗器とコンデンサの自動検出
・テスト中のコンポーネントのピンの自動決定と表示
・トランジスタと MOSFET の保護ダイオードの検出と表示
・トランジスタの増幅率とベース-エミッタ順電圧の決定
・MOSFETのゲート閾値電圧とゲート容量の測定
・抵抗の測定範囲は約20MΩ
・コンデンサは、約 0.2nF から 7000µF まで測定
・インダクタンスの測定

などが出来るようです。

これはもはやランジスタテスターではなくコンポーネント・テスターです!!!

2022年11月7日月曜日

16年前のパソコンに Lubuntu を入れてみた

  先日親しい友人宅へお邪魔して楽しい時を過ごし、お暇を告げた時、その玄関の片隅に、元気なく打ちひしがれた古いパソコンを発見しました。
 友人曰く、古くなって壊れたみたいなので捨てようと思っている、、、とのこと。見捨てるに忍びず、例によって悪い癖で家に連れて帰りました。(左写真)

 調べた結果、これは約16年前にDELL社がメジャーのインテルではなく AMD社CPU初めて搭載したミドルタワー型のデスクトップ PC Dimension E521 であることがわかりました。そしてそのスペックは、
 ・AMD社CPU Athlon 64 X2 3800+(2.2GHz) 搭載
 ・メモリ1GB (500MB×2/最大4GB)  搭載
 ・HDD WD 160 GB 壊れていました
 ・他にはDVDドライブ など
 ・OSにはWindows XP Home Edition がインストールされていたようです。

 本体のサイズは187×457×414mm(幅×奥行き×高さ)、重量は12.7kg以上というわけで、威風堂々今では置き場所にも困るサイズと重量です。ただしケース内は余裕たっぷり(右写真)

 清掃のためコンポーネント・レベルにまでばらばらに分解してみましたが、その造りの良さは今時のケースと違って材料と言い、設計のゆとりと言い、ほれぼれするような、堅牢な造りです。この時代の made in china は DELL社の設計をしっかり品質に落とし込んでいたのでしょう。


  左写真は、AMD社製のCPU Athlon 64 X2でスピードが3800+(2.2GHz)のもの(このシリーズ中くらい)が搭載されていました。

 今回手を入れたところは
 ・清掃(ホコリ除去)
 ・データ保存用の電池(CR2032)交換
 ・メモリを1GB増設(合計2GB)
 ・ハードディスクをSSDに交換  です。

 この状態で、windows 7 をインストールしてみましたが、少し遅く感ずる程度で全く使えないわけではありませんでした。メールのやり取りやインターネット検索だけならなんとか行けそうです。
 次いで windows 10のインストールではさらにスピード(立ち上がり、作業中の反応)が遅く我慢できませんでした。加えてwindows 10の標準グラフィック・ドライバーがこのDimension E521に搭載されている NVIDIA GeForce 7300 LE をサポートしておらず、1920x1080の解像度が出ませんでした。

 ドライバーを探して入れ替える気にもならず、、、Linuxをインストールしてみようという気になりました。
 日本語化が進み、今、比較的人気のあるLinuxといえばUbuntuでしょうが、この古い遅くて小さなマシンにはまだまだ大きすぎます。ということでLubuntuに思い当たりました。
 「Ubuntuの開発を支援しているCanonical社が正式にサポートしているUbuntuフレーバーの一つなので、安定性や将来性の面で安心して使用できます。長期サポート版の「LTS」なら、リリースから5年間、サポートが受けられます。」とありましたので、まさに大当たり!!

 Lubuntuのホームページから
lubuntu-22.04.1-desktop-amd64.iso をダウンロードして、この .iso ファイルを「 imgburn 」というソフトを使ってDVDに実行ファイルとして焼きこみました。

 あとは Dimension E521 の Bios (F2キーで立ち上がり)のブート・シークエンスの1番にDVDドライブを指定して、このDVDを立ち上げれば左写真の画面になり、順次インストールされます。

 そして最後に水中に浮かぶクラゲの画面になればOKです。

 最近の Linux 系のOSではGoogleChrome を走らせることができますので、メールや検索の点で使いやすくなると思います。 

あとはこの 大きくて重い Dimension E521 をどうするかが一番の問題だ!!!  

