2015年12月7日月曜日

秋の東京散歩(三田祭・小石川植物園) 2/2

<小石川植物園>

 さて、一夜明けて今日は家人の希望で小石川植物園に出かけることにしました。

  一般には小石川植物園と呼ばれていますが正式名は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園本園」であり、分園は栃木県日光市にある日光植物園です。

 この小石川植物園は、江戸幕府江戸で暮らす人々のために薬草を育てる目的で麻布と大塚に南北の薬園を設置したのがはじまりで、その後5代将軍徳川綱吉の小石川別邸に後者を移設したものが小石川御薬園なのです。
 
またここは8代徳川吉宗江戸町奉行大岡忠相に命じて小石川養生所を設置させたことでも知られており、山本周五郎の『赤ひげ診療譚』黒澤明監督の『赤ひげ』はこの養生所を舞台とした話ですし、さらに同じ時期青木昆陽が甘藷(サツマイモ)の試験栽培を行った所としても有名です。














 たまたま到着時刻がお昼だったので、どこかでランチでも、、、、ということになりましたが適当なところがなかなか見つかりません。
 このあたりは「播磨坂桜並木」で知られる高級住宅街なのでしょう、ようやくにしてPesceというなかなかしゃれたイタリアンの店を発見し、おなかを満足させました。

 ということでいよいよ入園です。冒頭にある案内図の右下①の入口からスタートです。
 左写真は②からの前方景色です。この植物園は東京ドームの約3.5倍あり、多くの木々がのびのびと育っており、とてもここが都内であるとは思えないような自然に接することが出来ます。
 たまたま今は花の季節ではないとは言うものの、今は今で多くのエネルギーを植物たちからもらうことができるような気がしました。

 ③地点にあった大きな松の幹に赤く色づいたカラスウリの実が秋を告げていました。

 ④の「柴田記念館」は柴田桂太教授大正7年に授与された学士院恩賜賞の賞金を寄付し建設された植物園に残っているもっとも古い建物です。


 右⑤は遺伝の法則で知られるメンデルゆかりの葡萄の木、右下⑥は万有引力の発見者ニュートンの家の庭にあった林檎の木でそれぞれ分譲してもらったものだそうです。






 左⑧はモミジ通りからみた温室で、なかなか趣があるように見えますが入場は出来ませんでした。

 老朽化のために更新が必要になっているとは言うものの経費不足で寄付を募っているとのことです。

 今年は気候不順だったせいかモミジの紅葉も遅く、たくさんの木があるのにもかかわらずきれいに色づいていたのはこの一本だけでした。⑧

 ⑨にあるツバキ園にちょっと変わった花がありました。
 中国原産のグランサムツバキと言うそうです。


 ⑪のツツジ園ではオンツツジがきれいにさいていました。

 確かこの花は春に咲くはずですが、これも気候不順のせいなのでしょう。

  植物園のほぼ中央にある大イチョウ明治29年(1896)に、種子植物にも精子が存在するという生物学史上の偉業とされる発見の源となった木だそうで、はるか昔に高校の生物の授業でそのことを習ったのを思い出しました。




 冒頭地図の⑫あたりの写真です。

 周りの木々は自由に成長し雄大な自然を感じさせてくれ、あたかも泰西名画の一場面に入り込んだような錯覚を覚えて都心であることを忘れさせてくれます。



 大正12年(1923)の関東大震災では、多くの人々が植物園に避難しました。園内に設けられた22棟の急設救護所に居住した記念として大震火災記念石が残されたとのことです。





 いくつか池のあるところにやってきました。⑭

 数少ない紅葉の木の中でひときわ目立っているのはナンキンハゼです。

















 上・右写真⑮は国の重要文化財に指定されている旧東京医学校本館です。


これは明治年(1876)に建築された東京大学関係の現存する最古の建物で昭和44年(1969)に本郷構内からこの場所に移されたものだそうですが、日本庭園越しに見える景色はもともとこの地にあったように見えています

 事前の調べも無くいきなりの訪問でしたが、想った以上にすばらしい場所でした。今回はほんの一部を通りすがっただけでしたが、花の季節にゆっくりと再訪したいものです。

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