ペルーについて今後のためにもすこし私の理解を述べておきます。
地図のようにペルーは赤道近くにありますが、今回は南半球が冬にあたりますので、太陽は北回帰線あたりまで北上しており、灼熱の、、、、ということはありませんでした。かてて加えて遥か南極から北上してくるペルー海流(フンボルト海流ともいう)が南アメリカの西岸を冷やし続けます。
したがって、ペルーではあまり温度も上がらず、海からの水蒸気も抑制され雨も少なく、リマ市街でも植物には必ず人工的な散水が必要とのことでした。(貧富の差が観てわかる)
これから行くクスコの平原では年間の降雨量が2~3mmと極めて少なく、地上絵が残存している大きな理由となっています。
また上記地図上を、南北アメリカ大陸の西岸を北のアラスカからペルー、チリを経てアルゼンチンからブラジルにいたる白い線は パンアメリカンハイウェイ(Pan-American Highway)と称され、南北アメリカ大陸の国々を結ぶ幹線道路網です。ただしコロンビアからペルーへは道が無く、まだ完全には南北アメリカを貫いていません。
そしておそらくこの道筋に沿って、太古アジアの人々が南米に渡来し、現在でも現地の赤ちゃんには我々と同じく蒙古斑が出現する所以であり、戦前から親しみと希望を持って移民した多くの人々の、こころの支えのひとつのだったのではないかと思います。
話が長くなりましたが、リマを出発した我々はバスで前述のパンアメリカンハイウェイを約250km南下したピスコ PIZCO を目指し、ここの空港から飛行機でナスカに飛び、上空から地上絵を観察しようというわけです。(右上地図)
上写真は到着したピスコ空港の管制塔です。ここは小型飛行機用のちいさな空港ですが、ペルー空軍も使用しているようです。
私たちが搭乗したのはセスナ社の208Bという機体のようで、客室は左右窓際に1列ずつ6X2の12名乗り(ほかに機長、副機長の2名)でした。
ナスカの地上絵は1994年12月17日、UNESCOの世界遺産(文化遺産)に登録名称『ナスカとフマナ平原の地上絵』(Lines and Geoglyphs of
Nazca and Pampas de Jumana)として登録されています。
ナスカの地上絵は、雨がほとんど降らないため(年間1~2mm)、雨による浸食がほとんどないこのような盆地の、表面が暗赤褐色に酸化した小石を特定の場所だけ幅1m~2m、深さ20~30cm程度取り除き、その下の酸化していない明るい色の石を露出させることによって「描かれて」います。
主な地上絵の大きさは、長さ46mのクモ、96mのハチドリ、55mのサル、65mのシャチ、180mのイグアナ、135mのコンドルなどがあり、最大のものは鳥類の絵で285mもあります。
花や木々、装身具や織物のような日常生活の道具を描いたものや「宇宙飛行士」などと呼ばれているもの、片手が4本指の「手」など不可思議な図柄もありますが、基本的にはどれも一筆書きです。上のパンフレットの写真参照、
左写真は機体の左サイドからの写真です。谷を越え、台地に入ってくると、すぐになにやらいろいろな線が見えてきます。
右は、最初に観た「クジラまたはシャチ63m」です。飛行機のため景色があっという間に変わってしまうため目が慣れるまで見つけるのは大変ですが大感激です。
このように目的の絵とは無関係な線が交錯しているのでこれも大変、、、、クジラの絵では胴体を太い線が横切っています。
これは「宇宙飛行士32m」です。
地上絵は必ずしも平地にあるとは限らず、このような山の斜面にもあるようです。何か挨拶しているような、、、、
左写真は「サル110m」ですが光線の加減と、もともと風化が進んでいるのか、非常に見難いです。
四肢と蚊取り線香のようなぐるぐる巻いた尻尾がやっと確認できました。かく言ううちに景色はどんどん変わっていきます。
次は「イヌ51m」です。何かキツネのようにも見えます。足が5本あるようにも見えますが、動画表現かも、、、、
左は地上絵の中でもシンボリックに良く知られている「ハチドリ96m」です。
これは比較的良く見えました、瞬間的に、「はるばるこの地に着た、、、、」という実感がよぎりました。
右写真は「クモ46m」です。比較的小さく光線が悪く、最初カメラのモニターでチェックしたときはほとんど見えていなくてがっかりしたのですが、帰国してから必死で画像処理をしてようやく見えるようになりました。昔々やった現像処理を思い出します。
この写真は、左が「木97m」、左下に向かって根があり右上に向かって枝が張り出しているのがわかります。
右が「手45m」とされていますが、ヒヨコ(雛鳥)が歩いているようにも見えます。
そして右上を横切っているのが、パンアメリカンハイウェイなのです。観光バスと乗客そして道のこちら側にはミラドールと呼ばれる観測塔があります。この塔に登ってもこれらの地上絵は十分には見られないと思います。
この写真はこの先地上絵が急速に失われていく様を予兆しているようです。雨が少ないとはいえ、いたるところに流れの後が見られますし、人間による破壊は急速です。本当にいい時期に来たのかも、、、、
最後の絵は「オウム200m」です。大変大きいのですが、多くの線と交錯していて見づらいです。
これらの地上絵が描かれたのは、紀元前2世紀頃~6世紀頃とされていますが、それが誰が何のために描いたのかはいまだもって未知です。そのことが遥か離れたこの地とあいまって限りないロマンを感じさせてくれます。
興奮のうちの地上絵観察は、時間にすれば20分程度のものだったのでしょうが、時間を忘れて没頭できました。
そしてその興奮の覚めやらぬなか、滑走路目指して、、、、着陸です。
ちょうどお昼時です。空港近くの海岸レストランで昼食です。ビールもグラスも!!シッカリ冷えています。本当にこの一杯は最高でした。昨日までの強行軍はどこへやら「ヨカッター、来てよかったー」は異口同音です。
南太平洋に面したちいさな港です。ペルー海流は寒流なので漁業が盛んなのでしょう。遠くに島が見えます。
近くでところのお婆さんが獲ったエイを捌いていました。私たちを見て気軽にポーズをとったあと「これ買わないか?おいしいよ、、、、」
空は青く、海は穏やか、、、、
南国の浜は静けさと少しの旅情を感じます。
2 件のコメント:
私たちが南米に行ったのは2006年の10月でまだブログを始める前でしたので、ネット上には写真がありませんが、楽しかった南米旅行が蘇ってきました。
緯度の低いリマの気温が何故一年中穏やかで変わらないかとか、雨が異常に少ない原因とフンボルト海流の関係、などを勉強したことを思い出しました。
地上の観測台からも地上絵を観測しましたが、小さな地上絵が2つほどちゃんと見えましたよ。
私とは反対の順番で回られたようですが・・・つづきを楽しみにしています。
2006年というと7年前ですか、、、、私ももっと若いときに行くべきでした。でも何とか行けましたので良しとしましょう。
遠隔の地に立つと物事が広く見えて良いです。ペルー海流とエルニーニョ現象そして日本の気候、、、、
地上絵に直接触れたとのこと、、、、ということはナスカまでさらに250km足を伸ばしたということですね、やはり南米旅行は体力勝負、、、、
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