2017年1月8日日曜日

AD9833 発振器の製作

 新年明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。

 しばらく電子工作ネタが無かったのはこの「AD9833 発振器の製作」に思ったより時間をとられていたからですが、年を越しようやく完成のはこびとなりました。

 左写真がその作品ですが、まだパネルの文字などが入れてありませんのでのっぺりとした感じです。100x80x30と比較的コンパクトです。

 事の起こりは過日のブログ「LA1600 による7MHzSSBラジオ」に使用するVFOを作るべくいろいろ調べていたところ、AD9833 なるDDS・ICが目に留まったことです。

 このアナログ・デバイス社のICは右図のように外付けパーツがほとんど要らず、制御も同系列 AD9834 と同様でいい、、、、とのことで、そのうえ ebay を探したところ@\300 以下で入手できるということでこのプロジェクトがスタートしたのです。
 
 AD9833 を入手後 ARDUINO を使用し、ネットで公開されているスケッチで制御を試みた結果うまくいきました。参考のためスケッチを以下に示します。

 作確認用ですが、サイン波、矩形波、三角波が出力でき、応用にも便利です。

 
 



 







 AD9833 は上写真に示すように非常に小さく、補助基板に載せないと手の施しようがありません。



 今回の発振器の全体構想を示します。

 制御はこれも私のブログ「DDSコントローラーの製作」で述べている方法によりましたが、今回 
AVR は ATMega328 を内部発振8MHz で用いていますし、制御コードは AD9834 用を使う必要があります。
 AD9833 に供給するメイン・クロックは標準では25MHz なのですが、手持ちの関係で小型の40MHz OSC を使いました。
  
 DDS 出力周波数はあまり欲張らずに10MHz までとし、12MHz の LPF を入れました。

 あらかじめ シミュレータ( LTSpice )であたりをつけてから実際にテスト回路を組み、APB-3 のネットアナ機能を使いデーターを採ってみました。

 AD9833 の出力は内部で200Ωが既に負荷されているとデーターシートにありました。 

 結果を EXEL でグラフ化したのが右図です。多少うねりはあるものの実測データーとしてはこんなものでしょうか。

 ところでこの LPF に使用したインダクターはaitendoのFM用IFTを使いました。
 
 ピンクコアのこのIFTは2次巻き線が無くインダクタンスは実測で約2.8uHであり、目的の3uH にはコアを少し回すだけで容易に調整可能でした。事前に並列に入れてあるコンデンサー(チタコン)は小ドライバーを入れて割って除去しておきます。

 これは使えそうだ、、、、ということでaitendoを覗いてみたのですがすでに在庫無しとありました。

 今回のもうひとつの狙いは出力レベルです。少なくとも0dBm は欲しいといろいろ調べたのですが、ポストアンプは我々レベルには難しく、多少の高調波歪には目をつぶることとして、USの古い回路の定数を実験によって右に示すようにして用いました。








 使用しているトランジスター 2N5109 は古いですがなかなかのものではないかと過日これも ebay から@\90で入手しておいたものですがモトローラの刻印がありました、よく使う2SC1815(写真下)に比べると TO-39 メタル・パッケージは逞しそうです。

 このポストアンプのために+12Vが必要となり、電源は+5VとOSC 用に+3Vと3種類となりました。(構想図参照)

 左写真は生プリント基板をハンダ付けして作った発振器のベース部分で、左下が電源入力部、右上が出力用BNCプラグです。

 写真の右下に見えるのは AD9833 をマウントした MSOP(10ピン 0.5mmピッチ)- DIP化変換基板がユニバーサル基板に埋め込んである様子です。裏面は必要に応じ銅箔テープでアース面を確保しています。また右上写真はユニットを接続しての動作テストの様子です。
 
 右写真は出力レベルを自作パワーメーターで測定しているところで、1Mhz で+2.3dBm 、10Mhz で+0.5dBm となっておりとりあえず目標達成となっています。

 今後実験に供する際にはレベル合わせのATTや純度を上げるフィルターの併用もその都度必要に応じ考えていきましょう。

 今回の製作で役立ったチップスが2つありました。

 ひとつ目は秋月のロータリー・エンコーダーのツマミに、同じく安価な秋月のボリューム用ツマミを利用する方法です。そのままではシャフトに差し込めませんので、左写真のように6m/m のドリル刃でさらってやるとピッタリ収まります。
 ふたつ目はキャラクターLCDのコントラスト調整法です。通常は右図(a)のようにボリュームを使いますが、(b)のようにダイオードを使う方法もあります。今回は(c)のように抵抗を使いますが、画面の濃度を見ながら抵抗値を決めてやります。
 これはV0ポートがIC内部でプルアップされていることが必要で、すべてのケースで使用できるとは限りませんがほとんどの場合OKのようです。

 新春早々長いブログになってしまいましたが、今年も元気にいろいろアップしていきたいものです。

0 件のコメント: