2014年3月23日日曜日

北斎を観て来ました

 昨日名古屋ボストン美術館に出かけてきました。




 今回の北斎展は名古屋を皮切りに、以下神戸、北九州、東京・上野の森と昨年末から今年の年末まで各地で開催される人気の展示会です。

 自身、名古屋ボストン美術館のメンバーシップであるにもかかわらず、その前日にメナード美術館へ出かけた折、北斎展が3月23日までで終了と知りあわて駆けつけた次第です。

北斎について、以下展示会の開催趣旨からの抜粋です。
葛飾北斎(1760-1849)は江戸後期に浮世絵師として画界に登場してから90歳で没するまでの約70年間、常にあらたな画様式に挑んだ不撓不屈の画人です。世界中で広く愛されている浮世絵版画の中でも、北斎の作品は特に人気があり、日本のみならず欧米にも熱心なコレクターや研究者が多く、世界各国の美術館に作品が収蔵されています。北斎は、米国のライフ誌が選んだ「この千年で最も重要な出来事・人物」に、唯一名前の挙がった日本人でもあります。」

 右は北斎の代表作として知られ「神奈川沖浪裏」です。
 ドビュッシー交響詩『海』はここから発想されたとか、ゴッホが画家仲間の手紙の中で賞賛したとか、西欧の芸術家に多大な影響を与えたといわれています。

 この絵の中には大波に翻弄される船が描かれていますが、この船は当時活魚輸送などに使われた押送船、いわば現代の高速道路を走る活魚輸送トラックでしょう。またそれぞれの船には8人の漕ぎ手がいます(拡大してみてください)が、あの藤原義江が「ど~んと どんと どんと 波乗りこえて~~~」と歌う出船の港にでてくる「八丁櫓でとばす」船とはこのことと理解できました。

 多くの作品の中で印象に残ったのは、北斎が70歳代前半に描いた花鳥画シリーズの1ある「芥子」で、この構図、色彩どれをとっても現代の作家が描いたといわれてもうなずけます。


 これも冨嶽三十六景のひとつ尾州不二見原」ですが、北斎の卓越したデザイン感覚があふれています。

 北斎の作品についてはあまりにも膨大で、奥が深く、とてもとても、、、、ということで分厚い図録をオリジナルバッグとセットでお買い上げ、、、、帰って勉強しましょう。

 また、藤沢周平さんの「溟い海(くらいうみ)」にあるように「東海道五十三次の広重とはライバルとして競い合ったとか、、、、
 この話を聞いて、私は写真家の木村伊兵衛と土門拳の関係に二人を重ね合わせてしまいました。もちろん土門拳が北斎、、、、なんとなくストイックなイメージが、、、、

 そういえば北斎で有名な「北斎漫画」が家にあったのを思い出しました。

 漫画といっても現在の「マンガ」とは異なります。漫然と画くといった程度の意味で、正確には北斎が絵手本として発行したスケッチ画集です。
 日々北斎が見聞きし、感じ、考えたことをすべてスケッチとして何千も残しています。いわばアイデアノートともいえますが、北斎のすごいところはこの「メシの種」をも版元と語らって出版してしまうところでしょうか。

 彼のことを知れば知るほど大変な人だと感嘆せざるを得ません。ライフ誌が「この千年で最も重要な出来事・人物」に北斎を選定した理由が判ったような気がします。

 彼は90歳で没していますが、いまわの際に天があと10年、いや5年の間、命保つことを私に許たなら、必ずやまさに本物といえる画工になり得たのに」と言い残したのもなるほど全身エネルギーの塊として生涯をすごした彼らしい、、、、

 北斎の作品142点と向き合って消耗したエネルギーを補うべく、東洋軒のブラックカレーで遅い昼食をとりました。

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