さようならボストン美術館と言っても米国マサチューセッツ州のボストンにあるボストン美術館ではありません、左写真にある名古屋ボストン美術館のことなのです。
名古屋ボストン美術館は本家ボストン美術館の姉妹館と称してはいますが、自らの収蔵品は一切無く、本家ボストン美術館の収蔵品を借り受けて展示・公開する、実態はいわば本家の出先のようなものだと思います。
とはいうものの世界有数の所蔵品を誇る本家ボストン美術館の収蔵品を比較的容易に鑑賞できたメリットは大きなものがありました。
1870年に設立されたボストン美術館はボストンが貿易港としてアジア諸国との関係が深かったこともあり、早くから中国、日本、インドなどアジア地域の美術の収集に力を入れており、中でも日本美術のコレクションは、日本国外にあるものとしては質・量ともにもっとも優れたものとして知られています。
また20世紀の初めには、日本の伝統美術の復興、文化財保護などに多大な貢献をした岡倉天心が在職しており、英文の著作を通じて日本文化を外国へ紹介することにも尽力したとか、、、、
名古屋ボストン美術館は、このボストン美術館と20年間の契約で1999年に開館したものが、この10月8日に契約を延長できずに残念ながら閉館となったもののようです。
私は当初から趣旨に賛同して、開館当時からの個人メンバーシップでした。右写真のメンバーカードの左下に、199904すなわち1999年4月の文字が読み取れます。
ということで先日、閉館を前に最後の展示を鑑賞すべく出かけて来ました。
最後の展覧会は、ボストン美術館の所蔵作品のなかから、古今東西の人々が求めてきた「幸せ(ハピネス)」について思いを巡らせたものだとか、、、、
左は事前に配布されたポスターです。
また右写真は美術館前にあった看板です。
これらには今回の展示品の目玉がいくつかありますが、左上ポスターの上段中央は「江戸時代の画家、曽我蕭白の襖九面にも及ぶ、琴棋書画図(きんきしょがず)」ハピネスの文字の下、左は「メリーゴーラウンドの豚」、右は「踊るシヴァ神」で、いづれも本邦初出展でした。
右は記念に頂いた「名古屋ボストン美術館20年のあゆみ Bridge of Arts ~美の架け橋~」という冊子の表紙・裏表紙です。
なるほど名古屋ボストン美術館を Bridge of Arts ~美の架け橋~ とはうまく表現したものだと思いました。
右上はゴーギャン、時計回りにルノアール、モネ、北斎、蕭白、大観とこれまでに出会った名作がまさに走馬灯です、、、、
そして中にはさらに多くの思い出が圧縮してありました。
閉館に際しての何よりの記念品です。
開館当初はボストンからはるばる里帰りした、日本の美術品を鑑賞する際に、いくばくかの苦々しさが伴うのを禁じえませんでしたが、今となってはよくぞ大切に保存して置いてくださった、、、と心から感謝できるようになりました。
岡倉天心、フェノロサなど先人の努力に敬意を表します。
名古屋ボストン美術館があるこのビルディングには、ANAクラウンプラザ・ホテルグランコート名古屋もあります。
せっかくのことだから、、、ということでホテルの30階にあるレストラン「スターゲイト」で少しだけ豪華なランチを味わってから帰宅しました。
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