また、トリオは現在のKENWOODそしてかつての春日無線です。
今回リペア(修理)ではなくレストアを称したのは一度完全に分解し、パーツなども交換して再度組み立ててみようと思ったからです。
上側と、下側のケースカバーをはずすと右写真のような部品配置が見られます。上がシャシー上面、下がシャシー下面です。
本機は入手したときに、電源平滑部のコンデンサを新規なものに交換してありました。写真に見えるブロックコンデンサは見栄え上の観点から、撤去せずに結線だけはずして残してあります。 そしてAMバンドでの受信は確認してありました。
この本は9R-59の開発者である高田継続さんが著者であり、出版と同時に購入しておいたものです。
さらにBAMAより右写真のLafayette he30 communications receiver operating manualをダウンロードして利用しました。このマニュアルには単一調整などの調整手順や、作動状態での各真空管のピン電圧などが記載されており大変重宝しました。Lafayette he30とは9R-59の対米輸出名で、米国では「トリオ」がすでに登録されており使用不可能だったのです。
左写真に見られるように、抵抗は懐かしいL型が使われています。抵抗やコンデンサは基本的にはすべて交換したいのですが、緑色のセラミックコンデンサは高耐圧のものが入手困難なため容量値とリークをチェックして再利用しました。
右写真は、バラバラに解体した部品のすべてです。
レストアはこれらの部品のひとつひとつを清掃・チェックしながら再組み立てをしていくわけです。
当然のことながら、部品には経年変化がありますので、交換のできるものは良いのですが、今では入手困難なものはそのまま組み付けることになります。
その代表的なものは、左写真の四角なアルミケースに入ったIFT(中間周波トランス)です。この古典的なLC同調器はもちろん生産されていませんし、選択性の優れた高性能なものは貴重です。次のモデルの9R-59Dでは初期のメカニカルフィルタに設計が変わっています。
右写真のバリコン(バリアブルコンデンサ)も同様です。これはスプレッドバリコンと一体になっており、このようなものはもう入手できないでしょう。しかしながら、シャシー上に裸で設置されていたためにホコリをかぶり、電極面は酸化が進んでいるのでQはかなり低下しているかもしれません。
これも博物館モノですが、丁寧に清掃してみましたが、切り替えスイッチの接点が酸化して接触不良を起こしていました。
というわけで、コイルパックも分解して接点の清掃です。(右写真)
水色で囲った中に中子の摺動子を示しておきましたがグリースの固化もあり、かなり汚れています。
これも結構経年変化があるものですが、容量チェックの結果表示値とほとんど同じなので、いずれ交換、、、、を条件に再度のご奉公を、、、、
原機ではSWなしが使用されていますが、ジャンクボックスをひっくり返したら、中古品ですが、2個もでてきました!!!もちろんガリなしで、、、、
早速配線の開始です。 例によって、ヒータ配線からはじめます。左写真は、電源部・低周波増幅部が終わったところです。そして、完成です。(右写真)
試運転中の様子を少し暗くして撮影しました。真空管の灯(ヒータ)が橙色に見えています。(上写真)
幸いにして本機のパネルスケールは脱落もなく(文字やスケールが消え落ちているものも多い)懐かしいパイロットランプのフィラメントの色もあわせ、当時の雰囲気を思い出させます。
性能的にはスペックをほぼ再現したと思いますが、さすがにHiバンド(10.5~30.0MHz)は苦しく、極端に感度不足になりました。
受信機としての性能は現代のものには及ぶべくもありませんが、電子工学の進化途中の部品のいくつかを使用した歴史的な?存在を、往時をしのび海外放送でもききながら楽しみたいと思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