先日、秋晴れの心地よい空気に誘われて、近くの美術館に出かけてきました。
この美術館は1995年(平成7年)に開館した、市の公立美術館です。建築は土門拳記念館、葛西臨海水族園そしてニューヨーク近代美術館新館などの作品でで知られている谷口吉生氏による、鉄とガラスのシンプルな形態のモダニズム建築で、展示や鑑賞や収蔵品の管理に対する配慮の行き届いた機能的な建築であると評価されています。
知名度の低さや、アクセスの悪さなどであまり知られていませんが、私はなかなか良いところだと思っています。
入り口にある、かつての挙母城(七州城)を左手に見て緩やかな坂を上っていくと木々の間の開けた空間に建物が目に飛び込んできますが、このシーンは私のお気に入りです。
周囲の景色とはかけ離れたこの開放感はやはり建築家のすばらしいセンスなのでしょう。
この広場にもいくつかの野外展示作品がありますし、春には多くの八重櫻がきれいな花を見せてくれます。
右は、もう一段上にある、美術館の前面に広がる池です。四季折々の、またその時々の景色を水面に映し出してくれます。
そして私が家人と連れ立ってここを訪れるのは、もうひとつのお目当てで、館内レストランの「七州」です。
このあたりではこのお店に勝るところを私は知りません。味、センス、雰囲気、そしてもちろん廉価と言う点でです。
これは、レストランの中から見られる、鏡の衝立をいくつか組み合わせた野外作品です。 ときおり、鏡の中にお年寄りのカップルを発見して、???自分たちだと気づいて苦笑いをしたりします。
また、漆芸で高名な作家「髙橋節郎氏」の作品を収蔵する「髙橋節郎館」が併設されていますが、、その中にある休息エリアで、ゆったりと深めの椅子にすわって見るこの落ち着いた景色が家人にはことのほかお気に入りです。きれいに等間隔に植えられた、メタセコイアの緑のなかにも野外作品があってこちらを見ているようです。
当日は、子供たちを集めて、鉄板をトーチで焼ききったり、アークで熔接したりしていろいろなオブジェを作る催しが開かれていました。一見危なそうに見えましたが子供たちは臆することなく、モノつくりに集中し、楽しそうで私たちも思わず見とれてしまいました。
このようにこの美術館の学芸員さんたちは、分野にこだわらず、(展示内容も古典から現代まで)いろいろ工夫して我々に楽しみを与えてくれています。
そういえば今年の夏はドイツのフランクフルト市にあるシュテーデル美術館からフェルメールの「地理学者」を招待して、大賑わいでした。
ということで、私たちは作品の鑑賞にも増して、すっかりお馴染みになった「七州」のマスターの顔を見にこれからもたびたび通う事になりそうです。
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