2020年5月8日金曜日

AR-3000 蘇生しました

ここのところ、ずっと家に引きこもり状態です。時間がたっぷりあるのを前向きにとらえて、古い受信機の修理をしました。

 左が製品写真ですが、このAOR社のAR3000モデルは1988年発売といいますので、約30年以上前につくられたものです。

 この受信機はいわゆる、通信型受信機と呼ばれるもので、100kHz2036MHzをオールモード(ナローFM、ワイドFM、AM、LSB、USB)で完全連続カバーし、400チャンネルのメモリを持った、当時としては画期的な受信機でありました。

 このAOR社は、1978年の創立で、社名は現社長のアマチュア無線局の呼び出し符号(コールサイン)JA1AORより名付けられた、といいますからまさに日本のベンチャーのはしりだと言えますし、現在でも世界のひのき舞台で活躍しているようです。

 さて、我が家のAR3000は電源が接続できません、というのは専用の接続プラグがないからです。
 なければさっそく手持ちのパーツで自作です、、、ということで右写真が結果です。

 指先に見えているのが元々の電源端子ですが、今ではあまり見かけません。


 ついでのことで、アンテナ端子もかなり古びていましたので新品パーツと交換です。
 ここにはM栓ではなく、正規のBNC端子が使ってありました、さすがです。(左)

 ということで、ようやく電源投入の運びとなりました。この時が一番スリリングで、音、におい、発熱、形状変化などがないか五感を最高感度に研ぎ澄まします。

 幸い何の変化もありませんでしたが、残念ながら受信機も反応がありません。

 この段階は、この機種で一般によく知られている、メモリ・データをバックアップする電池の消耗が最初に思いつきます。

 チェックの結果、すでに腐食が始まっている危ない状態でした。他の例でよく見られるように、私も電池ホルダーを取り付け、次回の電池交換が楽にできるようにしておきました。電池はコンピュータなどでよく使われる、百円玉によく似た、CR2032というリチウム・イオン電池です。(右写真)

 再度、電源投入です。
 スイッチを押したあと、瞬間的に反応がありますが、すぐに無反応になってしまいます。

 ここからは経験に沿って順次チェックしていきます。幸いなことに、電源回路のチェック時に異常を発見しました。

 AR3000の電源ラインは、12Vを入力し、次いでこれを9Vに降圧し、さらに5Vに降圧します。
 異常のあったのは9Vから5Vへ降圧するとき、2V程度しかありませんでした。
 ここには3端子レギュレータの定番である78M05 が使ってありましたが、M タイプは 0.5A の能力しかなく、放熱フィンのないモールドタイプだったので左上写真の左側にあるように、取り外しました。

 そして右側のように、放熱フィンがあり、かつ能力が 1.5A ある L7805CV を採用し、さらに小さな放熱板をつけておきました。この3端子レギュレータ4Ⅴx 使用電流 の発熱がありますので、しっかりと密閉された筐体と相まって熱劣化を起こしたものと思います。

 ここで再再度の電源投入で、お待ちかねの初期画面が現れました、めでたしめでたし、、、、です。

 左写真は、エアー・チェック中の蘇生した AR3000 です。
 コンパクトさ(手のひらより一回り大きいサイズでどっしりとしたもち重み)と簡単な操作性(慣れたのちの)、そして前述した「100kHz2036MHzをオールモードで完全連続カバー」という高性能は30年たった今でも十分実用性があると思います。ちなみに、いい加減なわたしの測定では、100kHz1040MHz受信範囲で 1uV 以上の感度がありました。

 もちろんフィルター特性など、個々の性能について言えば議論は尽きませんが、、、、、

 蛇足ながら、AR3000 の直後にAR3000A がでており、AR3000 の生産台数は少なく、希少価値もあったりして、、、、


こののち、さらなる修正点が見つかりましたので、続編を追加しました。

   AR-3000 本当に蘇生しました   ( 2020 5 10 )

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