2022年10月19日水曜日

ウクライナからの最近のFRMS(Si5351 Network Analyzer Lite)は優れもの

 FRMSFrequency Response Measuring System)というアマチュアが使う測定器があります。秋月電子のDDSキットを発振器に使い、ログアンプのAD8307を使ってレベルの測定を行いパソコンに表示するといったもので、アマチュア無線関係のガレ-ジキットのネットショップ「CYTEC /サイテック」から情報が公開され、必要に応じプリント基板も購入することが出来ました。(左写真、CYTECさんのサイトから引用)
2000年にはもうありましたから、大変なロングセラーです。

 今日まで私も、何台も試作し、また便利に使ってきました。秋月電子のDDSキットはもうありませんし、MAX周波数が20MHzでは今時物足りません。

 UR5FFRというウクライナのアマチュア無線家のサイトは、昨年このブログでも紹介していますが、(arduino シールド型 簡易ネットワークアナライザ (pico NWT) の製作)今回はこの高性能版ともいえましょう。

 詳細はネットで、「 
UR5FFR NWT で検索すれば、回路図、ソフトウェアなど詳細な情報が得られますので、ここでは簡単な紹介のみとします。

 このシステムを簡易回路図で説明します。
 キーパーツは、Si5351ASA612AAD8307AAruduino nano、そしてセラミックフィルターです。
 これらのパーツの羅列を観れば、もうこれといった説明はいらないほどに目的は明確です。
 Aruduino nanoによって制御されたSi5351ACLK0から試料( DUT )に供すべき周波数の高周波が、CLK2からSA612Aのローカルに供すべき周波数の高周波がそれぞれ発振、供給されます。

 一方、試料( DUT )を経た信号はSA612Aに入り、Si5351ACLK2からのローカル信号との差である455kHzの信号に変換されます。この信号は2個のセラミックフィルター(秋月 455kHz±2kHz  LTM455IW)を経てAD8307Aで対数変換されます。そしてこのADC信号をAruduino nanoがパソコンに転送し、描画ソフトによりモニター上に表示されるわけです。


 上写真左は完成した本機、右は内部の写真ですが、フロアノイズを下げるための悪戦苦闘ぶりの痕跡が残っています。また入力部(左側)は本来50Ω受けですが、使い勝手を考えてBF998によるソース・フォロアに改造してあります。50Ωが必要な時には無理やりアッテネータを介します。

 右は、DUTとして50ΩのATTをいれたものです。

 最上部のラインは0dBを正規化したもので、以下-10dBごとの結果を示しています。

 周波数は100kHzから100MHzまでスイープしていますが、50MHzまででしたら、下から3本目の-80dB以下まで行けそうで、AD8307Aのスペックであるダイナミック・レンジ92dBを考えればむしろ上出来だと考えます。

 この制御ソフトには、クリスタルフィルターを作成するためのユーティリティーがついていますので早速試してみました。
 クリスタルは9MHzのものを使用しましたが左図は共振点の測定です。


 右図は即席で組み立てたクリスタルフィルターの特性です。このNWTに描画するのが目標ですので、細かいマッチングなどはとってありませんので、、、、

 図のように曲線を描かせて、ツール・ボタンの中のフィルター・パラメータをチェックすると、いくつかのマーカーと右上の特性表が現れてビックリです、うまく使えば有益かも、、、

 というわけで今回は、時流に乗ったわけではありませんが、ウクライナ関連ネタでした。
 UR5FFRさんのサイトを閲覧することはできますが、彼にメールしても返事はできないョ!!とありましたし、記事の一部には生々しい戦争被害のシーンもアップしてありました。

 はやく平和な世界が訪れんことを祈ります。

2022年9月3日土曜日

Heathkit GD-1B グリッドディップメータのリペア

  コロナだ、猛暑だ、、、というストレスなのかボンヤリと日々を送っているうちに、気が付けばもう9月です。
 ブログをアップする元気もなく、かなりのご無沙汰です。

 気を取り直して、今回は「Heathkit GD-1B グリッドディップメータのリペア」を取り上げました。
 Heathkit(ヒースキット)については、以前このブログでも取り上げました。

 Heathkit社についてはその中で述べていますので省略しますが、個々の製品は私のお気に入りで、今回のグリッドディップメータもその一つです。

 このグリッドディップメータの最初のモデル GD-1A が世に送り出された(もちろんアメリカで)のは、1951年で、次のモデルである、この GD-1B は1952年から1960年まで生産された長寿命のモデルで、60年以上昔の製品です。

 ここで少し簡単に
グリッドディップメータの原理を紹介しておきます。

 共振回路(LC回路)は"Lで表されるコイルと "Cで表されるコンデンサで構成される電気回路で、左下の式で表される共振周波数""で電流が変化します。
 ここで、L はインダクタンス(単位はヘンリー)、C は静電容量(単位はファラド)である。周波数 f の単位はヘルツです。


 右図において、測定すべき共振回路に右側の発振回路のコイルを近づけます。
 
 次いで周波数を変えていくと、特定の周波数(共振周波数)で測定すべき共振回路と電磁結合が起こり発振回路のエネルギーが被測定共振回路に吸収され、発振強度(グリッド電流)が低下(ディップ)します。

 このことから被測定共振回路の共振周波数を知ることが出来るわけです。

 詳しくはネットや左に示した参考書に譲ります、この本は1962年に発刊されたものですが、今でも私の座右にあり役立っています。















 さて肝心のリペアですが、ヒースキットの各モデルには詳細なマニュアルがあり、そのほとんどをネットからダウンロードすることが出来ます。

 この詳細なマニュアルさえあれば、対象物が物理的に破壊さえされてさえいなければあとは何とかなるのがうれしい限りです、なにせこれらの製品はすべてユーザーがマニュアルに従って自ら組み立てるキットなのですから!!























 上はマニュアルに掲載されている回路図です。
 真空管 6AF4 を使ったごく標準的な回路のように見えます。

 計測器に物理的破損はなく、通電での発振を確認しましたので一安心です。(コイルが欠損していましたのでありあわせで)

 マニュアルにある例の素晴らしいイラスト(左)と回路図に従ってほぼバラバラにして清掃、部品のチェックをしました。(写真などは省略です)

今回手を入れたところを以下に示します、

 1. 電源の整流素子がなんと懐かしいセレン整流器だったので、シリコンダイオード・タイプに交換。
 2. 電源トランスが1次115Vの米国用だったため真空管 6AF4 のヒータ電圧が低く、小型のヒータ・トランスを追加・搭載。
 3. 電解コンデンサ交換
 4. その他の抵抗、コンデンサをチェック、必要に応じ交換。


 今回の問題点は、本品を入手した際には本体だけで3~5本の発振コイルが欠品していたことです。
 マニュアルに掲載されていた右写真から付属コイルの様子が推測できます。またネットの情報では3本のコイルデータとして
2 - 5 MHz 180uH 、5 - 14 MHz 21uH 、14-37 MHz 2.7uH の数値がありました。これらから推定してバリコンの容量は 5 - 45 pF 程度と思われ、コイルは自作可能だと思われます。

 また最近では周波数測定技術が大幅に進歩しており、100MHz以上の測定も容易であることもあわせ、グリッドディップメータの周波数目盛りにコイルを無理やり合わせる必要もないので、この点では気楽です。

 左写真は作成した発振コイルです。

はRCAプラグをつけたもの、 は今回のグリッドディップメータに装着するためのアダプタ、 はヘアピン・コイルと呼ばれる 100 MHz オーダーを発振させるもの、 はあり合わせのコイルを使うときの方法を示しています。 

 右写真の左下はアダプタを使用しているところ、右下はヘアピン・コイルを使っているところで黄色い線のループは周波数カウンタの発振周波数ピックアップ・ループです。この場合、上のカウンタ写真から約 140 MHzで発振しているのがわかります。

 ということで、60年前の測定器が稼働し始めました。古いですが、真空管を使った発振回路は強力で、場合によっては最近の半導体ディップ・メータより使いやすいかもしれません。